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スタートアップが自治体の補助金申請をして改めて気づいたこと

FromToで開発している「47pass」においては、各自治体の施策や補助金などの情報を集約しています。
対象となる企業は施策によって様々ですが、創業間もないスタートアップには特に有用なものが多いと思います。

そんな我々FromToもサービス立ち上げを控えるスタートアップの1社です。
丁度このタイミングで長崎市役所の補助金を申請しましたので、そのことについての記事を書きます。

弊社では自治体施策を集約した情報プラットフォーム「47pass」を開発しております。登録料・利用料無料ですので事前登録のほどお願い致します!

■施策の概要

長崎市サテライトオフィス等トライアル事業費補助金
https://www.city.nagasaki.lg.jp/jigyo/360000/3650002/p038516.html

●長崎市内のサテライトオフィス等にてテレワークを実施すること
●2名以上の役員又は従業員が実施すること
●滞在期間のうち、サテライトオフィス等を3日以上利用すること
●補助率4分の3
●補助上限額
 ・延べ30日以上50万円
 ・
延べ30日未満20万円
●補助対象経費(以下HPより抜粋)

■施策利用に至った背景

長崎中のスタートアップ関係者・自治体関係者が一堂に集まるイベント」、にお声がけ頂き長崎に出向くことを検討しておりました。

もとより私自身が東京でのフルリモート、他メンバー3名もリモートやオフィスを兼用ということもありましたので、働く場所の制限はありません。
むしろ、日本全国のユーザーと自治体とのつながりが重要なわけでして、メンバー内でも「日本全国をキャラバンしながら働きたい」と常々話をしております。

「サテライトオフィス」という施策の名の通り、通常業務も行いながら、長崎の皆様と交流ができ、隙間時間に観光もでき、更に補助金まで頂けてしまうという、まさにメリットだらけの施策です。
本業を行いながら補助まで頂けるなんて、、と我々には願ったり叶ったりな施策でしたので迷うことなく利用を決めました。

■自治体施策の情報収集経路

さて、このFromToにとっては願ってもない施策ですが、情報源は「紹介」でした。
やや残念ながら現時点で本施策を取り上げているwebメディアやツイートなどについてはごく僅かです。

もしこの施策を知らなければ補助金額分が弊社にとってはただただ機会損失となっていたでしょう。
そして補助金があればこそ、出張の最後の一押しとなったことは間違いありません。
実際に、補助金を鑑みて滞在期間を延ばし、また日程を伸ばすことで現地の方とのアポイントメントも取得することが出来ました。

■自治体の施策は届いている?

弊社の例のように、自治体の施策によって事業活動への後押しとなるのは間違いありません。
ただ、「しかるべき企業にしかるべき施策の情報が届いていない」のです。

また、「自己認知の外にある情報」について情報の網を張ることはほぼ不可能です。
知人同士や各コミュニティにおいて有用な情報は常日頃シェアされていますが、連絡のし忘れや見落としも多々あるでしょう。

こういった課題を「47pass」では解決していきたいのです。
自社に合致度の高い施策を掲載し、特定の条件で検索ができ、募集要項も分かりやすく記載して読み解きの時間を削減する。
これがユーザーの皆様の成長機会の創出になると信じています。

■今回の申請の手順と実際の工数

今回申請した長崎市の補助金活用のフローについて公式HPの図より抜粋します。

申請側の実務ベースでいうと以下でした。
そして、良い機会ですのでここにかかった時間数を記載いたします。

・【1h】担当者の方へのお問い合わせ、途中相談
・【0.5h】申請にあたっての社内のコミュニケーション
・【4h】申請書の作成
・【6h】必要書類の手配
・【1.5h】申請書の提出
・【0h】交付認可の確認
<イマここ>
・実績報告の作成
・実施報告書の提出
・補助金の請求

申請にあたって現時点で【約13h】かかり、1人日以上の稼働に相当します。
今回で言うと、申請書の作成(補助金対象の金額の見積書等)と必要書類の手配(納税証明書)の2点が特に時間がかかりました。

<前者>
・出張のほぼ全行程の費用について画面キャプチャを貼り付ける
・補助対象金額は「消費税抜き」であることから10%の割引が必要で再計算
・金額のズレがないかの確認(書式がwordのため検算が必要)

<後者>
・税務署の窓口での直接申請

後者については申請から長崎出張までの期間が極めて短かったためやむなくでしたが、今後は完全電子申請にしたいです。

この工数については是非自治体の皆様においては知っておいて頂きたいところです。
申請にあたり、どの程度の工数がかかっているか、明確に把握されている担当者の方は少ないのではないでしょうか。

■申請作業にかける時間は妥当か?

