株式会社FromTomato

バイオマスエネルギーの農業利用を目指すし、2020年に創業したベンチャー企業です。 子供たちの未来のため、持続可能な社会の構築を目指し日々挑戦しています。

株式会社FromTomato

バイオマスエネルギーの農業利用を目指すし、2020年に創業したベンチャー企業です。 子供たちの未来のため、持続可能な社会の構築を目指し日々挑戦しています。

最近の記事

17.農地戦略①

今から4年ほど前、サラリーマンだった私は兎にも角にもまずは農地を確保しなければと、グーグルマップで使われて無さそうなハウスを見つけては、週末に現地を確認しにいく日々を送っていた。 草木が生い茂っている露地だったり、明らかに数年は使われていないサビだらけのハウスだったりと、候補地はいくらかあったが、実際に賃貸契約の交渉をしようと思ってもまったくとりあって貰えなかった。 恐らく農業経験のない地域外の人間を警戒していたのだろう。 そんな中、現在借りている農地は義父の紹介で契約

    • 16.COSET続報②

      年始から開始した2段ベッドによるトマト栽培、COSETの実証試験。今作の収穫をほぼ終えた現時点で十分成功と言える結果となった。 懸念していたのは下段で栽培するトマトの手入れ作業性と通路の確保だったが、その両方で特段問題は発生しなかった。農薬散布や収穫作業時も十分な通路幅を確保出来たことで、作業効率に影響を与えることは無いと言える。 一点、課題として残ったのは「味」である。 下段で栽培するトマトは収穫作業効率を考慮して、大玉トマトを栽培する。これは、しゃがんだり、台車に乗

      • 15.美味しいトマト=FromTomato

        FromTomatoのブランディングに向けて、セミナーなどにも参加しブランディングに関する基礎知識をまずは頭に入れることから始めた。 本来の定義は置いておいて、そこで学んだ本や専門家の教えを自分なりに消化し、ブランディングとは人々が特定のキーワードにまつわるモノを連想した時にパッと頭に浮かぶようにするための戦略のことだと理解した。 例えば美味しい米=魚沼産コシヒカリ、美味しいメロン=夕張メロン、美味しいマグロ=大間のマグロ等、欲しいと思った時にパッと頭に浮かぶ銘柄、これが

        • 14.販路開拓とブランディング

          COSETによって栽培面積当たりの収量を上げることが出来たとして、次の課題は販路である。 COSETでは通常のトマト栽培の4倍近い栽培密度となるため、短い期間に大量に出荷することになる。 今までは、近隣の産直コーナーに分散して出荷することでなんとか単価を維持していたが、それでは週1000パック程度が限界である。というのも、前作のピーク時に週1500パックを出荷したところ、捌ききれずに値段を下げて販売せざるをえない状況となってしまった。 就農当初からの出荷先、地元古賀市の

          13.COSET続報

          今年2月から開始したCOSETの実証実験は、既に3ヶ月を経過しようとしていた。 懸念していたのは主に3点。まず日射量が足りるのかどうか、そして手入れするスペースが確保できるか、最後に味である。 一つ目の日射量についてだか、2段の栽培ベッドでトマトを栽培するCOSETでは、下段は上段の影に隠れる時間が多くなるため、植物の活動の源である日射量が不足する恐れがあった。 一方でトマトに必要な日射量は300w/m2程度と言われているが、九州北部のこの地域では3月以降、晴天時は70

          12.スモールスタート

          今回のメタン発酵事業は今までの経験を活かして、スモールスタートを心掛けている。 トマト事業はサラリーマン感覚で始めてしまったせいで、やることなす事全て大きく始めてしまっていた。そのため失敗に終わった時に、リカバリー(特に片付け)に多大な労力を割いていた。 話題にはなるため多くの協力者に出会うことが出来、メリットも多かったが数々の失敗で資金が底をついてしまったため、今後は小さく始めて大きく育てるつもりだ。 幸いにも3年間、バイオマスと農業を掛け合わせた事業に真剣に取り組ん

          12.スモールスタート

          11.メタン発酵

          COSETによって単収の増加を実現出来たとして、残る課題はバイオマス関連機器の収益性向上である。 現時点で事業に組み込もうと考えているバイオマス関連機器は炭化装置、ペレットボイラー、ペレタイザーの3種類である。これらは当初はビニールハウスの暖房としてのみ利用する計画だった。 木質ゴミの中間処理場で発生している破砕チップを、ペレタイザーでペレット化し、それを燃料にボイラーでお湯を沸かして、その熱でビニールハウスを暖める。 炭化装置では竹を炭焼きし、排熱を暖房に使いながら竹

          10.最適な栽培方法を求めて

          Cultivation Optimized Space, Energy & Time 空間、エネルギー、時間を最適化した栽培方法という意味(正しい英語かどうかは不明)だが、何がどう最適なのか。 最適の定義は時と場合により変化するものであるが、我々は栽培にかかるエネルギー消費をミニマムに抑えつつ、事業として無理なく継続できることが最適だと考えている。 ハウスが広くなればなるほど、長い時間栽培すればするほどその分エネルギーとカネが必要となる。そこで、エネルギー消費の少ない作型

