何故だ Windows NT
インターネット黎明のころ、パソコン通信のBBSへの書き込みした方からその当時どんな雰囲気だったかを聞きます。
1996年の時点でWindows NT上でVisual C++つかってプログラムしていて、うまく動作せずに時間を費やしたとの書き込みです。ユーザーが呼んだDLLが確保したメモリなら、ユーザー側の気のような気がするものの、ピープが違うそうでアプリケーションプログラムが停止するようです。メモリ空間は共通なそうなのですが、きちんと管理されているとのこと。
Windows NT 3.1の日本語版が1994年、Windows NT 3.5が1994年、Windows NT 3.51が1996年の年始あたりにそれぞれ発売されているようです。一般のユーザーはWindows 95を使用しているころ、OSとアプリケーションの領域を分離して管理するNT系のWindowsは高い安定性をもっている分、当時の書き込みのようにアプリケーションの作り方によっては落ちてしまうことがあるようです。
Microsoft Visual C++ 1.0は1993年に発売のC++開発環境で、とてつもなく箱が大きくて重く、入手するのは良いものの持ち歩くには厳しいものだったそう。印刷されたマニュアルが大量に付属しているのがその理由とあって、その重みにはご利益があったのかも。どんなものか検索してみるとオークションにオブジェにいかがですかと出品されています。
巨大な箱にCDケース、そしてマニュアルがどっさり。この箱のほとんどが紙で埋まっている状態を考えると持ち歩きたくなくなるのもわかります。引用した写真の3枚目は英語版 Visual C++ 1.0のフロッピーディスク。日本語版は、さらにたくさんのフロッピーディスクが供給されていたと思われるので、ディスクを入れ替えて読み込んでインストールとなるとコメントの通り半日仕事になりそうです。
C++の言語自体のユーザーズガイドに加えて、たくさんのWindowsの解説に、MFC (Microsoft Foundation Class Library) が付属しているのもあって、どうしてもマニュアルが多くなってしまうのでしょう。いまとなってはオンラインで検索することで必要とするライブラリや使い方を見付ける事が出来ますが、まだインターネット上のドキュメントも少なく、それぞれのパソコンの資源もまだ少ない状態では、あらゆることが網羅された詳細な紙の資料こそが各プログラマにとって命綱として大切だったのかもしれません。当時は他の開発環境や開発言語においてもたくさんの紙のマニュアルが付属していたようで、Microsoft Visual C++はWindowsに対応する環境であることと、そのライブラリを含むという理由もあって、飛びぬけて付属資料の冊数が多いようです。
こんな大きな箱であれば、パソコンショップの一角を占有していそうです。ハードウェアではなく、ソフトウェアの大きな重い箱をぐっと持ち上げレジに持っていく方々の不思議な光景がひろがっていたのだと思います。
用語
・ポン橋
大阪の日本橋駅周辺に広がる電気街および地域。パソコンショップも多数存在する。大阪においてパソコン関連ハードウェア、ソフトウェアを入手するのに便利。
・猫でもわかるプログラミング
丁寧な解説とサンプルで超初心者を対象とするプログラム教室のwebページ ( http://www.kumei.ne.jp/c_lang/ ) ネコでもわかるようにと記載されている通り丁寧な解説がされている。現在はC/C++/C#と、色々な言語もあつかっており、書籍化もされていてよりプログラム初心者のより身近な存在に。
・統合開発環境
エディタでプログラムを書き、コンパイル、アセンブル、リンク、デバッグなどをシェルやコマンドプロンプトなどの文字の指示で行ったりしていた実行ファイルの作成を、すべてひとまとめにした上でグラフィカルユーザーインターフェイスでわかりやすくし、コーディング・コンパイル・ビルド・デバッグといった作業を効率的におこなえるようにした環境およびソフトウェア。それまではプログラムを編集、実行ファイル作成、デバッグそれぞれに対しての理解が必要で、その習得だけでも時間がかかっていた。現在ではほとんどが統合開発環境としてまとめられており、プログラムに集中し、効率よく開発できるようになっている。
インターネット黎明のころの草の根BBSももりこみつつ、いろんなエピソードをつめこんだ「ちょっと偏ったインターネット老人会へようこそ」を同人誌として頒布予定です。
参加予定イベント
11月6日 おもしろ同人誌バザール@神保町2022秋
11月20日 第七回技術書同人誌博覧会
同人サークル BLACK FTZやってます twitter @black_ftz