【偏愛土木写真0002】技術者魂が生んだ唯一無二のダム
このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。第2回は熊本県球磨郡多良木町を源とし、宮崎県南部を東に流れる綾北川に建設された綾北ダムです。
綾北ダム(宮崎県小林市須木)
綾北ダムの一番の見どころは何といっても左右に1門ずつ設けられた高圧ラジアルゲートと、減勢効果を高めつつ、放流した水を提体から離れた位置に着水させるために作られたシュート台です。
通常、アーチ式コンクリートダムのコンジットゲート(ダムの中間に位置するゲート)には、ローラーゲートかバルブが設置されますが、高圧ラジアルゲートを有するアーチ式コンクリートダムは全国唯一。他に類を見ない後世に誇れるダムを作ろうとした当時の技術者の熱意を感じます!
土木構造物はこの世にただ一つのオーダーメイドの「作品」。それこそが「土木」の魅力ですし、私が土木写真を撮る理由です。
構造概要
所 在 地 宮崎県小林市須木大字下田
河 川 名 大淀川水系綾北川
形 式 アーチ式コンクリートダム
堤 高 75.3m
堤 頂 長 190.3m
総貯水量 21,300千m3
管 理 者 宮崎県
完 成 年 1960年
綾北ダムの位置
ダムに通じる道路では各所で交通規制が行われています。お出かけの際は宮崎県のホームページで事前に確認してくださいね。
写真・文:岡部 章 土木写真部長
1992年に宮崎県庁に入庁。瓜田ダム建設工事事務所での勤務を皮切りに、県内各地で土木工事の調査・設計・監督業務に携わる。
土木構造物を世界にただ一つのオーダーメイドの作品と捉え、その魅力をより多くの人に伝えようと、2014年に「土木写真部」を立ち上げる。
ライフワークは土木広報と景観まちづくり。宮崎県高岡土木事務所工務課長、日本ダム協会認定ダムマイスター