          10.最適な栽培方法を求めて

          9.COSET

          単収は栽培方法に大きく影響される。一口にトマト栽培と言っても、その栽培方法は様々である。 中でも通常スーパーで販売されている大生産地のトマトの多くは、収穫量を重視した「長期多段取り」という栽培方法で生産されている。 この栽培方法では、8月中旬に苗を植えて、11月頃から収穫を開始、翌年6月まで収穫する。1000m2あたり大玉トマトで年間約20トン、熟練農家で25トンを生産している。 長期にわたって茎や葉の成長と、果実の成長のバランスをとりながら病気にならないように管理する

          8.あちらを立てればこちらが立たず

          農業用温室で用いられる暖房器具は重油や灯油といった化石燃料を用いた機器が圧倒的に多い。他にも電気で稼働するエアコンや、バイオマスを用いた暖房器具も販売はされているが少数派である。 そのため、バイオマス関連機器による加温はどうしても化石燃料関連機器に比べて割高となる。 まずは設備費だが、1000m2のビニールハウスの暖房器具を新品で揃えると、化石燃料関連機器でおよそ150万円、バイオマス関連機器ではその倍近くとなる。 更に燃料費についても重油が約100kcal/円に対して、

          8.あちらを立てればこちらが立たず

          7.放置竹林

          トマトは育て方次第で、冬季でも暖房エネルギーを抑えて栽培できることが分かり、バイオマス×トマト事業をこのまま継続していくと決意できた。 しかし、他にもクリアしなければならない課題は山積みである。 まずはどうやって燃料を安定的に調達するかだ。数あるバイオマスの中でも未利用バイオマスとはつまり、使い難いために利用されていない資源である。そのため、それらを利用するには安定供給を可能にする新たな仕組みを整備する必要がある。 私が活用を目指している未利用バイオマスは竹である。ほと

          6.トマトは寒さに強い

          そもそもトマトは寒いと育たない、これは誰もが知っている事である。 教科書的に言えば、夜のハウス内の温度は少なくとも8℃以上、出来れば12℃以上で管理すること、5℃を下回ると低温障害が出始める、とある。 しかし、私は実は就農一年目の冬はハウスを加温することなくトマトの越冬に成功していた。もっとも最初から無加温による越冬を狙ったわけではなく、近隣農家の先輩から譲ってもらった重油タンクに給油したところ底から油が染み出してきたため、重油を購入することが出来ず、やむを得ず暖房無しで

          6.トマトは寒さに強い

          5.イチゴ

          元々、事業の練り直し自体は昨年5月から進めていた。当時は宮田、良田、私の3人で事業を行っていたため、3人分の収入を確保するためには、2反のハウス面積では足りず、早期に規模を拡大する必要があったためだ。 そこで、目をつけたのがイチゴである。イチゴは非常に寒さに強い植物で、最低気温が5℃でも栽培出来ると言われており、バイオマスエネルギーと相性がいい品目の一つである。養液での栽培実績も豊富にあり、トマトでの栽培経験も活かせる。 更に、イチゴは私が就農した古賀市の重点振興品目に指

          4.疑問と悩み

          進むべき方向性は決まったが、どうもギアが入らない感覚がある。それはやはり、当初目指した事業内容や目標を変更せざるを得ない状況に置かれているためだった。 バイオマスエネルギーを使ってビニールハウスを温めることは可能だったし、実際に冬季にトマトの出荷も行ったが、わかったことは通常のトマト栽培では多大なエネルギーが必要であり、環境負荷、作業負荷、収益性など複数の面でこれがベストのカタチであるかは疑問だった。 一般的にトマト栽培では最低気温が12℃を下回らないようにハウス内部の温

          3.今後の方向性

          宮田、良田とのチームを一旦解散したことで事業の展開方針も変更することになった。短期の規模拡大路線から一転し、地元でじっくり路線へと切り替えたのだ。妻と母との3人で事業をすすめることになり、さすがに以前のような無理を出来なくなったのがその理由の一つである。 そしてもう一つ、こちらがメインの理由だが、そもそも私の信用力では融資が限られているためスピーディな展開に必要な資金を調達できないためである。つまりは実力不足を素直に認め、着実に自力をつけていくことにしたのだ。 市役所から

          3.今後の方向性

          2.一旦解散

          私は倒壊した木造ハウスを一人で解体しながら、ちょうど一年前、法人としてスタートをきった時のことを思いだしていた。 FromTomatoは当初3人の会社だった。以前勤めていた会社での同期で制御設計エンジニアの宮田と、機械設計エンジニアの良田、そして私の3人で立ち上げた会社である。 始まりは2017年6月、長女の誕生を機に「子供や孫が生きる世の中にいい仕組みを」という思いで、独立することを決めた私は、化石燃料に依存している日本のエネルギー構造の改善を目指し、未利用バイオマスエネ