鹿島アントラーズ戦マッチレビュー?〜皮膚呼吸〜
また、僕らの日常が戻ってきた。
朝8:30(別にそんなに早いわけではない)
iPhoneのアラームが僕を叩き起こす。
数年前まで、iPhone、iPad、デジタル時計と3つアラームをセットして起きていたのだが、最近は大人になったのでiPhoneのアラームのみで起きられるようになった。
自立とは、こういうことを指す言葉である。
ベッドから飛び起きた僕は、机の上にノスタルジックに鎮座している潰れた缶ビールと缶チューハイを片付ける。ついでに部屋の掃除を始める。
タバコとか吸えたら、多分絵になるんだろうな…
なんて思ってしまう僕が令和でモテ続けるのは難しい。缶ビールにタバコでモテる時代じゃない。スマホにTikTokだ。アップデートしていかねば。
そんなしょーもないことを考えながら部屋を掃除しているうちに、家を出るべき時間が迫っていた。
しまった………
なんで朝の時間ってこんなに過ぎ去るのが早いのだろうか。
サポーター仲間と10時に待ち合わせているため、遅刻は許されない。
僕は急いでシャワーを浴び、ボトルプッシュをいつもより速めてシャンプーを行い、少しアップテンポで2曲ほど歌を歌い、なる早でトリートメントをつけ、いつもより無駄のない動作で体を洗った。
20分かかった。
まだ大丈夫。まだ間に合う。焦る時間じゃない。
僕は急いで温風と冷風を交互にして髪を痛めつけないように乾かし、日焼けする可能性を鑑み頭皮専用の化粧水を付け、いつもより手短に頭皮をマッサージした。
更に急いでいた僕は、いつもより雑にジェルを取り、手早く髪の毛につけてセットをした。
………んん
………ん??あれ???
…………なんかしっくりこない。。。
人間、髪の毛のセットがいつも通りじゃないと1日気分が上がらないものである。
時間はギリギリ………
いや、急げば間に合うか………
僕は再び急いでシャワーを浴び、ボトルプッシュをいつもより速めてシャンプーを行い、少しアップテンポで2曲ほど歌を歌い、なる早でトリートメントをつけ、まぁどうせならといつもより無駄のない動作で体を洗った。そして急いで温風と冷風を交互に髪を痛めつけないように髪の毛を乾かし、日焼けする可能性を鑑み頭皮専用の化粧水を付け、いつもより手短に頭皮をマッサージした。
この間僅か10分。
なんだ。やれるじゃないか僕。凄いぞ僕。
そして少しだけ慎重にジェルを取り、やや慎重に髪の毛をセット。
うん。いつもの感じだ。
後5分で家を出れば間に合う。勝った。
余裕が生まれた僕はクローゼットから洋服を探し、デニムとオーバーサイズのオックスフォードシャツにダウンを合わせる。
ん??
んんん???
いや、なんかしっくりこないな。。。
僕はデニムとシャツを脱ぎ、熟考する。
次にコーデュロイのワイドパンツとオーバーサイズのパーカーを見に纏い、ダウンを羽織る。
これは無いな……バランスが悪すぎる。
あれやこれやを引っ張り出し、挙句の果てに直近3年くらい着てないオーバーオールを引き出したところで我に帰る。
ああああああやばい家を出る時間だ!!!!!
僕は広げた洋服を急ぎながらトップスは幅20センチ、リブから片口までは3センチのいつものサイズに畳み、ハンギングアイテムは衣服同士が重なり合わないように急ぎながら戻し、パンツアイテムはアイロンに沿って急ぎながら畳んで膝で叩いて空気を抜いて家を出た。
駅まで体感山田新の裏抜けくらいの速さで駆け抜け、何とか電車に間に合った。髪の毛はぐしゃぐしゃになった。
ここまで1,400文字。やっと家を出た。
早く集合したこともあり、特に渋滞にもハマらずすんなりカシマスタジアムに到着。
ここカシマスタジアムには、僕の大好きなスタグルが沢山ある。
先ず向かうはメインスタンド。
1番大好きなスタグルと言っても過言ではない。ハラミ飯。
好きすぎて、シーズンオフにネットで注文した。
なんと、このハラミ飯を出している「居酒屋ドリームさん」はネット通販もしており、ハラミ飯の具を届けてくれるのである。
もしご興味のある方がいたら是非こちらから。
個人的には「ニセハラミ」こと豚タンシタの煮込みもオススメ。
続きましてはこちら。ハム焼き。
ハムの上質な歯応えも去ることながら、シナモンのような不思議な甘さが癖になる。
こちらもまた絶品である。
そしてこちら。
サクサクと軽い味わいの中に、タレにしっかり漬け込まれた肉がガツンとやってくる。
肉肉肉………
あぁ幸せ………
あぁ甘いものが食べたい
ご安心ください。しっかり調達済みです。
カシマスタジアムの焼き芋。
スタグルで焼き芋とはなんか特殊だが、これはもはやスタグルの域を超越している。
絶品である。
と、これだけ買い揃えていたらキックオフ3時間前にスタジアムに入ったのにキックオフギリギリになっていた。
さぁ(もはや何をしにきたのかよく分からなくなってきたが)気を取り直して、本日の世界最高ファンタスティックフットボールクラブ川崎フロンターレのスタメンは
