
【Q12.山形新幹線E8系に乗りたい】3.新庄始発つばさ122号でE8系初体験
(前回の記事はこちらです)
そうだ! 今から乗れば良いじゃん!
新庄駅前のビジネスホテルにて早くから就寝。翌朝は午前三時半に目が覚める。夜空は既に白み始め、地平から茜色に照らされ徐々にコバルトブルーに化しつつある。

山形県の盆地エリア、内陸エリアは、山梨や長野に似ているなと、自分は勝手に分類していた。車窓から見える風景も似ているし、フルーツ王国であるという共通点からも、そう思っていた。だが、この超早朝時間帯からの、この明るさは、中部地方の盆地とはやはり異なるのではないか?
新庄は、山形県内でも北の方に位置し、緯度が高い。高緯度地帯の夏は、日の出が早く、日の入りは遅くなる。その分日照時間は長い。地学的にはごく当然の、義務教育の理科や社会科に属する知識なのだが、その事実を体感と観察によって理解できたように思う。

目が冴えて、二度寝する気になれない。せっかく旅に出たのだから、早く動きたい。この時間から、何をどうしようか?
始発の新幹線つばさを見に、新庄駅まで行ってみよう。最初はそう考え、手元の時刻表をめくる。最も朝早いつばさは、5時40分発の、つばさ122号だ。丁度良いことに、E8系だ。
と、ここで考えが変わる。この、始発の新幹線に乗れば良いじゃないか! 僅かな手荷物だけ持って、短距離だけでも乗って、途中で降りて戻ってくれば良い。そうだ、そうしよう!

新庄駅前に行く。駅前バスターミナルから発車する、陸羽西線代行バスの時刻を再確認。8時10分発の余目行きバスに乗りたいので、それまでに戻って来れるようにしたい。

5時40分発のつばさ122号で、さくらんぼ東根駅まで行ってみよう。さくらんぼ東根6時08分着。復路は、6時26分さくらんぼ東根駅発の、在来線の始発の下り列車に乗れば、7時09分にこの新庄まで帰ってこられる。このスケジュールなら、一旦ホテルの自室に戻ってから、余裕を持ってチェックアウトし、朝食も食べられるだろう。

駅の窓口はまだ開いていない。何人かの客が既に並んでいる。自販機で切符を購入する。二〇六〇円。13号車4番A席。進行方向左手、東側の窓際座席だ。
改札が開くと同時に入構し、E8系の車輛を眺める。車体のカラーリングは、従来のE3系と、そこまで大きく変わらない。
つばさ122号でE8系初体験
5時40分新庄発。東京行き。自分の乗車時間は決して長くない。男声の自動音声が定型のアナウンスを行った後、女性の車掌が途中駅の停車時刻などの具体的な情報をアナウンスする。

早朝時間帯の、東側の車窓は逆光で眩しい。近景の水田には日輪が鮮明に映り込む。地上線路を走行しているため、その様子が良く見える。
さくらんぼ東根までは28分。自分の乗車時間は、決して長いとは言えない。座席の様子を確認する。



まず気付いたのは、足の裏を乗せるフットレストが無いことだ。E3系にはあったものが、無くなっている。近年では、在来線特急でも、備えられていることが多いのに! これは不満が残る所だ。コンセントは窓際にあり、シート上部には可動式の枕がある。

大石田、村山を経て、6時08分、さくらんぼ東根着。地上駅だ。去っていくE8系車輛を見送り、跨線橋を渡って改札外へ。この時間はまだ係員が配置されておらず、事実上のフリーパスであった。駅周辺を見渡すと、普通の住宅地が広がっている。遠景には山地が連なり、その向こうは宮城県だろう。

駅舎には飲食店、土産物屋、イベントスペースが併設されているが、早朝過ぎていずれもまだ開店していない。

駅前のロータリーにも、誰もいない。
在来線の切符を買い、再び駅構内へ。この時は、駅員が居た。

6時26分、さくらんぼ東根駅発。新庄行。昨日の夕方に乗ったばかりの路線だ。西側の車窓は、逆光に妨げられず田園風景を見ることが出来る。遥か遠くに奥羽山脈が見える。近景に田園を、遠景に山脈を配する構図は、東の車窓も西の車窓も同じだが、西の方が可成り広々としているように感じる。

在来線の各駅停車だが、速度は存外に速い。通常の在来線の狭軌よりレール幅の広い、標準軌であることのメリットであろうか? 大石田から先のカーブ区間は、前面展望が楽しい区間だ。




7時09分、定刻通り無事に新庄に帰って来る。駅北側のホームに待機している、奥羽本線や陸羽東線のディーゼル車両を、しばし眺める。一旦ビジネスホテルに戻り、チェックアウト。
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