なぜ生成AIで仕事が減らなかったのか

こちらの記事を見て。なぜ減らなかったというと、まだ色々と課題があるからでしょう。ここで、2023年末における生成AIの課題を整理しておきます。

画像を例に挙げると、確かに、生成する画像のクオリティは向上しましたが、やはりこちらのイメージ通りの画像を生成するのは難しいと感じます。
例えば、何でもいいからグラビアアイドルを生成するだけなら、それは簡単ですが、同じグラビアアイドルでも、レイアウトやポーズ、ライティング、トーン等、様々な要素があり、それをイメージ通りに生成するのは、不可能です。

また、現在の生成AIの多くは、言語で指示(instruction)します。しかし、デザイナーが作りたいイメージをすべて言語化できるかと言うと、そうともかぎりません。実際は、いろんな過去のデザインを見ながら、image to imageで制作していく事が普通でしょう。ここにも、現在の生成AIの仕組みの限界があります。

※その上、画像生成AIは、テキストが苦手です。画像中にうまくテキストをレイアウトすることができません。また、謎の言語が勝手にレイアウトされている事もあります。従って、生成した画像をPhotoshopなどで修正する必要があります。

仕組みでいうと、データの問題もあります。生成AIが学習しているデータは、現実世界の一部のものでしかありません。同じ赤でも、コカ・コーラの赤とトヨタの赤は違いますし、そういうディテールの指示に耐えうる、クライアント個別のデータも足りないでしょう。

実務で広告制作をしている人間からすると、こちらが丁寧にディレクションをしても、何が飛び出してくるかは分からない。まるで、AIの方が巨匠の先生みたいです。

…という課題がある為、現状の生成AIの活用法は、以下に限られています。
・プロトタイプの生成
プロトタイプをたくさん生成して、アイディア発想に役立てたり、本番制作前のイメージ共有を行ったりする。
・部品の生成
Photoshop等で加工することを前提に、パーツを生成する。
・カスタマイズの必要ない生成
ブログの挿絵など、あまり制約がなく、何らかの画像が生成できれば良いもの。
・独自のアート
生成AIの独特の表現を生かして、それ自体をアートとして制作する。

2023年は、生成AI元年とも言える年でした。そのクオリティの進歩は、驚くべきものでした。一方で、人間の高度な創作能力(≒カスタマイズ能力)は、まだありません。やはり、重要なのは、このツールを人間がいかに活用するかだと思います。


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