2024年の4月と5月で読んだ本の感想(22作品)
文字の本を、年間で5冊も読めていなかった担当。
正にもう、このタイトルのまんまな感じで本がここ数年読めなくなっていたんですが。
ちなみにこの本の事を知ったのもYouTubeの「ゆる言語学ラジオ」経由で、まあいかに本を読むという事をやっていなかった、って感じなんですけど。
このポストだったかYouTubeの方の動画で紹介していたのか。
スマホは見るけど本は読めない、みたいな感じでここ数年自分の生活環境は推移していました。
ちなみにこの本も買ってはいるけどまだ読んでません。
4月から転職して「自転車通勤ダメ」「毎日電車で通う」という環境になって、電車内が暇なので本を読み始めたら。
今度はなんの反動なのか凄いペースで本を読んでいます。
元々、速読というものを独学で練習していた時期があったので、そのトレーニングも思い出しつつ読んでいる感じで、多分一般の方より読むスピードは速いんじゃないかと思います。
ゲームは今のところ4月以降で3本しか触れていないので、色々極端な人間ですね。
いつまで続くのか良く分かりませんが、覚え書きとして本の感想を残してみたいと思います。
先に書いておくと、担当が読む文字の本は、ほとんどが推理小説になります。
(21作品、で最初に公開していたんですが、数え直したら22作品ありました……)
●占星術殺人事件
「十角館の殺人」を読んだ事がなく、日本のミステリ作品の名作のうちの1冊、みたいな紹介の仕方を良く見るので。
いつか読んでみなければ、という感じで読んでみたらなかなかにたまげた1冊。
個人的な衝撃度は、「アクロイド殺害事件」「エジプト十字架の謎」「殺戮に至る病」「ハサミ男」「今はもうない」辺りを読んだ時並の驚き(各作品ともに、読んだ時期とか思い入れとか色々あるのでみんながみんな驚くかどうかは分からないわけですけど)。
凄いと事前に聞いていたのに、ちゃんとそれを感じさせるのはもう脱帽だわい、という感じでした。
で、割とセットでよくタイトルを聞いていたのが「占星術殺人事件」です。
超久々の電車通勤を始めるに当たって何か読もうと思った時の1冊目に選んだわけですが、
良い本でした。
この2冊が、当時日本で松本清張さんが作り上げた、「リアル路線の推理もの」から「新本格推理もの」へ新しい流れを作る上で大きな役割を果たしたのでは? と感じています。
個人的には、松本清張作品もめちゃ好きです。
俗に「読者への挑戦」と言われる、
「推理の材料は全て揃った。読者諸君はこの事件の真相が分かるか!?」
という感じの、作者からの挑戦パートが入っている作品です。
しかも2回。
わざわざそういうパートが入っているので、割とトリックとしては大掛かりというか、凝ったものになっています。
僕は2回目の「読者への挑戦」が出た後に、トリックと犯人に気が付きました。
やや古典トリックに近い系譜なので、推理ものをある程度読んでいる人なら気付くのではないかと思いますが、舞台の趣向、物語の見せ方が非常に上手く、名作と言われる訳だわい、と思いました。
お勧め度は、5段階で☆4。
●虚無への供物
この作品もよく名前を聞く気がして、占星術殺人事件を読んだならこの辺も読んでみないとね! と、図書館で借りてみた本。
しかし後から気が付いたんですが、この作品は、「日本三大奇書」の一角だったんですね。
奇書の割にあまりに読みやすかったので、全然その認識がないまま読み終わってしまいました。
三大奇書は「ドグラ・マグラ」だけ読んだ事があるんですけど、正直なかなかに難しいし読みにくかった記憶。
そして分かんなさ過ぎてお話とかあんまり覚えてないし、犯人がどうとかもうもっての外。
割と子どもに近い時期に読んだので、1回読み直してみたい気はするんですけど腰が重い。
ドグラ・マグラは青空文庫にもあるので、そっちでちょっとどんなか見てみるといいかも。
で、虚無への供物なんですけど。
ミステリというよりも、アンチミステリという感じの作り?
