エコノメソッドのマスターエコノコースを受けてみて
去年の4月から11月にかけてエコノメソッドのマスターエコノコースを受講してきました。
アルビレックス新潟やグランデ・アメージングアカデミー山梨などが導入していることもあり、エコノメソッドの名前を日本でもよく見かけるようになっています。
自分自身もマスターエコノを受けたことで周りからエコノメソッドって一体なんなの?と聞かれることも増えています。
エコノメソッドのマスターコースを受けた日本人は自分が初めてだそうで(というのも今はフィンランドでしかやっていない)いい機会なのでマスターエコノって何ぞや?と受けた率直な感想少し書こうかなと思います。
エコノメソッドのマスターエコノとは?
自分はマスターエコノしか受けてないので「これがエコノメソッド」とは一概に言えないのです、すみません。
ただマスターエコノでは主にポジションごとの原則を学んでいき、それをどう現場のコーチングに落とし込んでいくかの「理論→実践」の形で進んでいきます。
対象となる選手の年齢は主に13歳から18歳と最初は言われていたのですが、11 v 11のコーチングになるので18歳以上の選手のコーチングにも役に立つ内容になっていました。
また受講者はほとんどUEFA Aライセンス(日本A級)以上を持っていたので、他のコーチたちのコーチングを見れたり空き時間にいろんな話をすることもコースの内容と同じくらい貴重なものでした。
このマスターのゴールとして設けられたものは、
① ポジションごとの個人原則を理解すること
② ポジションごとの個人原則をトレーニングの中で落とし込めるようにすること
の2つを主に約7ヶ月間学んでいきました。
7ヶ月間と言ってもみんなで集まって講義を受けることは多くなく、大体4日間くらいの泊まり込みのブロックが4つあり、その間に課題が出されます。そしてブロックごとにそれぞれまたサブゴールが設定されています。
内容としては、
理論
実践
スカウティング(分析)
課題
の4つで構成されていてディスカッションベースで講義が進んでいきます。
エコノメソッドの考え方だけではなく他のコーチたちの考えにも触れられるので、自分はどういう意見を持っているのか常に考えられたのでとてもいい機会でした。(普通にエコノメソッドの考え方に反論している人がいる時もあります)
理論編
理論の部分ではポジションごとに攻撃、守備の原則に分かれています。
攻撃と守備でそれぞれ約8つくらいのメインの原則があり、1つ1つにまた3つくらいのサブ原則があります。
理論の部分ではまずエコノメソッドの考える原則を映像などを使いながら学んでいきます。
そして質問などがあったらそれをコーチたちとディスカッションをしながら意見をすり合わせていきます。
ただこの原則は絶対正しいわけではありません。例えばメッシのようなはめちゃくちゃなドリブルをするクラッシャーもいるわけなので一概にこうするべきとはなりません。
一般的にこうすると自分たちが有利になるよねというのが原則だと思っています。
実践編
実践のところでは個人原則をトレーニングで落とし込みます。
マスターコースのエコノメソッドのトレーニングでは、
イニシエーションフェイズ
GEPL (Game Episodes in Polarized Learning)
の2つに分かれています。ウォームアップやAnalytical Tasksは今回は深くやっていません。
イニシエーションフェイズはチームの全員がプレー+全てのポジションに当てはまるような原則(体の向きとか)を取り入れながら次のGEPLに向けてのトレーニングになっていました。ロンドとかもこれに当てはまります。
GPELは実際のゲームに近い状況で焦点を当てたいユニットもしくはポジションの選手をコーチングするトレーニングです。簡単にいうと11v11に近い状況です。
GEPLはWave(片方のチームだけ大きなゴールを使う)のとMatch(両方大きなゴールを使う)トレーニングがあります。
実際に現地のチームを呼んでコーチングをしたりするのですが、面白かったのは練習が始まる前に練習のゴールを選手に伝えることはしないそうです。
伝えてしまうと頭の良い選手は気を利かせてコーチの求めるプレーをしてしまう → 目の前の試合の情報から判断していないなどの理由からだそうです。
スカウティング編
スカウティング(分析)では実際に試合をみながら、もしくはプレー映像をみながら与えられた課題をやっていきます。
理論のところであげたような映像を見ながらディスカッションをする時もあれば、分析したものをみんな前でプレゼンする時もあります。フィンランドのアンダー世代を使ってライブ分析をしたりもしました。
とまあ少し長くなってしまったのですがマスターコースの概要でした。学んだ内容をここに書くとなるとありえないほど長くなる気がしたので今回はここまでにしておきます。(ストライカーのまとめの文字数だけでもこの記事以上だったので)
また何かの機会で伝えれる時があればその時にできればと思います。
マスターコースを受けてみての感想なのですが、
ここまで言語化してしっかり落とし込むところまで突き詰めていて結果を出しているのは説得力があるなーという印象でした。
正直練習方法やスカウティングの仕方などは言い回しが違うということはありましたが、特別他と何かが違うということはなかった気がします。
大学や他の講習会などと同じようなことを話しているところもあるのですが、細部までこだわり「ポジションごと」に「状況ごと」にコーチが明確な考えを持っている、そしてそれを落とし込むコーチングができているのは選手もプレーしやすいだろうなと実際のコーチングを見ていて思いました。
エコノメソッドのコーチも言っていたのですが「これは今現在自分たちが一番良いと思っているもので正解ではない」が全てだと思います。
このメソッドがこう言っているからこれが正解にはしたくないのでこれからもいろいろ学んでいこうと思います。
大事なことは目の前の選手との関係なので、教えてもらったことをそのままコピー&ペーストでやるというよりは、自分で考えながら実践して選手たちにあったものやコーチングを徐々に自分たちの中で作り上げていくことだと感じます。
そう言った意味ではマスターエコノはたくさんの引き出しを自分に与えてくれました。
マスターエコノは今の自分の考えを作る上で何にも代えがたい経験になっています。コースで出会ったコーチたちも本当にいい人ばかりでこんなよくわからん若造にも対等に接してくれました。受講して良かったと心から思います。
フィンランドもめちゃくちゃいい国でした。寿司食べ放題の店が多いし安いのでヘルシンキにいた時は毎日お世話になっていました。また行きたいなぁ。