この論点に先立って、自治体側と申請者側、双方から出てきそうな意見を「僕の私的な表現で」書きます。

<自治体>
「申請者が施策の主旨に合致しているか見極めたいので、正確な情報を手配して欲しい」
・税金由来の資金なので交付のハードルを下げ過ぎることはできない
・反社、暴力団といった対象に交付することを絶対に避けたい
・補助金目当てで施策の主旨に沿う意思のない申請者をはじきたい

<申請者>
「施策に合致する自信はあるので、書類の作成や準備は最低限にしたい」
・申請にあたっての書類作成や準備に時間をかけたくない
・書類の書き方や準備の方法が分からない

実は自治体サイドからすると、「申請者の身の上と意思が清いことを証明せよ」ということをリクエストしているのみです。
申請者からすると、「申請にかける時間を最小限にし、最大限の効果を」求めています。
これらの意見のベクトルが全く嚙み合っていないことが課題なのではないでしょうか。
申請者側が、「もっと提出書類を少なくしてほしい」と要望したとしても、自治体側は「実体も分からない企業が応募されることを招くため困る」わけですから、提出書類をおいそれと簡略化することには繋がりません。

しかし、当然ながら自治体側としては「正確性の担保されている申請内容であれば、かける時間の多寡は無関係」です。
書類さえしっかりしていれば、30分で手配されたものも10時間かけて手配されたものも同価値ということですね。(実は究極のアウトプット主義なのでは…)

すると解決の方向性としては、正確な情報であることを前提に申請作業の負担を軽減すること、というシンプルなものになります。
が、申請者側は無論、申請作業の負担軽減自体にマインドシェアや労力はかけられません。

そこで「47pass」においてはこの申請におけるギャップを解決すべく、「申請を簡単に出来る機能」も実装していきたいと考えています。

■自治体施策を利用できたよかった!と手放しで喜べる状態に

これまでもユーザーの方々にインタビューを重ねてきましたが、改めて自分たちが1社のユーザーとして立ち戻ることができました。
お聞きしてきたお話と、社内でまとめたインサイトについて、改めて実感する良い機会だったと思います。

自治体の施策は非常に有用であるにも関わらず、読後感として「申請に関する手続きが面倒だった」というネガティブな感情と相殺されてしまうと、なんだかもったいないなぁという気になってしまいます。
申請側も有用に施策を活用できたのであれば、気持ちよく「利用してよかった!という気持ちになったほうが健全でしょう。

「自治体施策の申請から利用までの一連の体験をポジティブにアップデートする」ことが、改めて必要なのではないでしょうか。

と長崎に向かう飛行機内で書き上げました。
長崎出張、成果も出してしっかり楽しんできます!

■(付録)この一か月間でやってきたこと

※noteを更新する時に、それまで1カ月でやってきたこと、を都度まとめるのって面白いなー、、、次回更新時には、書いてみます
以下、中田が時間的に多く使ったものについて記載しています。

・自治体打ち合わせ
・自治体営業に関するヒアリング
・自治体のターゲティング整理と料金プラン再検討
・toBLPの構成作成
・サービス説明チラシ改良
・資金管理表の作成
・商標登録手続き
・Hubspot設定(コンタクトリスト整理・フォーム作成)
・アライアンス打ち合わせ
・愛媛県実証プロジェクト申請
・長崎市補助金申請

前月と比べて個別で引き取った業務が多かったのは良かった点です
GWは割ときちんとお休みをとったのでリフレッシュしたまま夏までまた頑張りきりたいです

【今回のブログ執筆BGM】
ヴァインベルク / ヴァイオリン・ソナタ第2番、第5番、第6番
https://open.spotify.com/album/6VtjsodQa9tng1uTAhBO3s?si=TyHc2y5eToWo_RRzdz8g8w
※機内中に執筆したのでその前後に聴いていたもの

※3600字くらい
※所要時間180分くらい

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