各事件について登場人物がそれぞれ持論の推理を披露して、そのどれもが可能性がありそうなそれでいて荒唐無稽のような。
読者を煙に巻きにきているような印象。
日本ミステリ史の一角としてこの作品が出てきた時代背景を理解しているかとか、一般的なミステリ作品の展開を教養として理解しているかとか、そういうバックボーンがあった方が面白い気がする作品。
お勧め度は、5段階で☆3。
☆2.5でも良いかも。
マニア寄りな人が読む方が良い気がします。
●アリス殺し
このペースだと読む本がすぐなくなっちゃうな……、と思い、図書館でジャケ借りした1冊(一応、どこかで紹介記事か何かは読んだ事があった気がする)。
これはかなり好きでした。
俗に言う、「特殊設定ミステリ」というやつで、特殊な世界観や別世界で展開されるタイプのミステリです。
物理現象自体から今の世界とは違ったりする事があるので、トリックも何も、何でもできそうな気がしてしまうんですけど。
その中で説得力を持たせつつ推理ものとしてきちんと展開させる作り。
「デスノート」みたいな、特殊なアイテムとか能力とかあるのに、ロジック作りは破綻しないみたいなそういうタイプの作品です。
特殊設定ミステリ自体は多分初めてに近い感じで読んでいる気がしますが(森博嗣さんの作品で何か読んでたかも……??)、非常に新鮮で面白かったです。
ただ不思議の国のアリスの不思議な世界観を再現しているような独特の言い回しで、蜥蜴のビルが延々訳のわからないセリフを被せて来るところ。
速読でモリモリ脳味噌に入れてると、目眩がするほどにクラクラしました。
読了後に気が付いたんですが、「玩具修理者」の小林泰三さんだったんですね。
玩具修理者で賞を取った時にこの作品を読んだんですけど、同じ方だと全然気が付かなかった……。
面白かったです。
お勧め度は、5段階で☆4。
●六法推理
これは本屋さんで特集か何かされていて、ジャケと平積みの圧で買ったまま積んでいた1冊。
作者さんは現役の弁護士さん、かな?
法律、法廷、弁護士、みたいな視点から色々本を書かれている方のようで、今までに読んだ法廷ものとかとちょっと違う感じで面白かったです。
「映画の法廷ものみたいなドンデン返しは、日本の裁判システムだと起きようがない」
みたいな事をどっかで書かれていて、その道の専門家らしい、丁寧な描写が新鮮でした。
短編集、若い人を意識した表紙のイラストと装丁、というところで読みやすさ重視という感じ。
凄いトリックとか重さがあるというより、キャラを楽しむ、に近い感じがしました。
これで終わりにせずに、同じメンバーで2冊目が是非読みたい……。
(と思ったら、2作目出てた!これは必ず読みます。このメンバーのその後を是非読みたい)
お勧め度は、5段階で☆3。
読みやすくて外すさない、という感じです。
●森博嗣のミステリィ工作室
担当は森博嗣さんがとても好きで。
同一の作者で一番作品を読んでいる人だと思います。
300~400作品ぐらい著作があるのではないかと思いますが、初期から100作品ぐらいまでは読んでいるはず。
改めて追っかけないと、と思っています。
どうも今年は沢山本を読みそうだぞ、と感じた時に、
「そういえば森博嗣さんがミステリィを100冊紹介していたな」
と思って、今後読む本の参考にしようと思って再読しました。
多分再読時点で100作品中読んでいたのは15作品くらい。
映画も漫画もそうですけど、作品って世の中にありすぎて、全然消化できないですよね。
中高ぐらいの時に森博嗣さんの本を読んでいたら漫画家を目指さずに建築学科に入ってそっち系に進んでいたんじゃないか、と思っているくらい、好きな作家さん。
お勧め度は、5段階で☆3。
エッセイに近い本なので、ファンの方ならって感じではあるし、ファンの人ならもう読んでいそうだし。
●斜め屋敷の犯罪
「占星術殺人事件」がなかなかに良かったのと。
「森博嗣のミステリィ工作室」の中で森博嗣さんが100冊の中の1冊として取り上げていたな、という事で読んでみました。
この本も日本のミステリ史の中ではやや古典側に寄った時期で(占星術殺人事件の後の2作目なので当然ですけど)、大がかりな仕掛けが施されていそうな匂いが序盤からプンプンします。
奇天烈な斜め屋敷の作り、雪に周りを囲まれてしまった密室、謎の出来事、密室殺人。
と次々に展開していき、占星術殺人事件と同じように「読者への挑戦」が作者から突きつけられます。
占星術殺人事件の方は分かったんですけど、こっちはちょっと分からなかった……。
あれこれ書くとネタバレになりそうなのでアレなんですけど、ちょっとブッ飛んでる。
しかし冷静に考えると占星術殺人事件だってブッ飛んでいるので、読み手の感じ方なのか事前の期待の仕方なのか。
お勧め度は、5段階で☆3、から☆2.5くらい。
正統派な本格ものが好きな人は、ちょっと合わないかも?
