どこか誇らしげで、普通に臭かった。
郵便局に用事があったので、授業の前に原付で向かった。雨の日で、頭が重く憂鬱な気持ちを密かに抱えながら、いくつかの信号を超え郵便局に着いた。
僕の一歩先にお爺さんが入ろうとしていた。しかし、そのお爺さんはドアの前から一向に前に進もうとしない。
なぜこの状況があるのかを処理するために考えた。
お爺さんの前には、ATMがあり先にATMを使っているお客さんがいた。
僕は、お爺さんが他のお客さんの暗証番号を見ないためにおこなっている思慮深い行動なのではないかと仮説だてた。
もちろんそうでなければ、それで構わない。しかし、見ず知らずのお爺さんの行動を想像力を働かせ、善行として処理できた事に満足したので、追い越そうとした瞬間おじいさんのおしりから(ぶっっっ!!!!!!)。
僕は、この前見た戦争をモチーフにした映画の爆撃シーンを鮮明に思い出した。その音は、誰かが警察を呼んでもおかしくなくむしろ呼ばない方が不自然なのではないかというぐらいでかかった。
そんな中立ち尽くしていると、お爺さんは前進し始めた。
お爺さんは自分が放屁を店内で済ましたくなくて、入口前で済ましていたのだ。入口前に立っていた時間からすると相当集中していたのだろう。
本当の爆撃が来たとしても微動だにせず、立っていただろう。そんな、爆撃放屁を真顔でかましてきたお爺さんの背中はどこか誇らしげで普通に臭かった。