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発達特性摂食系

かつて発達障害として整理され、現在は障害ではなく特性であるとされている自閉的で他者とのコミュニケーションに円滑さが乏しいタイプは、数十年を経て徐々に社会に認知されるようになってきました。そのように整理されることで、さまざまな角度からのアプローチによって理解が深まり、対処方法の幅も広がっています。

こうした自閉系の発達特性とは異なり、社交的でコミュニケーション能力に不足はないものの、偏食に代表されるようなコダワリを持ち、その人にとって嫌な事柄が迫ると我慢出来ないほどの不快感にとらわれることから、他者にとっては些細な事柄であることを理解していても激しい感情表出をしてしまって周囲を驚かせるとともに、事後に気まずい思いをさせたことへの自己嫌悪から情緒不安定に陥りやすい・・・というような生きづらさを抱えている人が少なくないように感じています。一般的に外面(そとづら)はよく、社会生活には概ね馴染むので、希薄な社会的関係性の中では問題なく振る舞うことができ、目立つことは少ないのですが、同居する家族等の甘えの許される相手に対しては自分の思いや感情を表現しやすいため、周囲の理解や配慮が必要となります。また、その特性の程度が著しい場合や問題がこじれた場合には、摂食障害や強迫性障害、うつ、不安障害等、精神科領域の疾患として治療の対象となるケースもあります。

多くの場合はちょっと手のかかる子(人)というくらいで、特性というよりも個性という程度のものですが、自閉系の子に対する理解が広がったことによってその子の生きづらさを感じる程度が軽くなってきているように、たとえば「摂食系」と整理して理解が広がれば本人及び周囲の人々のストレスが低減し、問題がこじれて治療対象となるリスクも低くなるのではないかと思っています。また、摂食障害に関する研究の成果物(対処方法や治療法)がこうした人々にも活用できる可能性もありますから、「摂食系」と整理する意味はあると考えます。

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