【世界遺産 武夷山-福建土楼へ】#1金華ハムの郷 〜 諸葛亮の末裔の住む古村
2018年9月に常州出発ー武夷山ー福建土楼ー廈門で折り返し東シナ海沿岸を北上して常州に戻るという長距離ドライブの一人旅に出ました。
6日間で総走行距離は2760km。複数回に分けて、旅の記録を紹介します。
ナンバー1、今回は①から③までの路程です。日本では中国のマップは開けても距離計算表示はできないようになっているので、途中の路程について正確な距離を遡って把握することはできないことを了承ください。
金華へ
初日は、まずゆっくり目の午前に常州を出発、大体の距離にして350km、浙江省金華市を目指します。
最も良質な中華ハム、” 金华火腿 jin hua huo tui ジンホァフォートゥイ "(=金華ハム) の生産地で有名な場所。特に観光スポットとしての紹介がある街ではないものの、料理をする者としてはその食材を生産地で味わうという醍醐味があるかと。
特に渋滞に遭うわけでもなかったのだが、途中休憩も入れて常州から7時間半ぐらいで金華市へ到着。夕食の時間、次の日の活動に便利な位置にホテルをとり、ビールは飲みたいので歩いて近所の大衆的な食堂で食事。
翌日は、金華ハムで豚肉を食すつもりなので、適当に川魚と野菜を一品。
金華ハム博覧館
2009年にオープンした金華ハム博覧館 。観光のスポットとしてではなく、あくまで” 金字 " という金華のハムブランドが開設したハムに関する展示資料館。ハム会社の大型展示コーナーというニュアンスが正しい。
せっかくなので、一応観覧させてもらい、少し土産にハムを購入。
金华火腿
金華ハムは世界三大ハムの一つ (残り二つはイタリアのプロシュート、スペインのハモン)。ハムの具体的な発祥国は確定しないようだが、紀元前数千年前には東洋、中華圏で既に塩蔵肉の文化があり、それが古代ギリシャ、古代ローマへと伝わったとされている。
中国では3つの有名なハムが有り、
江蘇省如皋産 = 北腿 bei tui ベイトゥイ、
浙江省金华産 = 南腿 nan tui ナントゥイ、
雲南省宣威産 = 雲腿 yun tui ユントゥイ、と呼ばれている。
この中でも、最も名高いのが金華ハムであり、金華の民間でハム作りが始まったのは唐の時代に遡るようだ。唐の時代で既に金華のハムは良質な品として知れ渡っていたとの記録もある。
中国語の " 火腿 " = ハム、であるが塩漬けされ腐敗せずに熟成した、豚もも肉が燃える火のような赤色だということに由来するらしい。
日本の記事では見かけないが、中国では科学的見地から東シナ海沿岸の温州がハム文化発祥の地ではないかという仮説もあるようだ。
洪水などの水害が多かった土地で、作物が被害に遭い食料が不足する中、海水に溺れた家畜の肉が腐敗せずにあるのを食したところ良い熟成肉になっていたという話だが。。。
マルコポーロが中国を渡り歩いて、中華ハムの作り方をヨーロッパに伝えた云々も中文の記事で見かけて気になるが、彼が生きたのは ”元 ” の時代だから既にヨーロッパに生ハムはあっただろうし具体的な文章を読まないと私にはよくわからないな。
金華で金華ハムを食す
一人ですが、きちんと金華ハムを食すべくレストランを探して昼食です。
基本的な食し方である、冬瓜との挟み蒸し、スープ、そして豚の腿肉以外の部位である舌や内臓の卤猪拼盘 (茹でて醤油漬けにしたモノの盛合わせ)、青菜のあっさり炒め。
金腿冬瓜夹 jin tui dong gua jia
金華ハムの薄切りと、冬瓜を重ねて蒸しただけの料理、塩気、風味も全てハム由来で。少し脂身があれば滑らかに感じるだろうなと思いつつも。
ハムの旨みを受けたジューシーな冬瓜が美味しくなる料理。ハムの方はまぁ。
” カラスミ大根 " に見た目も発想も似てるな。。。
諸葛八卦村 zhu ge ba gua cun
同じく金華市の蘭渓市諸葛鎮に諸葛八卦村という村がある。人口3000〜4000人ほど、そのうち8割が " 諸葛 " 姓であり、三国時代の英雄、" 諸葛亮 zhe gu liang ジューグリャン "= 諸葛孔明 の子孫であると称する人々が暮らしている。
90年代に家系図も発見され、村自体が諸葛亮の末裔が集まり暮らす場所として、国からの重要文化保護対象としての認定を受けている。村は宋の時代に作られ始めたようだが、現存する民家集落は” 明清 " 代の古建築群で構成されているらしい。
諸葛孔明が、三国時代に兵法として活用した " 八阵图 ba zhen tu バージェントゥ " (= 八陣図)を元に村の建築物が並んでいる。
” 八卦 ba gua バーグア " = 八卦 とは、古代中国において陰陽や五行と併せて用いられた、森羅万象を表す理論体系でありこの概念を用いて村が設計されている。
武夷山を目指して
金華から山間を走り19:00前。高速のサービスエリアで夕食を摂る。
武夷山の麓にて
金華から走ること更に約300km。武夷山市に到着。
前日の夜に目的地に着き、運転の疲れをとって翌日の朝から景勝地を歩き巡れるようなパターンを繰り返すのがひとりドライブ旅のルーティン。
ホテルに部屋をとり、暫し休む。
24時前少し散歩して、近所の麺屋にて夜食を。
この辺りは、麺類が小麦粉から、” 米粉 mi fen ミーフェン " = 米製の麺 /ビーフンになっている。
中国の北方は小麦文化、そして南方は米文化。
ただ何処にだってライス派、パン派がいるように、米派、麺派が地域に関係なく存在する中国。その麺のラインナップが小麦の面から、否応なしに米の麺に変わってくると、いよいよ南方に来たなとハッキリ感じる。
そう、武夷山、ここはもう福建省。
地元のビールを持って部屋に戻り、八卦村で買った " 金华酥饼. jin hua su bing ジンホァスービン " (金華伝統のお菓子)をアテに飲む。
唐の時代からの伝統菓子。具材が挽肉に干し菜(漬物)、水飴とくれば、適度に甘塩っぱくビールが進む。
福建のビール " 雪津啤酒 ”はフルーティで優しい味。バドワイザーとの提携の様子。
それでも、翌日に備えて2本で終了。旅は始まったばかりだ。
▶︎ 続く。