中国で食材と戯る。(18) 毛蟹
” 毛蟹 " 2018.1
中国では、” 毛蟹 mao xie マォシエ " といえば河の蟹、上海蟹を指すことが多い。
私たちの知る海の毛蟹は、” 紅毛蟹 hong mao xie ホンマォシエ "と呼び分ける。
河蟹は、熱を加えれば甲羅が赤くなるが、毛は赤くならないから。
” 北海道毛蟹 " 、” 朝鮮毛蟹 " など海外の産地名が入れて呼び分けることも。
上海にいた頃に、すでに中国に毛蟹が入って来ていた。タラバも然り、朝鮮半島もの、あるいはロシア産のモノ。北寄りの冷たい海のモノ。
北海道を含め、揚がった先、人間が勝手に海域に引いた線で国籍が変わる蟹達、魚達。彼らには、どこの国の人に食される、どこの国に納税貢献するかも、知らない話なのだ。
上記写真の蟹は、2018年1月常州で手にした、おそらく中国の養殖物。
ローカルの市場ではなく、普段利用する日本食材を扱う仲介業者のもの。業者は相変わらず、産地や素性を知らないのか、或いは伏せるのか、情報が無い中、自分で推測。
何となく薄白い殻と、やや未発達気味に見えるハサミ。多分、これも国内養殖を始めたか?
それでも、鮮度の良いもの。店で使ってみた。
” 毛蟹の茶碗蒸し "
蟹のむき身、炊いた椎茸、卵液に出汁を加えて蒸す。茶碗” ではないか。。。
” 毛蟹の甲羅 海鮮寄せ寿司 "
" 毛蟹の甲羅酒 "
” 毛蟹の天津飯 "
” 毛蟹と鰻のバラ蒸し寿司 "
写真に画質差があるが、どれも店で私が作り撮影したもの、違う機会の写真をまとめてアップしました。ご理解の程。
味ですが、一通りの料理にアレンジして問題ないもの。風味は北海道で食べていたものよりは淡白な感じ。味噌に関して更に淡白で、味噌に期待しなければ有効な食材かと思えたのでありました。
上海蟹など、生きた河蟹を近所の市場で買って、家で蒸して食べる日常がある中国の人達には、北海道の”茹で蟹”のように塩水で炊きおいたものを冷ましておいても売れません。その場で火入れすることが店で扱うポイントになってきます。
北海道の茹で蟹は、釜に大量の蟹を高密度で炊き上げ、旨みの中で茹でることができるので冷めてもその旨みが身に落ち着き、美味しいものになります。
店で鍋に綺麗なお湯を張り、茹でても旨みの流失しか起こりません。ここではオーダーを受けて、生きたものを蒸すのが正解です。
まぁ、あれこれ扱う方法を考え、売る方法を探る。戦いの日々は続くのありました。。。
以上