ドゥーギンの戦略
2024年03月02日(土)
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■ロシアと北朝鮮
拙宅の庭を剪定してくれた植木屋さんと、
作業を終えてから少しだけ世間話をした。
それは、家の庭にジャガイモを植えたいという相談だったのだが、
いつしか中共から飛んでくるミサイルの話題に展開していった。
小生が、「ロシアと北朝鮮からのミサイルは飛んで来ることはないが、
中共から飛んでくる恐れはある。
その場合、米軍基地や自衛隊基地にミサイルを落とすはずで、
拙宅の近くには入間基地と横田基地があるので危ない・・・」と話すと、
その植木屋さん、「そうだ!」と同意してくれた。
その他、「金正恩の御母堂は横田めぐみさん」、「プーチン」、
「中共のトップが考えているのは人民搾取」といった具合に、
話題は多岐に及んだ。
なを、ロシアと北朝鮮からミサイルは飛んで来ないだろうと、
小生が確信しているのは、
ロシアの頭脳であるドゥーギン、
そしてロシアの身体であるプーチンの存在であり、
さらに、ロシア人の気質を多少なりとも把握しているからだ。
また、北朝鮮は大日本帝国の残置国家であった。
■ドゥーギン動画
プーチンの政治力やロシア人の国民性については、
過去において幾本かの拙記事に書き連ねてきたので割愛するとして、
本稿ではドゥーギンその人について少し敷衍しておこう。
最初に以下のロシア語の動画を紹介するが、
ロシア語に不案内な読者でも、ドゥーギンの醸し出す雰囲気なり
人間性がお分かりいただけよう。
次に、英語版の動画があるので、
ロシア語は解らないが英語ならという読者向けに、
一年前の動画になるが以下に掲げておく。
また、以下は最新のドゥーギン動画だ(英語版)。
Why Alexander Dugin Believes Islam Will Prevail in the Multipolar World - Dajjal System Exposed!
■ドゥーギンと地政学
ドゥーギンの主著に『地政学の基礎』(Основы геополитики)があるが、そのドゥーギンに地政学を伝授した人物こそ、
拙稿「ハウスホーファー」でも取り上げた、
カール・ハウスホーファーであった。
したがって、ドゥーギンを理解するには
カール・ハウスホーファーの人物、そしてその地政学を識る必要があり、
その意味で上掲の拙稿を再読してもらえたら有り難い。
南北アメリカ・ブロック
ユーロアフリカ・ブロック
ユーラシア・ブロック
東アジア・ブロック
ドゥーギンは
世界を四ブロックに分けて考えており、
アメリカ一極主義の西側に対して、
ロシアは各民族の伝統を重んじる多極主義をとっている。
そして、一極主義の西側に対峙する第一歩として、
各ブロックにおいて、
特に英米の影響を衰退させていく戦術をとった。
以下、ブロック毎にその進捗状況を見ておこう。
■南北アメリカ・ブロック
このブロックの中枢は当然アメリカということになるが、
このアメリカの衰退ぶりには目を覆うものがある。
例えば「【アメリカ崩壊】もう世界一の軍ではない?! 急激に弱体化した米軍の実態,武器も軍隊もお粗末すぎる」をはじめとする、
一連の越境3.0動画の一シリーズ、「マックス×石田和靖対談」を観るだけで十分に解ることだし、バイデン政権が仕出かした数々の失策については、
本ブログでも幾本か記事にしている。たとえば「習近平とバイデン」・・・
小泉純一郎ではないが、
日本ならぬ「アメリカをぶち壊す」路線を突き進んでいるのが
バイデンであり、トランプが再登場するまでのアメリカは、
このまま奈落の底に向かって転げ落ちていく。
一方、小生が心配しているのは、
政権交代までにホワイトハウスに巣くう狂犬(ネオコン)どもが、
