インターネット黎明のころ、パソコン通信のBBSへの書き込みした方からその当時どんな雰囲気だったかを聞きます。
1993年時点で絶滅寸前となっていたバライタ紙。スマートフォンで写真を撮影するようになった現代ではどうなっているのでしょうか。
モノクロームのバライタ印画紙、絶滅寸前だったものが現在でも生き残っているようです。現像の大変さは変わらないようで、大量の水が必要だったり、機材が必要だったり、価格も上がっていたりするようですが、それでもなお使われるだけの魅力のあるもののようです。
用語
・バライタ印画紙
本文中に説明したが、紙そのものに白色層として硫酸バリウムを含んだゼラチン液(バライタ)を塗布し、その上に感光乳剤が塗布された構造となった印画紙である。現在はオリエンタル以外では海外ブランドしか市販品がない。
ILFORDお得意の多諧調(マルチグレード)バライタ印画紙である。旧来の印画紙は諧調ごと(乱暴に言えばトーンカーブ特性別に)”〇号紙”という呼び方で種類があり、ネガの仕上がりによって使い分けするためにいくつか持っておく必要があった(某漫画でトライXを5号紙で焼くと味が出る、というやつ)。マルチグレード紙は専用フィルターで諧調を調整できるスグレモノで結局は経済的だったと思う。
・RC(RP)印画紙
紙材の両面が樹脂コートされて白色層には二酸化チタン、その上に感光乳剤の構造となっている印画紙である。ILFORDはRCと呼び、オリエンタルはRPと呼ぶなどメーカーによって呼び名に違いはあるが基本構造は同じ。
・舶来高級印画紙
フジや三菱(月光ブランド)常用の貧乏高校生ではなかなか手が出ないもの。昭和時代の学校の部費でILFORDをばかすか使っていたけど。2004年でもこの値段だった。ILFORDのがカタログに無いのはこの時期に倒産しているためだろう。
・印画紙の水洗器
印画紙は現像処理後に薬液を洗い流すために水洗が必要で、流水でなくてはならない。貧乏学校では食器を洗う前に桶に漬けるようにして水をチョロ出ししながら効率の悪い方法をとらざるを得ないが、おいらが部長の時には、こういう感じのを部費で買ったのである。メーカー忘れたけど。
・フェロタイプ乾燥機
メッキされたフェロ板という金属板に印画紙の撮像面を密着させたものを乾燥機(電熱器)にセットし、乾燥、つや出し、簡易的なフラットニングを行う装置。
既にデジタルが席巻していた2004年に「新製品」として出ていたのがアツい(電熱器だけに)。デジタルが写真文化を衰退させたのは事実だろうけど、それを葬りつつあるのはスマホなのかねぇ。あと、フェロタイプ板は消耗品なのでパーツ販売されていた。
フェロタイプ板もビュッシャー製が結構長く供給されていたと思われたが2022年現在はヨドバシカメラでも販売終了となっている。
・ペーパー自然乾燥器
フェロタイプ乾燥機など邪道と息巻くアート志向をこじらせた流派が好むもの(ド偏見)。フェロタイプ乾燥機派からは「貧乏臭ぇ干物台」と揶揄される場合があるが、こちらのほうが高価である。ともあれ宗教戦争には近寄らないほうがいいだろう。
・ドライマウントプレス機
写真を額装する場合にボードと印画紙の間にドライマウントティッシュというシート接着剤を挟んで加熱プレスすることで、とても平面性の高い仕上がりとなる。今だと再加熱ではがせる接着剤もあったかな。SEAL社のものが業界標準の模様(昔は銀一が代理店だったか)。まぁ、ズボンプレス機で代用できなくもない。
インターネット黎明のころの草の根BBSももりこみつつ、いろんなエピソードをつめこんだ「ちょっと偏ったインターネット老人会へようこそ」を同人誌として頒布します。今週末は技術書同人誌博覧会が開催されます。
参加予定イベント
11月20日 第七回技術書同人誌博覧会
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