GK ソンリョン
DF 橘田 大南 山村 山根
MF シミッチ 脇坂 大島
FW マルシーニョ 家長 宮代
DF不足で絶体絶命の状況。2節で早くも正念場感が半端じゃない我が軍。SBには橘田が入った。
古巣への一発
前半1分、山村の縦パスが目の前の相手に引っかかると、一気に攻め込まれてCKに。
みんなが声をポジティブな声を掛ける中、1人檄を飛ばす男がいた。
山根視来だ。
彼の檄でチームにピリッとした雰囲気が流れた。そんなように感じだ。
昨シーズンの山根はどちらかといえば黙々と自分のプレーにフォーカスをしていくタイプであった。
W杯という物凄い重圧の中でのプレーを経験したことによって、目に見えるレベルで厚みが増した。そう見えたシーンであった。
しかし、ゲームは思わぬ形で動く。
前半4分、サイドを変えられると鈴木優磨のクロスに知念が合わせて鹿島が先制。
CBの前に潜り込み、技アリのヘディングショット。
感情を爆発させる知念。湧き上がる鹿島ベンチ。
岩政監督へ飛びつく知念。
なんだろうか。
見慣れない光景であった。
昨季まで共に闘っていた、よく見慣れた顔が。
敵チームとして点を取る。
第二節という巡り合わせの早さももちろんあるが、なんか不思議な気分であった。
好きだった子が、他校のライバルチームのエースと付き合っているのを見てしまったような…
いやそんな出来事人生で1回もなかったんだけれども
と、少し呆然としている間に現実へ引き戻される。
開幕戦に続き、前半早々の失点。前半10分で既にビハインドという状況になった。
開始早々の失点がデフォルトになりつつあるのは少し気になるところである。
8分には脇坂、宮代と立て続けにペナへ迫っていくもゴールを割るには至らず。
失点以降、ボールの主導権は常に我が軍が握っていたものの、決定的なシュートシーンまでは持ち込めない。
そんな状況が続いた。
これだけブロックをしっかり組まれてしまうと、ブロックの外でボールを回しているだけではペナまで迫るのは難しい。
IHの位置から最前線に飛び出すような、ブロックを直接壊すような動きが求められたが、大島も脇坂もこの鹿島のブロックを壊すには至れなかった。
また、頼みの綱マルシーニョもドリブラーストップ職人の常本に抑え込まれ、いつものような快走シーンは少な目であった。
そんな"鹿島ペース"で前半が終了。前半終了前から降ってきた雨は、我々フロンターレサポーターの気分を具現化するかのような、そんな空模様。全てがリンクしていた。
苦戦の先に
開幕2連敗となると、なんと2000年シーズン以来。当時生まれてなかったサポーターも多いのではなかろうか。
そんな状況は避けたい我が軍だったが、前半の試合展開はそのまま継続する。
46分、右サイドで家長、脇坂、山根が小気味よくボールを繋ぐと、最後は宮代がペナ外からシュート。
ボールは枠を捉えきれなかったが、右サイドの細かい崩しからチャンスを演出。
やはり、しっかりとブロックを作られてしまっているためペナまでなかなか入り込むことが出来ない。
そんな状況であった。
例えるのであれば、気になる異性に「ご飯でもどうですか?」とLINEを送ると直ぐに「行きたい!!」とレスが返ってくる。
すかさず「○日はどうですか?」とアポを取ろうとするが「その日は仕事で…」「じゃあ○日は?」「その日は予定があって…」と連絡はポンポンいい感じで帰ってくるのに肝心のアポが取れない。
みたいな状況であった。
…いやこれ脈無しだな。何でもないです。
というか、めっちゃ好きな人が居るとして。
その人と明日ご飯に行くとして。すごい楽しみじゃないですか。めっちゃワクワクドキドキじゃないですか。でも、会う数時間前にちょっとだけ行くの面倒になりません?あれ何なんですかね?不思議ですよね?えっ、これ俺だけですか?(ここまでめっちゃ早口)
さぁ、気を取り直して。(取り直すのは僕だけである)
54分、鹿島のコーナーキック。
関川がまさに頭一つ抜け出し、ドンピシャで合わせる。
思わず目を瞑りなくなるような「完璧にやられた」シーンであったが、なんとソンリョンが左手でボールを掠め、すかさずキャッチ。
普通ならボールを見逃して枠に吸い込まれていくしーんであったが、ソンリョンは左手でボールを捉えた。
恐らく、これは偶然ではない。
ソンリョンはボールを触るのと同時にプレジャンプをしており、リラックスしている状態であった。
通常、シュートの瞬間はプレジャンプ後の緊張状態である。故に、シュートモーションから1.2.3のタイミングで撃たれるシュートだとリズムが合わせやすく、身体が綺麗に伸びきってシュートストップが可能になる。
しかし、ヘディングシュートにはシュートモーションがほぼない。
軸足が着き、振りかぶり、シュートが飛んでくる。
このリズムではなく、ヘディングは突然シュートが飛んでくる。