●魔女の原罪
これはなかなかに衝撃。
トリックがどうとか最後に驚いたとかそういう事ではなく、お話の作り、全体の構造、物語の凄さに衝撃を受けました。
2024年に読んだ本の中でも自分的には上位に来そうな一作。
「六法推理」がなかなか良かったので、作者の五十嵐律人さんの他作で評判が良さそうなものを1冊、と思って手に取ってみたのですが。
やはり法律絡み。
このオビの紹介文、いいですよね。
入りのゆったり感、特殊な学校の校風、主人公の抱える持病、みたいなところが少しずつ描写されるのですが。
中盤からの加速が凄い。
そしてどこまで行っても「法律」というものが、常について回ってくる物語構成。
力のある作家さんだわぁ……。
お勧め度は、5段階で☆5。
●クララ殺し
「アリス殺し」の続編。
「え!?続編?? あの終わり方で!?」
ぐらいの事を、アリス殺しを読んだ人は思いそうですけど。
そして担当も思ったんですけど。
クララ殺しも面白かったです。
特殊設定ミステリの面白さと難しさはやっぱり、
「作家が勝手に考えた世界、ルールの中で展開するので何でもアリなはずなんだけど、その中でルールを読者に理解させ、ドンデン返しを起こし、納得させる事」
なんですよね。
ジャンプ系の読み切りバトル漫画を作ろうとすると、能力とか世界のルールとか、作者のご都合みたいになっちゃう事がほとんどで。
念入りに前提条件を説明しようとすると今度はマニュアル読まされてるみたいな面白くなさが出てきちゃう。
「デスノート」「未来日記」みないなお話とか、「HUNTER×HUNTER」の念能力バトルみたいなものとか、「カイジ」のような現実世界での特殊ルールとか。
上手く見せるのって難しいんですよね。
それをミステリと絡めるって、おいおい……。
とか思っちゃうんですけど。
2作目でも上手くそこをやっています。
お勧め度は、5段階で☆4。
●衣装戸棚の女
まず声を大にしてい言いたいのは。
「挿絵がとても良い!!」
この挿絵のために本を買っても良いんじゃない? というぐらいの良さ。
こういう絵を描ける人、羨ましいわぁ……。
そしてこういう絵を自分の本に使ってもらえたら嬉しいですね。
「森博嗣のミステリィ工作室」内で紹介されていた1冊。
1999年に出ている本でほぼその時期に読んだと思うんですが、その頃からずっと、
「衣装戸棚の女を読まねば……」
と思いながら半世紀過ごしてしまいました。
半世紀越しの邂逅。
まあ、邂逅というか、自分から触れに行ってるわけですけど。
世の中の一部での評判としては、
「出る時期が少し違えば、「黄色い部屋の謎」のような名作として世に名前を残したのでは……??」
みたいな言われ方もしているようなんですが(というか森博嗣さんが書いてたような)。
個人的にまず、「黄色い部屋の謎」が担当には刺さってないんですよね。
割と名作枠だと思うんですけど、あんまり刺さらなかったんです。
子どもの時に読んだので、全体的なトリックとか作りにピンと来てなかったのかもしれませんが。
で、「衣装戸棚の女」、なんですが。
「黄色い部屋の謎」に近いような印象かなぁ……。
でも物語としては面白かったです。
描写、キャラのユーモア。
肝心の密室トリックが、もう少し。
やっぱりもう少し古典寄りの時期であれば、評価されたような気がします。
お勧め度は、5段階で☆3。
●アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎さんは、陽気なギャングシリーズを読んでたくらい。
手持ちの読む本がなくなるな、という事で、なんか評判の良さそうな本を、という感じでチョイス。
上手い。
評価されるのは分かるけど、推理小説ではないような……?? と思いました。
担当的には、もの凄く上手い文学小説、みたいな受け取り方で読みました。
なんかねー。村上龍さんの本を読んだ時の感覚を思い出しました。
文章の上手さが。そんなに村上龍さんの作品、読んでるわけでもないんですけど。
もしかするとコインロッカー繋がりで、「コインロッカー・ベイビーズ」に引っ張られてるのかな?
