私は今の日本で子供を作りたいと思えない。

私はもうすぐ26歳になろうとしている、上場企業の会社員だ。
周りの友人は結婚しだし、子供が欲しくないという人は、まだまだ少数なように感じる。皆、いつかは子供をつくることになるだろうと考えているようだ。私はそれが全く理解出来ない。理由は以下の通りだ。

①私たちの子供たちが生きる日本は今以上に絶望しかないと考えられるから

②今の日本で子供に十分な教育を与えるためには、ビジネスマンとしてかなり秀でていないと難しいように思えるから(そして私は優れたビジネスマンになれるとは思えないから)

2つめの理由については、単純に私の努力不足だろうと思われる方もいるだろうが、私としては努力だけでどうにかなるとは思えない。その理由を説明する前にまずは、その1つめの理由について。

①私たちの子供たちが生きる日本は今以上に絶望しかないと考えられるから

これからの日本は、正直絶望しかないと思っている。まず、現状で日本は失われた30年とも言われる低成長を続けている。超高齢社会が始まっている日本では、この低成長はさらに衰退の一途を辿っていくと考えられる。
これはひとえに少子高齢化が悪いわけではなく、いつまでも『戦後』の教育や企業体制から変革を行えなかったことが大きいと考えられる。その結果、一流日本企業の多くが世界の時価総額ランキングから凋落し、衰退を続けている。もはや一部のSONYやキーエンスなどを除いた多くの日本企業の成長戦略は、無理矢理数字を弾き出している感しかない。
これに日本的な排他性同質主義が加わり、少子高齢化社会にも関わらず、海外から日本に働きにきてくれる優秀な人材も、日本以外の国を選ぶだろう。さらに日本でも優秀で先の時代が読める若者は、日本に未来がないことを悟り、海外に移住、働きに出る人も少なくないかもしれない。
さらに恐るべき事実として、南海トラフ地震、首都直下地震、富士山噴火は、いづれも高い確率で20年以内に発生すると考えられている。
これらの震災は歴史的に何度も日本人が乗り越えてきたもののように考える人も多いかもしれない。
しかし、近年、首都直下型の災害が起きたのは阪神淡路大震災が最も最近で、関東地方では震度6以上の揺れを殆ど経験していない。もちろん行政や各企業、団体も防災対策を進めているところが多いとは思われるが、実際にこれらの災害が発生した際の、社会インフラや経済への打撃は凄まじいものと考えられる。ましてや、これら3つの災害が同時多発的に数年以内で一気に発生などしたら目も当てられないだろう。
これらの、低成長、及び災害が継続的に現実となった場合、今の日本にある絶望感は、より強くなるだろう。
そんな国に、子供を誕生させるのは、なんだか残酷で、無責任でさえあるような気がしてしまう。かといって子供たちが生まれてきたことを後悔しないような、希望のある日本を、これから私たちの世代が作り出せるかと問われると、私ははっきり言って無理だと思う。

②今の日本で子供に十分な教育を与えるためには、ビジネスマンとしてかなり秀でていないと難しいように思えるから(そして私は優れたビジネスマンになれるとは思えないから)

2つめの理由は、このような絶望的低成長国で、ビジネスマンとして活躍し続けることの難しさだ。賃金は上がり幅に乏しいにも関わらず、税金負担額は増加の一途を辿る。また、日本ではまだまだインフレが起こっていないが、諸外国のインフレや成長の波に押されて、日用品や食料品などの多くは、やはり値上げが進むだろう。
さらに、労働市場においては、日本企業で会社員を続けると、家族を養っていくことが難しいように感じる。正直、現状の日本企業でも、「活躍している人たち」や「成功している人たち」を見ていると、著しく人間性を欠いているように見える。彼らのうちいくらかの人々は、長時間労働を厭わない半ワークホリックであり、ほかの人々は、超効率主義で、無駄や不出来なものを排除したがるように見える。またそれ以外で上手くやっている人たちは、世渡り上手であることが絶対条件だ。
このいずれかに属していない限り、日本企業で上手く活躍していくのは難しいと思う。
もちろん、キャリアの選択肢は日本企業で会社員をやる以外にも、無数にある。しかしながら、まだまだフリーランスが働きづらい日本で自営業を営むのもなかなか茨の道のように思われるし、起業などはまさにスタミナと能力がない人間になせる技ではないように感じる。
かといって、ダラダラと会社員を続けていても、終身雇用や年金支給額には頼れない未来が待っている。

私は、社会人になった2018年から、上記のような考えをもって、自らのキャリアをどうすべきか、苦悩し続けていた。(それは同世代の人々も同様だろう)
そして、まだ明確な答えが導き出せていない。人生当たって砕けろで、色々なキャリアを実際に挑戦してみろ、というご意見もあるかもしれないが、そこまで気軽に会社員を辞める勇気もないのが現実だ。

このままでは、子供をつくる云々の前に、自らの食う飯も確保できるか、というところである。(まぁ実際は投資なども駆使して、自分1人が食うには困らないような気はしているが。)
このような状態で、皆どうして結婚して、子供を授かることを計画できるのか、私には理解出来ない。

#創作大賞2022

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