やけのやんぱちになって核のボタンを押すのではということだ。
世界核戦争が起これば完全に人類は滅ぶので。
それを食い止めるためにも狂犬をどうするのか、
プーチンとドゥーギンの進める戦略を固唾を呑んで見守っていきたい
と思う。
そして、今のアメリカは第二次南北戦争の前夜でもある。
■ユーロアフリカ・ブロック
このブロックは、
文字通りヨーロッパとアフリカを指すが、中東も含めている。
未だにアメリカに追従しているヨーロッパは、
ウクライナ紛争でガタガタになっているし、確実に衰退に向かっている。
アフリカの場合、ニジェールの例を挙げるまでもなく、
ロシアの後押しでフランスからの独立を果たしているが、
こうした流れが、今後のアフリカにおける大潮流となるはずだ。
中東の場合、イスラエルのガザがハルマゲドンの導火線になるのではと、
世界を恐怖に陥れている。
■ユーラシア・ブロック
ロシアを除き、この地域で注目すべきはインドだろう。
絶妙なバランスを取りつつ、国際政治という荒波を泳いでいるモディ首相、最近に至って「インド」ではなく、本来の国名である「バーラト」を
主張し出した。
GDPでもインドに抜かれた旧宗主国の英国、
果たしてその心中や如何に・・・。
■東アジア・ブロック
現時点において、このブロックでは
中国が良くも悪くも中核になっているが、
ここに来て中国の衰退ぶりが目立つ。
そのあたりについて、
最近の拙稿「中国経済の行方」や「中共崩壊」といった記事で
簡単に解説済みだ。
肝心の日本だが、
バイデン政権という狂犬のポチに成り下がっているのが、
岸田文雄首相だ。
しかし、ある意味で日本は上手く立ち回っているとも云えるだろう。
例えば政治を見れば、来秋にバイデンからトランプに代わった場合、
今のままでは拙いと岸田首相も薄々気づいたのだろう、
軸足をバイデンからトランプへと移しつつあるとは、
佐藤優氏の言である。
そのあたりについては、以下の動画で佐藤優氏が
過日の岸田首相による、
国連でのスピーチについて言及しているので
確認していただきたい。
佐藤優 鈴木宗男 ??【鈴木宗男ロシア訪問からの維新離脱・そして中東ガザ情勢と核兵器使用の可能性について】 令和5年10月25日
また、日本の大手マスコミまでもが報道しているように、
経済分野における日本とロシアの繋がりは断ち切れていない。
たとえばエネルギー分野・・・
【サハリン2】三井物産の出資をロシア政府が承認 ロシア政府
食糧においても、最新の世界戦略情報誌『みち』(10月1日号)で、
神子田龍山さんのロシア人の友人
(ヴァルダイ・クラブの主要メンバーの一人、X氏)が
指摘していたように、ロシア・日本間で
「昨年比でなんと約二一倍もの輸入量急増を実現できた」
と証言している。
だから、食糧については今のところ心配する必要はなさそうだ。
このように、
個人主義という甘納豆型の西側とは異なり、
納豆型の日露といった共同体意識を有する国民同士の絆は固く、
岸田内閣が一方的にロシアに対して経済制裁を科していようとも、
日露の絆は微動だにしない。
バイデンのように自分たちの見方・考え方を、
一方的に他国へ押し付けるような連中とは違い、
プーチンのそれは各国の伝統を尊重し、
各国ファーストを促しているのだ。
本ブログを初めて訪問した読者で、
「ロシアが悪い」という大手マスコミの報道を
鵜呑みにしているのであれば、
小生が書いたプーチンについての「212本」の記事から、
気になるものだけでも目を通したり、
最近のプーチン動画に耳を傾けて欲しいと思う。
【最終回】「プーチンは分かっている…執拗にロシアを虐げてきたアメリカが迎えるこの戦争の終着点」西田昌司×伊藤貫 シン・外交安保対談
プーチン大統領、米DS浅知恵を外交力で撃破!?