やっぱり刺さる作者、刺さらない作者ってのはある気がして(というほど同一の作家さんを読んでいないのかもしれないけど)。
世の中で売れている有名作家さんだと、伊坂幸太郎さん、東野圭吾さんなんかは、あんまり担当に刺さっていない感じ。
なんでだろう? って考えてみるのも、勉強になるかもですね。
面白くないとか分からないとか、そんな訳では全然ないし、「アヒルと鴨のコインロッカー」も凄く良かったんですけど。
刺さらなかった、って感じ。
お勧め度は、5段階で☆3。から4くらい。
●切り裂きジャックの告白
何かの紹介記事を呼んで、だったと思います。
現代に蘇った切り裂きジャック、という感じのお話で。
切り裂きジャックがテーマなので、「連続殺人犯」「猟奇的」というところがテーマになりつつ、ミッシングリンク系のお話、だと思います。
「ABC殺人事件」「ハサミ男」「九尾の猫」みたいな系統?
フーダニット、ハウダニットよりも、ホワイダニットなお話。
ただ、推理ものというよりは、僕は1つの物語、文学みたいな印象を持ちました。
お話としてとても良かった。
ミステリとしてはそこまでじゃなかった。
お勧め度は、5段階で☆4。
●歯と爪
「森博嗣のミステリィ工作室」内で紹介されていた1冊。
事件の解決編部分が袋とじにされていて、それを開けずに出版社に送り返したら本の代金を返金します、という挑戦的な取り組みを行った本。
図書館で借りたんですけど、ちゃんと袋とじ部分があって、日本でもこの形で出版されていたんですね。
これ系の、ちょっと挑戦的な作りの先駆けなんじゃないかな、と思いました。
今となってはこの物語の中の仕掛けが特に目新しいわけでもなく、大きな感動はないんじゃないかと思います。
でもきっちり作られたドラマと、情報の解禁スピードで面白く読む事ができる。
名作と言われる事も多いようですが、ちょっと事前のハードルを上げすぎじゃないかな? と思いました。
お勧め度は、5段階で☆3。~2くらい。
●マルタの鷹
「森博嗣のミステリィ工作室」内で紹介されていた1冊。
いやー、凄い。
森博嗣さんも書いていたんですが、「主人公が今、何を考えているのか」さえさっぱり分からない、極限の客観描写。
常に第三者視点、神の視点で描写されます。
作者のダシール・ハメット氏は、ハードボイルド、というジャンルを確立された方のようですね。
他にレイモンド・チャンドラー、ジェームズ・M・ケイン、この辺りの方がハードボイルドの始祖?
とにかくもう徹底的な客観視点でキャラの感情とか思考とかそういうものを感じさせず、その乾いた描写故に突き放した文学的表現になると言いますか。
不思議な感覚を持ちました。
おそらく有名なシーンとして、2章冒頭のライターが床に落ちるとことか。
書き的の感情さえも乗ってこない感じが、最初はちょっと読みにくかったのですが、新鮮な体験。
大体担当は漫画でも、「そのシーンは誰視点なのか」を凄く気にするんですけど。
なるべく同一のシーンでは、複数人のモノローグを入れたくない。
誰の主観のシーンなのか、を考える。
複数人の独白は、頭脳バトルの騙しあいでお互いに戦略を練っているようなシーンとか、なるべく限定的なところだけにしたい人です。
小説だと特にそこが気になって、現代の小説では章とか節ごとに一人称視点で固定されている事が多いと思います。
この一人称視点じゃない感じが、古典系の小説だと違和感を感じやすいのですが、その極地という感じでした。
歴史的には大事な本なんだと思うけど、今これを履修しておかないといけないか、というと。消費側であるならばマストではないんじゃないか? という感想です。
良くできていた。
読むのをどうしてもお勧めする感じではない。
お勧め度は、5段階で☆4。
●人間失格
突然どうした??
