巻一 山海経と論衡
論衡は、後漢の王充(27年-97年頃)の代表作であるが、この中に登場する“倭人”が、“倭人”に関する最も古い時代の記述である。
一方、一説では秦の始皇帝の愛読書であったとも言われている山海経は、B.C.4世紀から3世紀、即ち戦国時代から秦・漢両朝にかけ徐々に加筆され成立したと考えられている最古の地理書とされている。ここで言及されている“倭”は、最も古い時期に記述された“倭”となる。
論衡の“倭人”は、千年以上昔の伝承―21世紀の我々が藤原道長・頼通を語っているのに等しい、否、