3.今後の方向性

宮田、良田とのチームを一旦解散したことで事業の展開方針も変更することになった。短期の規模拡大路線から一転し、地元でじっくり路線へと切り替えたのだ。妻と母との3人で事業をすすめることになり、さすがに以前のような無理を出来なくなったのがその理由の一つである。

そしてもう一つ、こちらがメインの理由だが、そもそも私の信用力では融資が限られているためスピーディな展開に必要な資金を調達できないためである。つまりは実力不足を素直に認め、着実に自力をつけていくことにしたのだ。

市役所からも、やりたい事、想いは分かるが融資を受けれるかどうかは実績がないとダメ、これはどんな事業でも一緒でしょう、と諭された。最初は、納得出来なかったが、冷静になって考えるとその通りだ。何せ私はまだ農業経験3年のヒヨッコなのだ。バイオマスを活用する前に、まずはちゃんとトマトを計画通り生産しなさい、ということなのだろう。

そこで兎にも角にも、農家として実績をつくるためまずは年収350万円を達成するのが直近の目標となった。農業従事者以外の人からするとかなり低い目標に見えるかもしれないが、実はこれが認定農業者と呼ばれる、市町村に認められる農業者の目標年収である。この認定農業者になることによって、様々な融資や補助金を活用できるようになるため、農業者に必須の資格と言ってもいい。株式会社FromTomatoは2年後に法人として認定農業者入り達成するつもりである。そのために、2021年中に壊れたハウスを再建し、2年間は2反強のハウス面積でトマト栽培にじっくり取り組んでいく。

もちろんバイオマスエネルギーエンジニアとしても、立ち止まるつもりはない。誰から何を言われようが、農業とバイオマス、この2つを同時進行しなければならない。バイオマスの特徴を理解した上で、それにあった農業モデルを構築する必要があるからだ。これまで竹と木質ペレットを活用してきたが、今のままでは本当に有効利用できるとは言い難いため、違う技術を組み合わせる必要があると考えている。まずは小さく、2021年中に実験を開始する予定である。

文武両道、とは少し違うかもしれないが農業もバイオマスもゆっくり技術を磨き、信用を少しずつ築いていく。

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