カミングアウトの難しさ

例えばあなたがトランスジェンダーで、生物学的な性と自認する性が異なっている時。または今まで考えてきた進路とは全く違う進路に進みたいと思った時。
自身が思う本来の姿と周りから思われている自分の姿との間にギャップが生じた時、あなたはどうしますか？誰かに相談しますか？

なぜ人はカミングアウトを必要とするのか

「自分の人生なんだから、好きに生きなさい」というようなセリフは、1度は聞いたことがあるだろう。しかしいざ自分らしく行動しようとすると、その前に誰かに聞いてもらいたい、自分の行動を認めてもらいたいと思ってなかなか勇気が出せない。人の目を気にしすぎてしまう私にはよくあることだった。私は「なぜ人はこんなにも誰かからの承認を必要とするのか」と考えたことがある。

私が出した答えの一つとしては、「そもそも人間が少数派になることを忌み嫌うから、そして、今まで生きてきた中で一番信頼している人に少数派であることを認められれば誰が何と言おうと少数派に残り続けられるだけの覚悟と自信がつくから」だ。

多数派同調バイアス
自分自身の考えとは違っていたとしても多数派の考え方に合わせようとする心理学的な傾向のことを言います。自らの周りの大多数の人に協調的な行動をすることで、「集団の一員である」という安心感を得ようとするために起こる心理現象です。

KUMA Partners ブログより

多数派同調バイアスという言葉があるように、私たちは少数派を本能的に嫌うことがあるそうだ。多様性が認められたからといって自分が他人と違うことをすぐに正当化して堂々と生きていけるかといわれると、実際そうでないことが多いらしい。

では、どうすれば少数派として生きていくだけの精神的な強さが得られるのか。その解決策こそが一番信頼を置いている人へのカミングアウトだと私は考えた。

例えば生まれた時からずっと世話をしてくれた両親や1番仲の良い友人など、自分が最も安心して過ごせるような人へ「本当の自分」を知ってもらい、その人から認めてもらえば「この人が言うなら自分の考えは間違っていないんだ」と自信を持てるようになるのではないか。
実際私も大きな決断をする際には必ず両親に相談をしてから行動することが多い。

カミングアウトという手段は諸刃の剣でもある

とはいえタイトルの通り、「誰かに認めてもらいたい」とは思うもののやはり本当の自分を打ち明けるのは誰でも勇気がいるし難しいことだ。
たしかに1番信頼のおける人に認めてもらえれば、他人の目は気にならない「無敵」のような状態になるが、結果がその逆になったらどうなるか。
大切な人から本当の自分を否定されてしまった時、あなたはおそらく深い悲しみに襲われるだろう。そして立ち直ることも、出来なくはないがとても困難だと思う。
そのような点において、カミングアウトすることは良い方にも悪い方にも転ぶということだ。

カミングアウトするか否かに正解はないと思うし、あったとしても人それぞれだと思う。しかし本当の自分を知ってもらうことが出来れば、今まで不安要素になっていたものが変わってくる可能性はある。