【Q1.二〇二三年三月一八日開業の新駅を巡る】3.幕張豊砂駅にて
(前回の記事はこちらです)
幕張豊砂駅の下りホーム、一番線は地上階にあり、駅舎と改札口まで繋がっている。駅舎の天井は採光性のある材質で造られており、現代的なデザインをしているが、自然災害に強いかどうかはわからない。スペースに余裕がある駅構内の一角では、鉄道マニアらしき男性三人組が立ち話をしている。
改札の向こう側には、既にイオンの巨大建造物の看板が見える。この駅は、イオンの請願と費用負担によって立てられた「請願駅」だという。人々は思い思いにその方向へ向かう。平日の午前中なので、まだそれほどの人数ではない。
改札を出る。駅舎のファサードを改めて眺める。白を基調とした瀟洒な外観は、美術館やアートギャラリー等の文化施設のようにも見える。その白い壁に、シルバーの駅名表示が、掲示されている。オシャレではあるが、視認性の点では些かの疑問を感じざるをえない。
とりあえず、自分もイオンに入ってみる。イオンらしい広大さだ。全てを見て回ることは、とても出来そうにない。入口付近の食料品コーナーにて、爽健美茶の一番小さいボトルを購入した。
イオンの二階から駅周辺を見下ろす。駅周囲には、現時点ではこのイオンと、バスロータリーと、交番以外は何も見当たらない。交番の建物もどこかしらアーティスティックだ。それ以外は未だ、巨大な建築現場だ。幕張の青空にも、クレーンが高く聳えている。自分は、建設用重機に関する何の知識も無いので、この現場のクレーンが、新綱島の工事現場のクレーンと同じ機種なのかどうかは、分からない。しかし空の色は、新綱島も幕張豊砂も、全く同じ五月の青だ。
バスロータリーは非常に広大だが、バス自体はほとんど停車していない。今の時間帯は大体このような状況なのか、そもそもバス路線自体がまだ未整備で、これから新路線が設定されるものなのかは、わからない。数少ないバスが、時折どこかからやって来て、またどこかへ向けて発進していく。
今日の空から生まれてきたかのようなスカイブルーの、このバスに近づいてみる。京成バスだった。自分が知っている、グリーンが基調の京成バスと、異なるカラーリングだ。
駅の反対側、陸側には広大な車両基地がある。京葉線の車両が並んで停車している。その陸側も少し見てみようと思ったが、道が無い。通路も跨線橋も見当たらず、歩行者の動線は完全に分断されている。諦める。
次の目的地までの切符を券売機で買おうとしたが、遠隔地のため、この駅の券売機では対応できない。この駅には、みどりの窓口は無く、係員の姿もない。どうしようかと思ったが、これからの経路上において最も近いみどりの窓口設置駅である、新浦安までの切符をとりあえず買い、入構する。
上りホームは二階にある。上りと下りで駅の階層が異なる、二層式の構造だ。神楽坂駅や銀座一丁目駅を思い出す。
二階の上りホームから、一階の下りホームを望むことが出来る。下りの通過列車を上から撮影する。僕が居る上り二番線ホームも列車が通過していく。
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