『みち』10月1日号)にあったドゥーギンの言葉、
未だに脳裏から離れない・・・。
「この先は、ロシアの勝利か、世界の滅亡かの二者択一である」
【コーヒーブレイク】
日本のニュースが報じないハマス・イスラエル戦争の読み解き方。世界40億人を巻き込む宗教文明の衝突へ。終わらない宗教戦争3000年の歴
ハウスホーファー
一昨日、何の動画だったかは忘れたが、それを観ていたところ、途中でダイレクト出版の広告が流れてきた。いつもなら、即座に広告をスキップするところ、「ハウスホーファー」が目に入ってので気になり、そのまま見続けた。広告の後半に入ったあたりで、国際関係アナリストの北野幸伯氏が登場、ハウスホーファーについての解説を始めたのである。小生は北野氏をあまり評価していないので、同氏の広告ページをクリックする気は無かったのだが、それでも取り敢えず広告ページにアクセスしてみた。
『ハウスホーファーの太平洋地政學解説』・『ハウスホーファーの太平洋地政学解説』
広告ページの内容だが、『ハウスホーファーの太平洋地政学解説』と題した、GHQ焚書が安価で入手できるよという触れ込みの広告ページだった。そこで、ページの最後までサーッと目を通してみたのだが、北野氏の言葉には呆れてしまった。
これでは、北野氏はハウスホーファーのことを何も分かっちゃいないと、自ら告白しているようなものではないか・・・。
拙稿「自分の頭で考える」で、世界戦略情報誌『みち』に連載されていた、神子田龍山さんの「地政学と伝統玄秘学」シリーズを紹介したが、北野氏の考えるヒトラーやハウスホーファーと、神子田さんのそれとは、雲泥の差があるのは一目瞭然だった。ちなみに、ハウスホーファーについて小生は、掲示板「放知技」に投稿している。
小生は、「ハウスホーファーを理解するキーワードは日本精神、すなわちツラン」と書き、さらに付言して、「ツランを肚(勘)で識るには、日本列島の各地に足を運び、自然に抱かれる、すなわち古神道に心を馳せることが肝心」と書いたのも、神子田さんの「地政学と伝統玄秘学」シリーズが頭にあったからである。
ここで、神子田さんのハウスホーファー観には三つキーワードがある。それは、「ハウスホーファー」、「地政学」、そして「伝統玄秘学」だ。幸い、『みち』(2020年11月15日号)の「地政学と伝統玄秘学 1」に、キーワードの解説文があるので、そのまま以下に引用しておこう。
●ハウスホーファー
二〇世紀初頭に日本に長期滞在(一九〇八~一九一〇)した折に伝統玄秘学に深く接触し、ドイツ帰国後にそれまでの地政学を大きく変質させ、以後ドイツのみならず、欧州及び世界の大勢に強烈な影響を与え続けている、その様に私は確信するのだ。
●地政学
地政学は二〇世紀になってドイツから始まった新しい学問とされる。だが、ドイツ・ルール大学ボーフム教授で都市地理学・文化地理学のペーター・シェラー(一九二三~八八)による「日本はドイツ地政学の原体験であり、モデルである」という言葉にある様に、地政学の形成背景には、日本に於ける古来伝統的な玄秘学(以後「伝統玄秘学」と呼称する)が「アーキタイプ」(ユング心理学の元型・太古型)として機能したと私は確信する。
●伝統玄秘学
縄文時代に起源を持つ伝統玄秘学を継承する組織が今なお機能しており、ハウスホーファーはその組織と接触して秘伝を吸収し、ドイツ地政学に取り入れて、大きな変質と、現実的な戦略兵器としての力を与えたのであろうと、私は考えている。
これで、ハウスホーファーを巡っての北野氏の洞察と神子田さんのそれとは、かなり異なっていそうだということが、漠然とながらも分かっていただけたのではないだろうか?
