X68000の1GBハードディスク
インターネット黎明のころ、パソコン通信のBBSへの書き込みした方からその当時どんな雰囲気だったかを聞きます。
Sun Microsystems ワークステーションへの1GBハードディスクドライブの接続の話から、価格についての話題がはじまります。Sun用はドライブユニットだけで十数万って聞いたことがあるという方もあらわれたところに、実際に最近購入した方からの、Sun用の富士通製1GB HDDは七掛けで40万円をこえたという実感のある書き込みまで。そこへ日本橋のパソコンショップ STEPで1GB 15万円くらいという書き込みがあらわれます。15万円ならばドライブ単体で、ケース無し、電源無しなのではないですか?との指摘が来ます。
X68000専門誌 Oh!X に16万円くらいの1GBハードディスクドライブの情報ありとの書き込みです。当時のハードディスクドライブはどうだったのでしょう。
株式会社ネオコンピューターシステムの広告は上記のようなポリフォンの宣伝の片隅にある小さなもので、書き込みした方が広告部分の小さなところまで確認していたのがわかります。
実際にどのくらいの価格推移かを把握するため、X68000の専門誌であるOh!Xに毎月広告を出しているツクモ電気の外付ハードディスクの容量単価についての変遷を確認してみました。
1990年1月号において1975円/MBと3200円/MBだった単価が、1993年12月号において226~332円/MBと、4年で1桁程度安くなっていることがわかります。1993年末に300円/MBだった単価は2022年現在、2000円/TBとなっており、GBを通り越してTB単位となっています。
1995年のツクモ電気の広告については 今vs昔 <番外編> -頑張れSHARP! X68000特集-~名機に思いを寄せて~ 1995年~1997年頃のX68000事情 http://shop.tsukumo.co.jp/special/160527c/ にて特集されており、広告の大きな画像が掲載されています。調査対象の1990~1993年の広告にはツクモ オリジナルハードディスク VIP100CX、VIP120CX、VIP350CXは写真が無く、どのようなものかわかりませんでしたが、特集の中の画像に写真が掲載されています。
写真では白系統の色に見えるのですが、「VIPシリーズはブラックなので68にぴったり!」とあるので実際は黒いようです。過去の広告ではツクモオリジナルハードディスクという表記やVIP型番の表記などがあり、小さな場所に数行だけの文字情報のみということもあって、どんなものかわからなかったツクモのハードディスク。コンパクトでケーブル付きのというのが、デジタル99マガジンの画像により確認できます。特集では1995年~1997年頃のX68000事情ということで、当時のデジタル99マガジンの画像が掲載されており、どのようなものがあったのかがわかりやすくなっています。外付ハードディスクはIOデータのケーブル付きの方が安くなっているようで、HDS-1G ツクモ特価 ¥59,800円と、最初に紹介した書き込みでは15万円で安いといった状態だったのが、2年程度で三分の一くらいの価格となっていて変化が激しいのがわかります。
現在では更に大容量ストレージが手軽に入手できて便利になっており、1GBという単位はストレージでなく、スマートフォンのメインメモリ容量としても少な目と感じるようにまでなってきています。当時こんなにあれば使い切れないと思っていたハードディスク容量は、さらに桁違いの容量になりつつありますが、空き容量があれば何かのデータで埋まっていくようで、必要とされるデータサイズに果ては無いようです。
用語
・ステップ
かつて東京および大阪にあった激安販売のパソコンショップSTEP。薄利での販売物が色々あり、販売価格の最安値として例示される事が多くあった。「5つのNO!」を掲げる低価格戦略で「説明しない」「展示しない」「交換しない」「解約しない」「無料サービスはしない」と徹底しており、初期不良があっても店舗では対応してもらえず、レシートと保証書により製造元へ対応を依頼する必要がある。商品の展示が無く、説明も無いため、どのようなものかを事前にわかっておかなければならず、購入する側も低価格と引き換えにリスクがある事を把握しつつ利用するという、独特の雰囲気のある店舗。その後倒産して現在は存在しない。
・ポリフォン
SHARPのパソコン X68000用サブMPUボード。POLYPHON / ポリフォンという名称で、ボード上には本体とは別のMC68000があり、さらにFPUソケット、MIDI、PCM、8MBメモリー増設用スロットなどが1枚に詰め込まれた拡張ハードウェアボード。X68000は通常、拡張ハードウェアボードのスロットが2つしかないため、メインメモリを増やしつつFPUが搭載できるところに利点がある。株式会社ネオコンピューターシステム製。
インターネット黎明のころの草の根BBSももりこみつつ、いろんなエピソードをつめこんだ「ちょっと偏ったインターネット老人会へようこそ」を同人誌として頒布予定です。
参加予定イベント
11月6日 おもしろ同人誌バザール@神保町2022秋
11月20日 第七回技術書同人誌博覧会
同人サークル BLACK FTZやってます twitter @black_ftz
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