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神様、男として持つべき自信っていつ戻ってきますか?


一般的に人は、嫌なことがあったり恥ずかしいことがあったりすると顔に出ると言われています。表現で言うと顔色が悪いとか、赤いとか。そのカテゴリーを僕はひとつ増やした。

話は1年前に遡る。コロナの影響で出会いがないと先輩に相談したのがきっかけだった。その中で、出会い系アプリを入れたらという提案があったのでノリでインストールしてみた。

最初は入れただけで、結局そのアプリを消してしまった。そこから何もなく月日がながれていった。そして、暇だったのでアプリの整頓をしていたらその消したはずのアプリが画面の隅っこに寂しそうに佇んでいた。

そのアプリを開いてみると、なんと30人近くの女性とマッチングしていた。私は、モテてた気分になりゲーム感覚で返信をしていた。

そうすると、異様に返信が早い女性がいて、話も合ったのでLINEを交換し、私はその子と電話をした。聞く音楽など、共通点が意外とあり話も盛り上がった。そして向こうから、12/18日遊ばない?と誘いが来たので私は何も考えずその誘いに食いついた。久々の恋愛の予感鼓動は会う日に向けて早くなっていたと思う。


そして当日会ってみると写真よりも数倍可愛く私のテンションは上がっていた。初対面から話も弾んだし、今日は楽しく行けそうだと思い、胸の高鳴りは最高潮に達した。


しかし、電車の中に入ると突如彼女の様子がおかしい。話しかけても、返答がない。そこで私は普段あまり使うことの無い頭をフル回転させ考えた。

ケース1  彼女の基準値に私が達してなかった。

ケース2  体調が悪い。

ケース3  どこかで彼女を怒らすようなこと言ってしまった。

の3つのケースに絞られると私は考えた。次の行動を高速で頭の中でシミュレーションしていた。その時、私に突然LINEが来た。誰からだろうと思うと、彼女からである。先に動き出したのは彼女だった。


慌てて携帯を見ると、「比嘉くん、ごめん。さっきいとこのお父さんが亡くなったってきいて、気分が乗らない。だから次の駅で降りるね」と文字が綴られていた。

どのケースにもあたハマらない驚愕の言葉に私の頭は停止しかけたが、私はまた頭をフルブーストフル回転で考えた。彼女をどうやったら優しく、さりげなく家に返せるだろう。言葉を慎重に選びながら返答し潔く帰ることにした。

解散した後に、彼女から「ごめんね」と連絡が来たので私は「気にしないでいいよ。また心に余裕が出来たらでいいから、また連絡して。この文も既読無視でいいよ」とだけ送り私は、家に直行した。


そして家に着いてインスタを開くとブロックされていた。


急いでLINEを見るとLINEもブロックされていた。


僕と遊びたくなさすぎて、おじさん殺したの?親戚殺めてしまうぐらい僕と遊ぶことが嫌だったんか?

本当の場合も考えたが、彼女はずっと僕と喋っていて携帯を見ていなかったことを思い出し彼女がおじさんを殺めたことが確定。


実際に鳴ったかはわからないが、思考停止の音が鳴った。そして、目の前の鏡に写るできる限りのオシャレを施した服、整えた髪の毛、保湿された手のひら、1年ぶりに女の子と遊べるから調子に乗っていた私を見ると、顔が赤くなるとかそういう次元ではなく、何故か顔がパンパン腫れてきた。泣いて腫れたわけではなく、それとは全く別の超常現象が僕の体に起きていた。顔色悪いとか赤いとかではなく、顔パンパンになった。人は、いや人と言うより僕は感情が交差しすぎるとパンパンになるみたいだ。破裂しなかっただけ良かったと思う。


実質彼女と過ごした時間は、30分間だった。一体なんだったのだろう。30分でおじさんを殺してしまうぐらい遊びたく無くなるような僕ってなんなんだろう。払った電車賃はバイトすれば戻るが、男としての自信は電車を降りる時に置いて来てしまったので暫く戻ってきそうにない。


私は会ってすぐ見捨てられるようなしょうもない男だったのか。おじさんを殺してまで逃げ出したい相手だったのか。恥ずかしさ、惨めさから来る自信喪失により、私の頭はとっくにストレス限界値を超えていた。そして私は静かにベットに横たわり天井を見上げ、いとこのお父さんは元気にしているのかななどを思い浮かべながら、天井に向かって叫んだ。


そして、時は経ちまだ自信は電車に揺られている。神様いつ男としての自信もどってきますか?

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