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出雲駅伝2024に見るシューズ事情
【 國學院大学 】が優勝
大学3大駅伝の一つ、出雲全日本大学選抜駅伝、通称「出雲駅伝」が10/14に開催され、レースは後半3区間で連続区間1位で逃げ切った國學院大学が見事優勝した。
また、連覇を目指した駒澤大学が2位。やや区間順位に上下動があった青山学院大学が3位、2区吉田響選手が区間賞の創価大学が4位となった。
私はいつものように足元に注目!
出場21校の全126名(20校+IVYリーグ)の着用シューズを、今年は現場に行って生取材してきたので、早速出雲駅伝シューズ事情を解説していきたい。
最初に、今年の着用ブランド首位は4割弱シェアで例年通り【 NIKE 】であった。しかし、4割は圧倒的シェアであるものの、前年からそれを大幅に減らしたことは事実。
逆に、年々シェアを復活してきている【 ASICS 】が2位、【 ADIDAS 】は3位と、量の【 ASICS 】、質の【 ADIDAS 】として、両ブランドはジリジリと王者を追い詰め始めている。
堅実な【 Puma 】、【 On 】もジリジリ勢力を拡大中してそれを追う、そんな情勢だ。では、早速細かく解説いこう。
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【 NIKE 】のシューズ事情
総数では、40%やや下回るシェアで首位も、前年からは大幅に減らす。それよりもインパクトが大きかったことは、着用選手の区間賞が今回ついにゼロになったことだ。前年までは、全体シェアは減らしつつも区間賞獲得者の足元には【 NIKE 】が確実にいた。それが今回その風向きは完全に変わったわけだ。
では、【 NIKE 】神話はついに崩壊したのだろうか
いや、それは違う。この大会の前日に達成された女子史上初のサブ10である脅威の世界記録は【 NIKE 】アスリートだったことを考えるとモデルの性能劣っているわけではない。
むしろ、各ブランドのモデルも機能性が上がって、【 NIKE 】が大きなアドバンテージが持てなくなっている。それに伴い選手たちにも以前より多くの選択肢が出来たことは事実だ。それが着用分散の大きな要因であろう。
ちなみに、着用モデルはNIKE VAPOR 3とALPHA 3の最新モデルがその中心であった。また、関東以外の大学生は【 NIKE 】が圧倒的であったが、VAPOR NEXT% 2やALPHA FLY 1など旧モデルが散見された。その象徴的存在が、鹿屋体育大、全員が【 NIKE 】着用者であった。
【 Adidas 】のシューズ事情
今大会、着用総数は第3位も、なんと区間賞は全6区間中、5区間が【 ADIDAS 】であったことはまず大きなトピックだ。これは、まるで一昔前の【 NIKE 】ではないか。区間賞が今大会ゼロになった【 NIKE 】とは対照的な出来事だと言えるだろう。
ある種この「量より質」傾向は、着用者全員が5位以内であったオリンピックマラソンの男女トップ10とも酷似する。機能性の高さと着用選手を厳選して選んだ、その跡がうかがえる。
その戦略の象徴、ADIDAS ADIZERO ADIOS EVO 1 (以下:EVO 1)は目立ち始めた。正月の箱根駅伝では、ほんの一部の選手が特別待遇で着用していたが、今回は提供か、購入か、それは定かではないが、創価大学の2区区間賞の吉田選手など新しく着用するランナーも増えたことも事実。
一方で、発売前の ADIDAS ADIZERO ADIOS PRO4(以下:PRO4)を履く選手も多く、同じホワイトベースのアッパーにブラックスリーストライプのEVO 1とデザインが酷似していて、折り紙ヒールクリップの色、ソールのデザイン、色が見分けるポイントであったことを追記しておこう。
そして、もう一つの出来事は、3位の青山学院大学が100%【 ADIDAS 】着用となったこと。2021年の箱根駅伝では全員が【 NIKE 】を着用したこのチームもかつてのような【 ADIDAS 】全員着用、ブランド躍進の象徴のような出来事となった。
最後に、距離が短いということもあって青山学院大学の黒田選手は最新のADIDAS ADIZERO TAKUMI SEN 10、國學院大学の平林選手は前モデルのSEN 9と、ショートディスタンス用レースデイシューズで大会に臨むランナーもいた。
【ASICS 】のシューズ事情
全体シェア2位と25%に迫るシェア(当社調べ)となった【 ASICS 】
これは、いわばとにかく多くのランナーに履いてもらうという戦略が実ったこと、そして、単純に地方の学生に人気が高かった。ダントツ人気の【 NIKE 】に次ぐ人気であった【 ASICS 】、このことも総数には大きかった。
また、正月の箱根駅伝時には半々程度であったASICS EDGE PARIS とSKY PARIS のバランスも変化した。今大会では、総数に占める6割近くがEDGE PARISで、Edge=Skyの関係はEdge>Skyという関係に変わっていた。
3世代目のEDGEとSKYは5mmドロップと大枠の構造に大きな違いがなくなった。オーソドックスなスプーンプレートが入ったEGDEとフラットなプレートが入ったSKYになり、履いた印象は前回のSKYがEGDEのような履き心地になったというイメージなのでこの現象は納得できる。
また、1区帝京大学の山中選手は4代目のプロトタイプを着用していたこと、また、大学別に見ると法政大学は5名が【 ASICS 】の着用であったこと、関東以外の大学では、META SPEED SKY+など旧モデルを履く学生も少なくなかったこと、を追記しておく。
【その他のブランド】のシューズ事情
箱根駅伝で躍進の【Puma】は堅実に二桁の着用選手をキープ。ウエアスポンサーチームの城西大学を中心に4区以外、全区間で確認できた。着用シューズはほとんどの選手がPUMA DEVIATE NITRO ELITE 3。城西大のヴィクターキムタイ選手はFAST-R NITRO ELITE2を着用【 ADIDAS 】着用者以外で唯一の区間賞であった。
【 On 】は5足と徐々に勢力拡大中。これは箱根駅伝も増えそうだ。勢いに乗る【 On 】 という印象。Cloud Boom Strikeの最新モデルがほとんどであったが、駒沢大学の最終区、篠原選手だけが真っ白なカラーのプロトタイプであったようだ。
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【HOKA】は2足。ただすべてIVYリーグの選手。ちなみに彼らは NIKEかHOKA、自国ブランドを愛用というわけだ。もしくはすでにコントラクトを結んでいるのかもしれない。
【 出雲駅伝シューズ事情から見る今年の傾向 】
まず【 ADIDAS 】選手の活躍がトップトピックであろう。区間賞をほぼ独占するこのパフォーマンスは、世界のマラソンレースで活躍する【 ADIDAS 】選手と重ね合う。
また、このブランド、日本法人社長として、ADIZERO生みの親、あの萩尾孝平氏が帰ってきた。これは、勢いは衰えるどころか、ますます盛り上がりそうな、そんな予感すらある。
また、【 ASICS 】のシェア拡大傾向は、その他の大会でも同じであろう。日本の発祥のブランド、シューズ性能に大きな違いがなければ、このブランドを履きたいという日本人ランナーは少なくないのであろう。
そして【 On 】は、正月の箱根駅伝では【 NIKE 】着用選手であった駒澤大学の篠原選手もついにGETと、勢力を徐々に拡大して5名の着用者は十分サプライズであった。これは、本線箱根駅伝本線では二桁もあるかもしれない。
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