本来は神子田さんのハウスホーファー観を、大まかにだけでも解説したいのだが、残念ながら実は、「地政学と伝統玄秘学」シリーズは未完なのである(理由は後述)。しかし、神子田さんのハウスホーファー論は、今の日本では最高峰のものであると個人的に確信しているので、以下に神子田さんのハウスホーファー論を、ラフスケッチの形で読者が想像できるように、写真・イラスト・引用文などをアットランダムに列記しておくので、シリーズが再開された時に備えていただければと思う。
ール・ハウスホーファーは一九四六年三月一三日に妻を道連れに、切腹して果てた。繰り返そう。ハウスホーファーは切腹した。彼のダイング・メッセージは明白過ぎる程に明白だ。「我は侍」或いは「我は侍と同じ超越存在を信じる者」である。そして今、改めて見よ、ドイツのモノノフ達が掲げた旗頭を。赤地に白く日の丸を染め、そこに卍を重ねた旗頭【上図参照】を掲げる侍達が、かつてドイツに居た事に気付いた時、私は震撼した。
『みち』2021年3月1日号 p5
『ヒトラーのテーブル・トーク一九四一~一九四四』・『ヒトラーの遺言一九四五年二月四日~四月二日』
実はヒトラーの個人秘書であり、遺言執行者であったボルマンが、ヒトラーが昼食時、夕食時や、オフタイムで寛いでいる時に、側近やゲスト相手に語った卓上談義を、「Bormann Vermerke」(ボルマン覚書)と呼ばれる談話記録として残している。今日研究者達からも信頼すべき資料として価値付けられているそれは、タイプ原稿一〇四五ページに及び、一九四一年七月五日から一九四五年四月二日の期間にヒトラーが公開を意図せずに語ったプライベートな言葉である。
『みち』2021年3月1日号
自分の目でこの宇宙を眺め、思い巡らす人間は、敬虔な心を持っているものだ。宗教的な意味ではなくて、自然との調和という意味である。前世紀の終わり頃、科学と技術が発達したあまり、自由主義の人間は、人類は自然の支配者であり、やがては宇宙をも制するだろうと公言した。だが嵐でも吹けばどうなる。カードの家のようにたちまち崩れてしまうのである。われわれは生命をつかさどる法則を学ばねばならない。それが進歩につながるのだ。そういう法則がなぜあるのか、それは人知の及ばぬところである。そうあるからそうなのだ。われわれの知恵ではそれ以外のあり方など思いもつかない。人は自然の中に見事な概念を見つけ出した。全能なる存在で、人はそれに従うのである。どの人間にも心の奥深くに、この全能なるものへの思いがある。われわれはそれを神と呼ぶ。全宇宙をつかさどる自然の法則の支配者である。(中略)無神論で教育はしたくないものだな。(一九四一年七月一一日)
『みち』2021年3月15日号
ハウスホーファーのパン・リージョン理論は、この地政学的理想状態を惑星の地表面全域に於いて実現することを目指している。簡潔に、少々乱暴に言い切ってしまうなら、それは惑星地表面を四つに分割することである。鎖国時代の日本が四つ、この惑星に存在するという状態だ。
『みち』2021年4月15日号
今から一一三年前、ハウスホーファーの全国行脚での奇妙な訪問地には、この「χρυσον(クルソン)」が多数みられた。これらはわが国に於けるツラン文明の痕跡地である。ハウスホーファーの案内者の目的は、わが国に縄文、弥生の時代から伝わる叡智の伝授であったと私は考える。そしてその叡智が二〇世紀初頭にドイツで本格的な「地政学」として結実した。案内者がハウスホーファーを実際に、東北から四国、そして九州南端まで連れ回さねばならなかった理由は、観光でも、軍事施設視察でも、要人面会でもなく、その場に立たねば実感と理解が不可能な「地政学」的理由にこそあった、と私は結論している。
『みち』2022年8月1日号
『みち』2022年10月1日号を以て、「地政学と伝統玄秘学」シリーズを一時中断、現在は緊迫した世界情勢シリーズを神子田さんは連載中だ。それに合わせるかのように、小生も大転換期に突入した現在の世界情勢についての記事を書き始めたのも、ある意味、シンクロニシティなのだろう。
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ハウスホーファー (2023/04/06)
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