〈連載第4回 発売直前スペシャル! noteを読んで『キャンドル』100倍楽しもうぜ!!〉
黒猫 今日も今日とて日が暮れて、ステキに夜がやってきた。フレーベル館児童書公式noteをご覧の諸君、こんばんは。『キャンドル』発売直前スペシャル、始めていこうと思うんだが……。
村上 ……。
黒猫 なにを黙りこんでるんだよ、村上。
村上 いや、なにを話したものかちょっと考えている。
黒猫 それな。まあ、前回も少し話したし、お察しの方もいらっしゃるだろうが、直前とはいえ発売前の作品だ。気やすくネタバレできない。物語の本筋に触れないよう気をつけながら、うまいこと語っていかないといけないわけだ。
村上 難しいよね。でも、ずっと悩んでるわけにもいかないし、とりあえず新刊プロモーションの方の話題から始めていこうか。ぼくら、できるところから手をつけていくスタイル。
黒猫 おれの場合は前足だ。
発売前プロモーションのネタばらしと水面下での『キャンドル』進行
村上 今回、担当編集Hさんがいろいろ画策してくださって、発売前のプロモーションはなかなかおもしろいことをたくさんやりました。まず、第2作の進行について、SNSなどでは意図的に伏せてました。サプライズですね。
黒猫 その間、村上のツイッターではおれがスパゲッティを食ったり、短歌を読んだりとやり放題だったわけだ。
村上 ほとんどツイッター芸人だったよね。ぼくら。
黒猫 そんなにフォロワーもいないのにな。つーわけで、水面下でことは進行していた。
村上 だいたい5月末くらいにプロットが通って、6月半ばから書き始め、初稿が上がったのが7月8日でした。
黒猫 わりと編集Hさんの反応よかったよな。『あの子の秘密』の投稿時「ハロー・マイ・フレンド」のときより頭2つ3つ抜けてるっておっしゃってたし。
村上 まあ、ぼくは全然自信なかったから、「なんかうまいこと乗せようとしてるんじゃないか?」と思ってたけどね。
黒猫 信じろよ、担当さんの言葉を。
村上 まあ、それで改稿を重ね、8月の17日に印刷所に入稿した。そして20日は誕生日ね。わーい。
黒猫 誕生日はどうでもいいんだが、1か月近く改稿していたわけだな。どのくらい書き直したの? 4稿くらい?
村上 いや、6稿。
黒猫 (絶句)
村上 印刷所入ってからも、3回くらい細かい直しが……。
黒猫 ネコの魂9つと同じくらい直してるのな……。
村上 『あの子の秘密』のときもそんな感じだったよ。でも、今回の入稿が12月発売にしては早かったのには訳があって。
黒猫 なんだよ、訳って。
村上 担当編集Hさんの野望で、今回、帯に書店員さんのレビュー掲載っていう企画をしたんだよ。ご協力くださった7書店の書店員さん、ありがとうございました。
黒猫 ふうん。つまり、書店員さんたちに読んでもらうために、はやめに入稿する必要があったわけだ。
村上 そう、プルーフ本を作ってね。手製で。
黒猫 お前が作ったの?
村上 いや、ぼくは表紙に書店員さんに向けてメッセージを書いただけ。
黒猫 ああ、あの下手な字で。
村上 うるさいな。気にしてるんだからやめて。
黒猫 でも、やっぱりレビューもらうのうれしいよな。
村上 うれしいっていうか、ホッとしました。
黒猫 その心は?
村上 いや、好感触だったから。「あ、よかった。この話、本当におもしろいんだ」って思った。
黒猫 おまえ、Hさんを信用しろよ、だから。
担当編集Hさん、八面六臂の活躍!
村上 と、いうわけで、今回。編集Hさんは非常に緻密な販促計画を立てていた。めずらしく。
黒猫 めずらしいのか。
村上 自分で『めずらしく』って言ってたよ。ほら、編集さんの言うことは信じたほうがいいから。
黒猫 そうな。さっきおれが言ったことだな。
村上 それから、noteの連載も一応『キャンドル』の販促ということで始まったんだよね、そもそもは。
黒猫 おれは自分が登場しない作品の販促のために駆り出されているわけだな。
村上 おまえは別枠らしいよ。なんでも。『あの子の秘密』以外でも今後なにかしらの形で作中で活躍することが許可されてる。
黒猫 それはうれしい限りだが、だれに許可されてるんだよ。
村上 担当編集Hさんですね。あと、プロモーション番長のUさん。
黒猫 『プロモーション番長』っていう役職がフレーベル館にはあるのか?
村上 番長は通称だと思うけど……UさんはHさんと並んでぼくが恩義を感じている方のひとりです。
黒猫 まあ、Hさんなんてほとんど29歳児村上の保護者みたいなもんだからな。
村上 まあ、ほっとくとなにやらかすかわかんないからね、ぼくら……(遠い目)。
黒猫 しれっとおれも含まれた。で、noteの連載告知があったのはいつだっけ?
村上 ツイッターで確認したけど、10月2日ですね。そして、この『なにがニャンだか』の記念すべき初回、10月8日に新作『キャンドル』発売の情報解禁。その後も、カバー絵の公開、本の日キャンペーンのオリジナル図書カードにそのカバー絵を使用、など、まあ怒涛の事前販促ですよ。
黒猫 装画の遠田さんの援護射撃もあったしな。なかなか盛り上がったんじゃないか?
村上 あ、そう言えば予約してくださった方の数、黒猫にチュールをあげるように編集Hさんから言われてたわ。
黒猫 え! 聞いてないぞ! おまえ、はやく200個くらいよこせよ!
