UMUM旅2024 Thai①-旅の準備と、未だかつてない緊張感-
2024年7月16日〜21日。
4年ぶりに海外・タイに行ってきました。
それまでは1年に2、3カ国
1人で気になった国に足を運び
現地の学校や美術館を見学し
あわよくば、地元の子達と絵を描く。
自分の価値観のアップデートを目的に
異国と自分の間にある
圧倒的な「違い」を全身で吸い込んでいました。
今回のタイは、色々な意味で
全く新しい旅でした。
毎瞬間が本当に濃くて
儚さを感じるくらい尊くて
帰国後、意識していないと
記憶から消えてしまいそうで。
心の中にあるものを
一生懸命、隅々まで実感しています。
その実感を、言葉にするべく
ここに綴っていきます。
長くなりますが、お付き合いください。
1.旅のきっかけ
コロナ禍が始まった2020年から4年の間
多くの人がそうであるように
私も「海外に行く」ということから
すっかり遠のいてしまいました。
その間、UMUMではオンラインを導入。
画面越しに一緒に絵を描く、という場づくりに
私なりに精一杯向き合いました。
結果、それまで対象としていた子たちの枠を広げることができ
海外に住んでいる子にも、場を届けることができるようになりました。
そんな場の一つが、匿名希望展というお仕事。
年に一回、フィリピンの子ども達と
一緒に絵を描く機会をいただきました。
画面越しに、貧困層の奨学生たち20人と絵を描き
その20人が、さらに貧困層のこどもたちに学びをシェアする
というもの。
みんな楽しそうで、真剣で、絵も素敵なものができあがる。
日本にいながら、彼らと制作できる体験は
とても貴重なものでした。
でも、だんだんと私の中に欲が出てきました。
彼らの根源的な表現に、アクセスできそうでできていない気がする。
まだ彼らの中に、「うまく描かないといけない」がある。
回を重ねるたび、画面越しでは超えられないものの存在を実感しました。
言葉が通じないからこそ、文化が違うからこそ
直接会いに行きたい。
会って、コミュニケーションを重ねて
表現を共に味わいたい
そう思いました。
さらに、日本で開催している
「こどもアトリエ」に来ている子ども達の
内的な成長を感じていました。
3、4歳で参加し始め、継続的に参加している子は
もう小学校中学年になります。
自分を自由に表現する。
自分の世界観を持って、他者と関わっていく。
それを体現している彼らにとって
UMUMは今後、どんな学習体験をつくりたいか
こどもアトリエを起点に、どんな発展ができるか
そんなことを考え始めていました。
海外の子ども達に会いに行き
直接コミュニケーションしながら絵を描きたい。
日本の子ども達の、次の学習体験を作りたい。
2つの思いが重なって
また、海外に行こう!
と決めました。
将来的に、日本のこどもたちを連れていくことを想定すると
今回の旅では、現地を視察し
また訪問させてもらえる人脈を作りたい。
ほどほどに非日常を感じながら
危険すぎない場所がいい。
そう考えたとき、タイに友達がいることを思い出しました。
彼女の名前は、みどちゃん。
2019年ごろからUMUMの企画に参加してくれて
現在は、タイで幼稚園の先生をしています。
彼女に会いに、タイに行きたいと思いながらも
私の出産で先送りになっていたのでした。
みどちゃんに今の思いを連絡すると
即答でウェルカムのお返事!
最後に、最大の難関
家族の説得。
2022年に出産した娘を
だんなさんに託し
強行突破気味で説得しました。
こうして2024年7月に、タイに行くことが決まりました。
2.旅の準備
今回の旅の、新しい挑戦。
それは、「チームで行く」ということです。
この1年、毎週開催してきたこどもアトリエの
ボランティアスタッフは15人を超え
保育士、会社員、エンジニア、教育関係者、中学生など
多様な属性の方が出入りしてくれています。
こどもとアートを起点に
せっかくおもしろいコミュニティになってきたので
ぜひタイも一緒に来てほしい!と思い
声をかけてみたところ
なんと4名の方が手を挙げてくれました。
4名の、生活における優先順位を確認しながら
宿と飛行機を手配。
1人だったら、宿がイマイチでもいいけど
みんなに嫌な思いはさせたくない!と
リサーチにいつも以上に時間をかけました。
人の飛行機を予約するのも、すごく緊張した….
(スペルミスすらコストがかかる)
それと同時進行で、タイ在住のみどちゃんが
自身が勤める幼稚園での
ワークショップ開催の段取りを進め
私たちの目的にリンクするような訪問先を
日々調べてくれました。
そのなかの一つが、シーカーアジア財団。
バンコクにあるスラム街の
こどもたちの教育支援をしている財団です。
さっそく財団にアポをとったところ
こちらも即答でご快諾。
スラム街のこどもたちにも、ワークショップできることに!
