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中国で食材と戯る。(3) 北寄貝

( 私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
  ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント

" 北寄貝 (ホッキガイ)  "= 姥貝(ウバガイ) 
                                                                   2014.4/ 2015.5 ( Weixin 投稿済み )


”  北极贝bei ji bei ベイジーベイ "

日本ではホッキ、北海道、および東北地方、海の温度が低い場所で獲れる。
アイヌ語の呼び名、ポクセイ、ポキセイが訛って " ホッキ "になったものらしい。
中国語を繁体字で書き直すと " 北極貝 "である。

 北の海のものが常州に活きた状態で? まず、浙江省あたりにはいないだろうと調べたら、朝鮮半島にもあるらしい。タラバ蟹や淡水魚なども隣の朝鮮半島モノ、北海モノは日本より、朝鮮モノが中国には多く入っている。隣やし。

 北海道に10年暮らした私には馴染みのある貝だが、外面、内面ともにやや様子が違うので戸惑う。中国で刺身といえば、圧倒的にサーモンとホッキ貝の二強である。サーモンはノルウェー、デンマーク、ニュージーランド、チリなど世界中から四六時中、氷鮮モノが空輸で届く。ホッキはというと、常にボイル加工済みの冷凍物だけ。まぁその冷凍物もピンキリあるんだが。
生モノが食べれない人たちもこれなら、醤油とわさびをつけて楽しめる刺身だ、となるわけで。昔から中華レストランでも取り扱うところがあった。

魚屋には " 大黄贝 da huang bei ダーホァンベイ " と書いてある。中国でも聞かない名である。貝殻の模様が違うと思いながら、開くと中には斧足と呼ばれるくの字の肉。ホッキと同じ形状をしている。


 北海道で扱ったり、食したのは身が黒いホッキ
サッと表面だけ茹でるようにするとやや赤みが射して薄い紫色になるモノだった。オレンジ色?これや如何に?

どう見てもホッキなんだが


ガス台だが、浜焼きにしてみよう


 生でも、火を入れてもやはり色違いのホッキである。その後見かけることもなく、確認の術もなく、この謎はそのままになってしまうのだが。。。


2015年5月 ” 大黄贝da huang bei ” 再び

 上記の時間から1年の時が流れ、再び出会った活ホッキ貝もどき?
今度は、北海道で見覚えのある柄 (写真左のタイプ) の貝が一緒に売られていたのでまとめ買い。やはり、ホッキだったのか。

ホッキの確証を得る
ホッキだホッキ。

 貝殻は北海道と同じなのに、中身はやはりオレンジ色。ホッキだけど
海も違い、やや種類が違うだけだと思われる。

 ちなみに、前述の中国で大量流通、大量消費され続けているボイルホッキは、パッケージを見るに正規の品であればほぼカナダ産(中身が違う粗悪品もあるが)。
英語では Surf Clam サーフクラム、サーフボードに似た二枚貝ということでしょう。カナダのサイトを見ると原材料は赤色にやや橙色の感じ。
情報が少ないが、日本名は " ナガウバガイ " という同属の仲間らしい。

ヒモだけサッと霜降り、刺身で。

 ” 姥貝 (ウバガイ) " を調べてわかった事がある。日本の北関東、東北あたりではこの呼び名が通るようだが、字の如く、貝殻の表面が汚く剥がれ落ちて老婆のようであることに由来するとか。 
私も、ホッキの貝殻は黒く白い掠れがあるのを覚えていたが、明らかに茶色い殻は何なのか? 疑問が解けた。

 この貝は20年から30年生きる事ができるらしい。若いうちは茶褐色の貝殻で、年をとると黒い貝殻になり、さらに年をとり白く剥がれ落ちたような貝柄になるのだとか。大きさは変わらないが、確かに茶褐色の貝は表面に艶があり若く見える。
中の身の色は、やはり若干種類の違いがあるということにしよう。

 1年を経て、ようやく合点のいく答えを見つけたのでした。


         ▼  このホッキを絵にした記事を書きました。よろしければ。


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