という感じのチョイスなんですけど。
読んだ事なかったので。
リンク先は青空文庫のKindle版なので、無料です。
良かったら読んでみてください。
「これって太宰自身の話なのかな……??(作家ってすぐにこう思われがち)」
「面倒な人だな……」
みたいな色んな事を感じながら読んだんですけど。
まあとにかく文章が激上手い。
そうめんつるつる飲んでるみたいにスルッと入ってくる。
この文章力凄い……。
お勧め度は、5段階で☆3。
●被害者を探せ!
どこでこれを知ったのか覚えてないんですけど、凄く良かった。
普通は、「犯人を探す」「手段を調べる(密室トリックとか)」「何故殺されたのか調べる(ミッシングリンクとか)」という、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットというのが普通なんですけど。
このお話は、
「犯人は分かってるけど、被害者が分からない。被害者を探せ(推理しろ)」
という変わった作り。
これだけで発明だと思うんですけど、でも、なんというかそこが面白い訳でもないんですよね。
発想は面白いけど、そこの正解に至るまでのトリックがどうとか、あんまりそういう感じではない(一応辿り着けるようにロジックは組んである)。
出てくる人物達の描写が、凄く上手い。
色んな人間がいて、それぞれの考え方とか大事にしている事とか主義主張がぶつかって、という、人間社会の縮図の描写が凄い。
この人物描写を読むために1冊どうぞ、という感想です。
お勧め度は、5段階で☆5。
オススメ。
●血の収穫
「マルタの鷹」と同じく、ダシール・ハメット。
「マルタの鷹」の極端な第三者視点描写がちょっと衝撃だったのと、この「血の収穫」が黒澤明の「用心棒」の原型になったらしいと聞いて、チェックしてみました。
このお話のプロットが後世の色んな作品にめちゃくちゃ影響を与えたらしく。
今となってはもう珍しくもない、
「悪党たちの対立によって荒廃した町に主人公が現れ、複数の陣営に接触して扇動や撹乱を行い、彼らの抗争を激化させて殲滅する」(Wikipediaより)
という作りが普通過ぎて何とも思ってなかったんですけど、最初の発明がこの作品だったみたいです。
教養として読んでみた感じで、悪くはもちろんないし、めちゃオススメでもなく、という感想。
お勧め度は、5段階で☆4。
●とある魔術の禁書目録(1巻)
アニメ、ラノベを結構履修してないんですよね。
アニメは全く見る習慣がなく。
インデックスのシリーズは、KADOKAWAさんがBOOK☆WALKERをリリースした時にめちゃくちゃリーズナブルにセールされていた事があって。
その時にまとめて電子書籍として購入していたんですけど、ずっと読んでなくて。
今回遂に解禁した次第です。
やっぱり分かりやすくて面白い。
作者の鎌池和馬さんって、超速筆らしいですよね。
ただ自分が編集だったら、「幻想殺し(イマジンブレイカー)」が主人公になんで乗っかってるのか、発動される上での縛りは何なのか、とかそんなとこを絶対整理しただろうなと思いました。
このまま突き進んじゃうのは凄い。
なんとなく、2巻以降が更に面白くなっていくんだろうな、と思いました。
あと、超電磁砲は原作小説はないんですね。
ビックリしました。
漫画用のスピンオフとして作られていると知って、めちゃビックリ。
鎌池和馬さん、凄いわ。
あと編集の三木さん。
お勧め度は、5段階で☆3。
●四人の女
「被害者を探せ!」が凄く良かったので、作者のパット・マガーの別作品を。
これも凄く良かった。
他に、「犯人側の視点で、登場人物の誰かが探偵のはずだがそいつを見付ける」という「探偵を探せ!」という作品もあってそちらも読んだんですが。
個人的に一番好きなのがこの「四人の女」。
今回のお話も、「被害者が分からない」という形のお話ですけど、あんまり推理していくとかそういう感じじゃないかな?
