西日の涯てから特快が来る
東中野から立川までの中央線はほぼ一直線に真西に伸びているため、秋分の前後の日没直前には、上り列車が本当に夕日の中から走ってくるように見える。高架駅のホームの西端に立って入線を眺めると、障害物が少ないために、特に強くそう感じられる。
巨大なオレンジの球体のどこかに始発駅があるから、その車体のラインカラーもオレンジ色に定められたのだ。昭和時代の、頭の硬い国鉄官僚達が、会議室においてそのように議決したのだと聞かされても、容易に信じこんでしまうだろう。
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遠ざかるほどに威容を増すような西日の涯てから特快が来る
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今日は一日、良い天気だった。
国立市内において、蝉の鳴き声を聞いた。
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