塾経営者が考える『セルフプロデュース力』の育成
こんにちは♪あのねです!
self produce(セルフプロデュース)。
つまり、自己演出。
自分の強みを活かして、それを戦略的にアピールする力。
なのですが、
裏を返せばみんな弱みがあり、
それを自覚し、分析し、
いかに最短近道で克服して、
なるべく自己力をフラットにする力。
とも私は認識しています。
塾を開いていると、
当然ですが普通のお子さんがたくさんいます。
普通の子ども達が、
そこからとある教科をだんだん好きになってきて、だんだん強くなってきて、
そこを素早く察知して、
「いいね!よく出来たね!
きっと得意になると思う。頑張っていこうね!」
と声をかけると、
嬉しそうに頷いて、るんるん🎵と席に戻る子ども達の背中を見るのが、
この仕事のこの上ない幸せなことの一つです。
が、
たまに、ベラボーに点数を取る生徒がいます。
いわゆる優秀児です。
現在の教室では、中2のK君。
彼は、学校での各教科50点満点の主要5科目250点満点の試験で、毎回240点以上を取ります。
直近のテストでは244点。
当然学年一位です。
彼はもちろんうちの塾の中でも優秀な生徒ですが、
採点をしているとそれなりに、これまでの歴代のよく出来た生徒達並みに、きちんと(?)答えを間違えたりします。
しかし答えを直して、2回目には模範解答並みの完璧な答えを導き出します。
国語の解答で、長文の中から必ず入らなければならない重要語句7個を探し出し、それらを縮約し、正確な文型で仕上げてきます。
今年、東大を受験する生徒が一人いるのですが、その子を含め、K君も含め、これまでの歴代の優秀な生徒達の共通部分は
『メンタルの強さと、弱みを弱みとして逃げずに自己分析し、ある種の熱量を持って解決する力』
ですね。
私はピアニストの端くれでしたから、こんな時Bach(バッハ)の『平均律クラヴィーア曲集』の奏法を思い浮かべます。
Bachはバロック時代という、音楽史の最もはやい、まだピアノが存在しない時代の作曲家で、
チェンバロという楽器を弾くための曲を数多く残していますが、
それをピアノで弾かせる、というところから少しの(いや、大きな?笑)矛盾があります。
それにBachの譜面は一見簡単に演奏できそうな譜面ヅラなのですが、いざ譜読みを始めると、思うように弾けないことに気づきます。
ピアノでは、
親指を1の指、人差し指を2の指、…順番に小指を5の指と呼ぶのですが、
『平均律クラヴィーア曲集』とは、4声のパート(バス、テナー、アルト、ソプラノ)を10本の指で引き分けるという難しい奏法で、プロのピアニスト達にとっても、泣かしどころとも言われています。
初めは、Bachを知りたての子どもの頃、2声のインヴェンションからパート分けの練習をします。
その後3声あるシンフォニア、
そして4声の平均律クラヴィーア、のように段階的に進んでいくのですが、
右手の4と5の、本来弱い指でソプラノのテーマを大きく弾きながら、指の重さでどうしても音が大きくなってしまいがちの右手と左手の1、2の指のパートを、4、5の2本の指で弾くテーマを引き立たせながら音量が邪魔にならないように、でも音楽的に歌いながら…という難しいテクニック練習の時に、指の、重力の法則に反しながらテーマのフレーズを出すテクニック面や、
曲の解釈のために、譜面のテーマの部分に鉛筆で書き込みながらなのか、CDを何度も聴きながらテーマや逆テーマを頭に叩き込むのか、どう理解をすればいいのかを苦しみながら、曲を完成させるまでのゴールへの向かい方は、その人によって違うのですが、
どちらかというと、ベートーヴェンやラフマニノフなどの男性的なテクニックを用いた曲を強みとしていた私にとって、
バッハのような感情を抑え、テクニック(速いパッセージではなく、地道な地味でかつ、美しい旋律の高度な指のテクニックな曲は弱み中の弱みであります。
そこを爪楊枝で角をつつくように、細かい作業を毎日毎日取り組み、曲を完成させてゆく、この経験は今の私に濃く影響しています。
試行錯誤して完成にもっていく過程も、
難しいテクニックと並行して、音楽的に完成する過程も、
セルフプロデュース育成の一環だと感じますし、
あるいは、MCの仕事をしている友人は、前例のない世界大会のMCを任され、ここのところ毎日睡眠を減らして頑張っていますが、
世界大会なので英語がメインになることを含め、
まずその大会を彼女なりに成功させるために何から着手していくのか。
前例があれば、
前例を基に自分で計画を立てられますが、
前例がない場合産みの苦しみに悶えながら、
これまでの経験に基づいてセルフイメージで流れを考えながら、
他のスタッフ達と共にゼロから作り上げていく過程も、
セルフプロデュース力育成の一環だと思います。
ある程度大人になると、
『弱みの克服よりも強みの強化』が大事だという考えが、今の時代に沿っているそうです。
会社はチーム力だから、『誰かの弱みを誰かが補う』という考え方だそうです。
それは理解できますし、
それでいいと思います。
しかし、
子ども達はまだまだ人生の修行中で、
先は長く、
強みは生かして伸ばし、
弱みにもチャレンジする姿勢を、
うまく誘導させてあげたいと思っています。
「困った時には先生が手伝うから大丈夫!
一緒にトライしていこう!」と。
初めての問題にもチャレンジしていき、
何度も練習して、
できるようになる体験を多く積ませたいです。
その姿勢がセルフプロデュース力にも繋がると思います。
初めは、みんな初めて。
でも経験で強くなっていく。
あと、会社で働く方々には
『強みのみを生かす』ことでいいのかもしれませんが、
『経営者』は少し違います。
この社会で生き残るために全体を俯瞰して見渡せなければならないので、
経営者には、弱みを克服できる人が向いていると思います。
会社の傷や膿を見つけたり、
腰の重い社員を動かさなければならないことも経営者の役目ですし、
マンネリ化している業務に新しい風を吹かせるのも経営者です。
あえて、臭いものに蓋をしないのがその役目です。
子ども達を
『弱みより、強みを活かそう』という考えで育てるのか、
それとも、
『弱みもなるべく補強するように努力させる』ように子どもを育てるのか、
それは将来、
子ども一人一人の就く職業によって違うと言えますが、
少なくとも、私は後者の考えを持って、
子ども達と向き合おうと思っています。
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