2024年5月。渡航2ヶ月前。
シラチャという街の、日本人幼稚園のこどもたち
バンコクにある、スラム街のこどもたち
ふたつのワークショップが決まりました。
せっかくなら、この機会で
日本の文化を感じてもらいたいし
UMUMらしい表現の場をつくりたい。
提案したのは、大きい和紙にえのぐあそびをする活動でした。
シンプルな材料で、年齢や身体性を問わず楽しめるし
抽象も具象も広がりがあり、非日常性もある。
さらにこの活動でできた絵を
工作に発展させることもできます。
えのぐ、筆、養生材など
必要な材料一覧をつくって
財団と幼稚園の在庫を確認し
日本から持参するもの
現地で購入するもの
など、手配の段取りを組みました。
和紙はどうしても持ち込みするしかなく
幅1m×長さ18mの大きな紙を
スーツケースに入るサイズに折り直して
丸める作業が一番大変でした。
財団は、当日日本語がわかるスタッフさんが不在のため
当日の流れや活動内容を記載した企画書を
タイ語で翻訳した資料を準備。
正誤がまったくわかりませんでしたが
google翻訳、便利すぎ…!!!
ほかにも、みどちゃんがタイのおすすめスポットを見繕ってくれたり
長距離バンの手配をしてくれたり。
渡航直前には、全員でzoomで決起集会もしました。
ちゃくちゃくと準備が進むなか
さらに、新しい挑戦をもう一つ。
日本で2つの寄付を募りました。
一つ目は、画材。
せっかくスラム街に訪問するので
現地のこどもたちにプレゼントできる
鉛筆やペン、えのぐなど
中古でもよいので
自宅で眠っている画材の寄付を呼びかけました。
二つ目は、資金。
画材を持って行く運搬費や
現地で調達する画材費など
ワークショップを行うための資金の寄付を呼びかけました。
いずれも貢献の意味合いのほかに
寄付することで
今回の旅に「参加する」という
自分ごとに感じる気持ちが
すこしでも生まれたらいいな
という思いもありました。
ダメ元での呼びかけでしたが
なんと!
思っていた以上に資金と画材が集まり
私のスーツケースの2/3は画材でいっぱいになりました。
同行するメンバー4人
寄付してくれた方10人
現地にいる、みどちゃん
財団の担当者、山田さん
当日同行してくれる財団スタッフ
いろんな方との関わりが動き出し
旅の準備が整いました。
3.娘のストライキ勃発
タイ行きが2週間後に迫った7月。
2歳目前の我が家の娘が、RSウイルスに罹ります。
保育園の1歳児クラス、7月は
いろいろ流行りまくる、やばい季節だったのを
すっかり忘れていました…
看病していた私にも、もれなくうつり
体調が決していいとは言えない状態。
カレンダーと睨めっこ。
でも、まだ2週間ある。
1週間で治して、1週間で体力作ればなんとかなる…!
経口補水液、投薬、睡眠をとにかく摂取!
しかし、そんなに甘くありませんでした。
翌週、RSウイルスが落ち着き
再び登園したら
また高熱を出す娘、、、
タイ出発の3日前。
こんどはなに?
コロナ?インフル?
手足口病?溶連菌?
なんにせよ、まじでやばい。
タイにウイルス持っていくわけにはいかない。
私が行けなかったら、ワークショップどうしよう。
スーツケースに詰めた画材は、どうしよう。
同行するみなさんに
100万が一、私が行けない場合の想定を伝えました。
「れいちゃんが、もしももしもこれなくても、なんとかする!」
と力強い返事をくれたメンバーに、目頭熱くなりました。
とはいえ、行きたい。
ここまで来たんだもの!
今回の海外行き
しぶりながらも、なんとか受け入れてくれただんなさんに
さらに甘えて渡航前から育児を任せ
心を鬼にして、家の中でもマスク。
寝る時は別室。
高熱で夜泣きする娘を寝かしつけ
別室に戻ったら、緊張で目が爛々
をくりかえし
全く寝れない日々。
体は暇だけど、心がめっちゃ忙しい
ものすごい緊張感の3日間でした。
子は親のこと、なんでもわかってるんですね。
旅立ちの前くらい
心おきなく娘といちゃいちゃしたかった…
断腸の思いで、自分の体調を整え
迎えた出発の朝!!!
ついにこの日がやってきた!!!
成田空港行きのバスに乗った瞬間
ものすごい安心感に包まれました。
タイに、いける、、、、!!!
(娘はこの日父と病院に行き、ヘルパンギーナと診断されました。)
<つづく>