ザワークラウトにまなぶ発酵と腐敗 バイオ系大学院生による微生物のはなし2
発酵と腐敗は、実はとてもよく似た現象です。今回はその違いについて、実際にキャベツの発酵食品であるザワークラウトを作り、考えてみました。
まずは簡単にザワークラウトの説明を。日本では中々なじみのない名前ですよね。
ザワークラウトとは、ドイツにおけるキャベツの発酵食品で、日本でいう漬物みたいな感じです。味は少し酸っぱいですが、慣れてくればハマりますよ!
作り方も非常に簡単で、用意するものは、
・キャベツ
・塩
・瓶
・洗剤、熱湯(瓶や包丁の消毒用)
これだけ。作り方としては、
1.包丁や瓶など調理に使うものを洗剤や熱湯でしっかり消毒。
2.キャベツを細かく切り、キャベツの2%ほどの塩を加えてまぜる。
3.瓶にキャベツをできるだけ強く押し込み、ふたをする。
4.日の当たらない涼しい場所で3日ほど放置。
発酵中、ガスがでるので1日1回はふたを開けてガスを抜く。
5.徐々に色が褐色になり味が酸っぱくなると完成!
その後も酸っぱくなり続けるので、好みのタイミングで食べる。
※ 完成した後は冷蔵庫で数日保存できますが、なるべくお早めに。
このようにとても簡単で、なにより美味しいです。
次に、このザワークラウトをつかって発酵と腐敗について考えてみますが、その前に簡単に発酵と腐敗について説明します。
発酵も腐敗も、微生物によって分解された食べ物が私たちにとって良いものか悪いものかによって決められます。
どういうことかと言いますと、微生物が食べ物に付着し分解を行うと、その食べ物の色が変わったり臭いが変わったりします。その結果、味や風味がよくなれば発酵、まずくなれば腐敗なんですね。
もっと細かく見ていくと、普段なかなか摂りづらい栄養素がつくられた場合は発酵、その反対に人間にとって毒になるものをつくってしまえば腐敗です。
こんな感じで発酵も腐敗にも微生物が関わっていて、よく似た現象といえます。
次に、実際にザワークラウトを作って発酵と腐敗について考えてみましょう。
まずは上のレシピ通りにザワークラウトを作ってみました。
色は少し褐変していて、酸味が出ていました。発酵は成功している様です。ザワークラウトの完成です。
次に、このザワークラウトをつかって腐敗を見ていきたいと思います。どうやって腐敗をさせるのかというと、
ザワークラウトのレシピの2.で塩を加えていますよね。
1.包丁や瓶など調理に使うものを洗剤や熱湯でしっかり消毒。
2.キャベツを細かく切り、キャベツの2%ほどの塩を加え、まぜる。
3.瓶にキャベツをできるだけ強く押し込み、ふたをする。
4.日の当たらない涼しい場所で3日ほど放置。
発酵中、ガスがでるので1日1回はふたを開けてガスを抜く。
5.徐々に色が褐色になり味が酸っぱくなると完成!
その後も酸っぱくなり続けるので、好みのタイミングで食べる。
※ 冷蔵庫で数日は保存できますが、なるべくお早めに。
この塩をいれないと腐敗します(;'∀')
実際に塩なしのレシピで作ってみました。
その結果、、、
一日足らずでカビがめちゃめちゃ生えてきました。当然、見た目や健康面を考えると私たちにとって悪いものなので腐敗といえます。今回はカビが生えた時点で処分してしまいましたが、もうすこし放置すると色や臭いにも大きな変化が出てくると思います。
(カビが生えたキャベツはしっかりと殺菌し、密閉して処分しました。皆さんも試される際は十分取扱いにお気を付けください。)
・なぜ塩を入れないと腐敗するのか
そもそもなぜザワークラウトができるのかというと、キャベツにもともと付着している乳酸菌が乳酸を作り酸味がでるためです。しかしキャベツには乳酸菌以外の微生物もたくさんついていて、乳酸菌が乳酸作りに集中するには他の微生物を抑えないと邪魔されるんです。そこで塩を入れると、ほとんどの微生物は塩があるとダメなのですが、乳酸菌は少しなら塩があっても生きられるので乳酸作りに集中できるというわけですね!
なので今回のザワークラウトでは、塩を入れることで乳酸菌が乳酸作りに集中でき(発酵)、
塩がないと、カビなど他の微生物も増えることで失敗した(腐敗)
ということですね。塩を入れることの重要性がよく分かりました。
このようにお家で微生物の存在を確かめることができ、発酵と腐敗について考えることもでき、非常に楽しいですね!!
今回はここまでです~!
読んでいただき、ありがとうございました。