「好きなことを仕事にしたい」人が知っておくべき3つのこと
「好きなことを仕事にしたい」A子の相談
A子さんは、ごく普通の四年制大学の文学部に通う21歳の女性。
本を読んだり、絵を描いたり、創作活動をすることが好きで、文学部に進学を決めたのも、いずれ小説を出版したいと思ったからだった。
しかし、小説家への道は険しい。ひとつまみの限られた才能人だけがベストセラー作家になり、それ以外の文筆家は食うもやっとの世界。
現実を知った彼女は、小説を書くことを諦め、絵で生計を立てられないかと考えていた。
そんな折、友達の紹介で、キャリアコンサルタントのB男と話すことになった。
その言葉に、A子は少し表情を緩めた。
彼女自身、イラストレーターも決して楽な仕事ではないことは分かっている。
それでも、自分が事務仕事をしたり、営業で外回りをしている姿は想像できなかったし、少ない収入でも、絵描きを仕事にし続けられたら幸せだと思っていた。
B男は言葉を選びながら言った。
A子にとっては、反対も想定内のことだったので、決して驚きはしなかった。
B男はそう前置きすると、頭を巡らすように少し視線を泳がせ、すぐにA子に向き直った。
唯一の「息抜き」である場合
まず1つ目。その好きなことが、唯一の「息抜き」である場合。
仕事はね、息抜きにはならないんだ。仕事で積もったストレスを仕事で発散することはできない。
そもそもストレスというのは、外部からの刺激によって生まれる緊張状態のことなんだ。これを発散するには、その緊張をほぐしてあげなければいけない。
でもね、仕事には必ずお客さんがいて、お客さんの期待や要求によるプレッシャー、あるいは納期への不安などがついてまわる。
だからね、仕事をしている以上は、どんなに好きなことでもストレス解消にはならないんだ。
もしあなたにとって絵を描くことが唯一の息抜きである場合、それを仕事にすると、息抜きの手段を失ってしまう。
こうなると、仕事のストレスを解消することができず、潰れてしまう。
でも、他に息抜きの手段があるなら、そちらに逃げることができるよね。
ストレスを溜めないためには、逃げ場があることが何よりも大事なんだ。
堂々と値付けできない場合
次に2つ目。その好きなことで作った作品や、やり遂げた仕事に、堂々と正当な値段を付けられない場合。
仕事はビジネスだ。ビジネスではお金を稼がなければいけない。
「もっと効率よく、たくさんお金を稼ぐためにはどうすればいいか」を考えることが、ビジネスを成長させたり、維持するための原動力になるんだね。
でも「絵を売って儲けるなんてイメージできない」「私の絵に高い値段なんてつけられない」「誰もこんな絵は買わないだろう」などと思うなら、いずれ苦しくなるからやめたほうがいい。
そう思っている限りは、仕事にはなりえない。それは趣味だよ。
そういうのはお客さんにも伝わる。お客さんもビジネスのプロなんだから、自信のない人は徹底的に安く買い叩くか、そもそも商売相手としては付き合わない。これじゃあビジネスは成立しない。
もし、あなたにパートナーがいて「絵を描いてくれるだけでいい、俺が売ってくる」と言ってくれるなら話は別だ。
でも、自分自身で仕事の価値を決めなきゃいけないのであれば、自信を持って値付けできないことを仕事にするのはやめよう。
自分が好きなものを守り続けたい場合
最後に3つ目。その好きなことで作った作品が、ずっと自分の思ったとおりのものでいてほしい場合。
好きなことを仕事にするということは、あなたの作品を売り物にするということだ。
売り物は、売った瞬間にあなたのものではなくて、買い手のものになる。所有権が移るんだね。著作権や意匠権はあなたに帰属するけど、買ったものをどうしようと、どんな感想を発信しようと、基本的にはその人の自由だ。
もしSNSで「思ったよりつまらなかった」「買ったけど後悔している」「今回はハズレだったな」なんて言われても、あなたにはどうすることもできない。
依頼主から「もう依頼しません」「申し訳ないんですけど、結局使いませんでした」なんて伝えられることもあるかもしれない。
文句を言う人に噛み付くのもあなたの自由だけど、そんなことをして得をする人は誰もいない。それがビジネスの世界だ。
作品を発表せず、身内や友人に見せて回るだけなら、あなたは傷つかないで済む。他人の意見や感想に影響を受けて、自分の作風が変わってしまうようなこともない。
ずっと、自分が好きな自分の作品を守り続けられる。
それでもあなたは、多くの人に作品を届けたいと思うかい。
「好きなことを仕事にする」ということ
上の話は僕の創作です。
が、A子さんのように悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
ミシガン州立大学のある研究チームが「好きなことを仕事にする者は本当に幸せか?」というテーマの大規模調査を行ったそうです。
とはいえ、僕は好きを仕事にしたいタイプなので頑張ってます。
「好き」だけがモチベーションだと続かないことも、「自信がある」「たくさんお客さんがいる」「他のことでも稼げる」みたいな要素があれば、仕事としてちゃんと続いたりするのではないかと思う今日この頃。
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