あと、読んでいったら大体途中で分かる気がします。
そういう「誰が」みたいな事はやっぱり今回もどうでも良くて。
人物描写が非常に巧み。
4人の女と1人の男。
それぞれのキャラ描写と掘り下げが素晴らしい。
特に主人公が凄く良い。
推理小説を求めているけど、物語としてこの作者の本は楽しんでいます。
お勧め度は「被害者を探せ!」に引き続き、5段階で☆5。
2024年、上位に入ってきそう。
●連続殺人鬼カエル男
書いても書いても終わらんな……。
良く2ヶ月でこんなに読んだな。
「切り裂きジャックの告白」が結構好きだったので、もう1作同じ作家さんのものを。
これもタイトルに連続殺人鬼、と入っているので、ミッシングリンク系ですかね。
切り裂きジャックよりもこっちのが好きでした。
どちらの作品も、ミステリ作品として推理がどうとかトリックがというより、物語として良くできている感じ。
そしてどちらも結構エグい描写があります。
「さよならドビュッシー」という作品を1作目とした、音楽をテーマに据えたシリーズもあるようで、こちらは多分爽やか路線……??
こちらの路線も読んでみたいなと思っています。
お勧め度は、5段階で☆4。
ほぼ☆3~4に落ち着くのは、どんな本を次に読もうか決める時に、名作っぽいのを検索して決めているからです。
●ロードス島戦記1 RPGリプレイ集呪われた島編
ン年振りの再読。
おそらく「TRPG」というものがどういうものなのか、初めて触れたきっかけ。
結局担当はTRPGというものをほとんどやらないまま過ごしてきたんですが、当時読んだ時はめちゃくちゃ面白そうだな、とワクワクしたものです。
再読してみたら、当時ほどの面白さを感じなかったのですが、やはり最初のインパクトって大きい訳ですよね。
TRPGのリプレイ系は、これがめっちゃ好き。
図書館で借りようかな、と思ったんですけど全然なくて。
Kindleで買いました。
古い本も結構電子で再販されていて、便利な時代ですね。
個人的に電子で再販して欲しいのは、「聖エルザクルセイダーズ」のシリーズと、「ハレー探偵長」シリーズ。
お勧め度は今の時代に読むと、5段階で☆2、かな?
思い出補正かなりある気もするけど、TRPGとはなんぞや、という人なら面白いと思います。
本家のロードス島戦記の方も、読み直したくなりました。
●ソードアート・オンライン(1巻)
凄いセールをKindleでやってて、1巻が15円だったので、シリーズをガバっと購入。
何度か、「これは読んでみないとなー」と思いながら、3巻分ほど購入しては読めずに引っ越す度に大量の書籍と一緒に処分して、という事を2回ぐらいやってます。
読んでないのに処分ってどんな富豪だよ、って話ですが、洒落にならないくらい本が溜まっていたので……。
電子書籍、ありがとう。
これ、めっちゃ面白かったです。
初出は2002年っぽいのですが、物凄い先進性、時代の先取り感があると思います。
逆にこの作品がネットゲーをテーマにした作品郡の雛形を作っていて、そこで先進性を感じるのかな……??
「とある魔術の禁書目録」の方は、ちょっと勢いというか若さというか力ずく感を感じたんですが。
こっちは物凄く綺麗にまとまっていると思いました。
初出がネットで個人公開とは思えない完成度(もちろん出版時にリライトはしてると思いますけど)。
ソードアートは今3巻まで読んでるんですけど、話の作りも物凄く上手いし、文章が綺麗。
表現がとかテクニックがとかいうよりも、「凄く読みやすくて綺麗な日本語」という印象を受けました。
凄く文章の上手い方だと思います。
お勧め度は、5段階で☆5。
文句なし。
●探偵を探せ!
「被害者を探せ!」、「四人の女」がとても良かったので、更にこの一冊を。
全体的に推理小説として面白い、というよりも、とにかく小説として上手いという感じ。
この人はキャラの人生を描かせると本当に上手い。
「探偵を探せ!」は、文庫裏のあらすじが本当にいいんだわ。
という感じの文章なんですけど、担当が図書館で借りてきた本はちょっと文章が違って。
最後の部分が、
「とりあえず怪しい男を1人殺してみるが、その男は探偵ではなく……」
といった感じの。
「とりあえず殺してみる、って何??」
と驚いたわけなんですけど。
こういう、普通の推理ものとは違う切り口が面白い。
ただ、読んだ感覚としては本格推理ものという感じではなく、キャラ造形とストーリー進行を楽しむもので、「フーダニット」「ハウダニット」を楽しむようなお話ではない感じ。
でも、とてもお勧めです。
お勧め度は、5段階で☆4から5。
また元気があって気が向いたら、6月と7月分の覚書を記します。