そのため、威力が強くなくても、コースが甘くてもゴールに入りやすいのがヘディングなのである。
プレジャンプ後、グッと沈んだ状態から突然ボールが飛んでくる。
この筋肉が張り切った状態から咄嗟のシュートストップに移行するのは難しい。
ましてやCKはキッカーから視線をシューターに切り替えた途端である。
しかし、ソンリョンはプレジャンプを敢えて遅らせることで、リラックス状態で手が出せたように見えた。
細部までこだわりと基礎の徹底が垣間見えた、素晴らしいプレーであった。
55分、シミッチに替えてコンディション不良との噂があった佐々木を投入。
橘田がアンカーの位置に入る。
攻めるしかない我が軍は、一気に攻勢をかけていく。
62分、脇坂のフリーキックからの流れでボールを何本も繋ぐと、最後はセントラルに入り込んできた山根への落とし。
このパスが最後の最後にカットされ、シュート迄は至らなかったものの、少しワクワクするような、楽しいシーンが増えてきた。
63分にも中盤でボールを奪った橘田が縦パスで一気に最前線へ供給。ボールはカットされるもの、躍動感が一気に出てきた。
しかし、鹿島も試合巧者ぶりを発揮してくる。
80分、鹿島の仲間が抜け出したところを山村がファールで止める。
VARの結果、山村はDOGSOで退場。
昨季最終節のソンリョン、開幕戦のジェジエウに続き公式戦3試合連続のDOGSO発動。
川崎フロンターレサポーターは昨年の10月29日 神戸戦を最後に11人で終わっていない。
2022年11月の味の素スタジアムで初めてサッカーを見て、そこからフロンターレの虜になった人がいたらきっとこう思うであろう。
「このチームは何らかの理由で10人で試合を終えないといけないんだ。」
そんな(笑えない)冗談はさておき、絶体絶命10人になったフロンターレ。
しかし、この10人のチームが意地を見せる。
88分、瀬古のCKを鹿島が1度はクリアするも、大南が拾うと家長がジャンピングボレー。そのボールを山田新が決め切る。
10人でなんとか追いついた。意地を見せた。
しかし、我が軍はこれだけで終わらない。
更に攻勢を掛ける。
この時の僕の気持ちを正直に述べると、下記である。
「やめてぇぇええええええもういいもういいもういい勝ち点1でいいですぅぅうううううううカウンター食らうよやめてぇぇえええええみんな落ち着いてぇぇえええええええええええ」
落ち着かなければならないのは僕である。
そんな僕を裏目に攻め続けた我が軍はPKを獲得する。
その時の僕の感情は下記である。
「いやぁぁあああああああああああああ何いぃぃいいいいいいいいいい何が起きたのぉぉおおおおおおおえええええええPK!?!?!?!?何PK!?!?!?!?何で!?!?!?!?早く試合終われぇぇえええええええええいやでもPKか!?!?!?!?!?なんかやばい吐きそうやばいああああああああああああアキ様あああああ
ああああああああああああ」
やり直しに及ぶPKを決めきった家長昭博。
この一連のシーンに、僕が川崎フロンターレを好きな理由が詰まっていた気がする。
程なくしてゲームセット。
90分以上のドラマが詰まっていたゲームは、2-1で我が軍の勝利となった。
次節に向けて
劇的勝利の幕切れとなった我が軍。苦しみながらも今季初勝利を手にした。
選手のコメントにもあるように、新しいことに取り組んでいるのは事実である。
これはサッカー以外にも言えることだが「同一定義の中で異なる取り組みを行う」というものは物凄く難しいことである。
感覚の中に「立ち返る点」があると、どうしても「逃げてしまう」判断をしかねない。
それでもフロンターレは逃げずに、戦い続けた。
不恰好でも、這いつくばって、拘り続けた。
この勝利がそのチャレンジに及ぶものだとしたら、これ以上に嬉しいことはない。
既存ビジネスで「新しいこと」に取り組むというのは、ものすごくハードルが高く難しいことである。
それは、日本経済のほんの僅かな一部である我々が良く分かること。日々身に染みていることである。
でも、そんな難題から逃げない。むしろ立ち向かっていくフロンターレを応援できることを僕は幸せに思う。
何回失敗しても、このチームは絶対立ち上がる。
何回上手くいかなくても、このチームは絶対投げ出さない。
知ってる。知りすぎている。だからこそ、このチャレンジを応援したい。
このまま 苦しみに息が詰まったとしても
また姿を変えながら
そう今日も 自分を試すとき
Mr.Childrenの皮膚呼吸という歌。
この先も苦しいゲーム、厳しいゲームと直面するであろう。
それでも、川崎フロンターレは姿を変えながら、きっと進んでいく。絶対前を向く。
そんな確固たる証拠を掴んだようなゲームだった。
渋滞で進まない潮来ICまでの道のり。
程よい高揚感と、今年もこのチームを終えることの幸せを感じ、僕は鹿島を後にした。