村上 多分、そんなには予約されてないのでは……。
黒猫 みんな、今すぐ予約だ! おれのチュールがかかっている! 頼む! 読まなくてもいいから予約しろ!
村上 いや、お願いだから読んでください。ちゃんと、ぼくとHさんで、期待を裏切らない内容に仕上げたつもりなので……。あと、ポスターやポストカードも作ったそうで、ぼくのところにも送られてきました。まあ、遠田さんのカバー絵のおかげですね。
黒猫 『あの子』のときも作ったよな、ポスターとポストカード。でも、ポスターってそこまで需要あるのか?
村上 うちの祖母は部屋中のふすまに貼るつもりだなんて、ホラーなことを言っている……。
黒猫 おまえのばあさんはときどきおれに煮干しをくれるから、あんまり悪く言いたくないんだが……あの目力の強い絵に囲まれて、日常生活を送るのはちょっと……。圧が強いというか……。
村上 迫力すごいよね、遠田さんの絵。あとはシークレット企画として、『キャンドル・ナイト』というものをやりました。レビューをくださった書店員さんを招待して、zoomで『キャンドル』について語り合う場を設けていただきました。楽しかったですよ。
黒猫 あ、やってたな。おれもこっそりのぞいてた。「登場人物の名前はどうやって決めているのか」とか、いろいろと質問に答えていたな。
村上 そうそう。『穂村螢一』は「ほむら=炎」と『螢』から来ている。『皆本翔真』は「みなもと=源氏」と、「翔真」のほうは「翔=飛ぶ」、「真=真実、本質」とかそう言った感じの意味合いがあって、「あらゆる壁を飛んで越えていく」という願いを込めたつもりです。
ちなみに、ふたりで「ゲンジボタル」とか「ほむら」と「翔」で「firefly(蛍の英名)」とか、細かい遊びもあるよね、とか、そんなような話をしました。
黒猫 あと、歌をうたってたよな。あれはなんだ?
村上 その話もしないといけないのか……。
村上、『キャンドル』という名の曲をギターで弾き語る!?
村上 実を言うと、『キャンドル』というのは物語上に登場する曲の名前なんだ。それが物語のカギになっていくわけで、実を言うと物理的なろうそくが登場する話ではないんですよ。物語『キャンドル』には『キャンドル』という曲のほかにも、いくつか架空の曲が登場するんですが……。
黒猫 ちょっと待て、こんがらがってきたぞ。なに? 音楽がテーマの話なの?
村上 テーマじゃないけど、重要なアイテムではあるかな。で、その『キャンドル』という曲は、ぼくが投稿者時代に書いた短編に登場するもので、メロディとコード進行まで決まっていたんだ。それを知った編集のHさんが「せっかくあるなら販促に使おう」と言いだして。
黒猫 おもしろいじゃん?
村上 と、言うことで、今回の『キャンドル』。帯の折り込みのところにQRコードがついていて、楽譜がダウンロードできます。みなさん、どんどん歌ってみて、Youtubeとかニコニコなんかに投稿してくれよな!
黒猫 「くれよな!」って。キャラがちがうぞ。おまえ、もしかして梨屋アリエ先生の『きみの存在を意識する』(ポプラ社)の販促を意識してるんじゃ……。
村上 いいよね、DECO*27 さんの『ネガティブ進化論』。さきに『きみの存在を意識する』を読んでから視聴したんだけど……。YAはこういうメディアミックスどんどんしていかないかなあ……。10代に刺さると思うんだ。
黒猫 あの、よその出版社の宣伝じゃなくて、これ一応『フレーベル館児童書公式note』だから……。ちなみに、『キャンドル』ってどんな歌なんだ?
村上 70年代のブルース臭いロックみたいなコード進行で……。
黒猫 刺さるか? 10代に。ゼロ年代生まれの子たちに。
村上 さあ……?
黒猫 さあ? じゃねえ。ともかく、それをzoomで書店員さんたち相手にうたったと。
村上 担当編集Hさんにはめられたんですよ……詳しくは言わないけど。
黒猫 だいぶHさんの手のひらの上って感じだわ。
ネタバレせずにどこまで語れるのか!? 『キャンドル』を100倍楽しむための事前情報!
村上 はい。じゃあ、そろそろ内容の紹介に参りましょう。発売に向けて、これを読んでおけば『キャンドル』が100倍楽しめる!? のコーナー。うまいことネタバレにならないように進めていきたいと思います。
黒猫 自分でハードルを上げていくスタイル。
村上 ただ、ぼくのネタバレ回避能力に不安がある方や、本編までよけいな情報を入れたくない方、半端なく勘が鋭い方なんかは、この先を読まずに、いいねだけしておかえりください。
黒猫 自分で客を追い返していくスタイル。
村上 はい、じゃあいきまーす。まず、螢一(けいいち)こと、穂村螢一について。物語『キャンドル』の語り手であり、主人公である少年です。腫れぼったいまぶたの眠そうな目。ちょっとふっくらした色白の頬、天然パーマでさらに寝ぐせ! みたいな髪型をツーブロックにしています。お父さんがカリスマ美容師。
黒猫 わりと具体的に描写してきたな。っていうか、おやじさん美容師なんだ。
村上 カリスマ美容師ね。
黒猫 カリスマは必要なのか?
村上 必須だ。で、前回紹介したあらすじにもあったとおり、螢一のお母さんは、彼が小さいころに亡くなっています。今は父子ふたりで暮らしているわけですね。なので螢一、料理とかします。上手です。
黒猫 ほうほう。で? 性格のほうは? なんだっけ、前回は「ちょっと冷めた感じ」とか「あきらめるのが上手」とか、言ってた覚えがあるが。
村上 そんな感じですね。でも、ただのクールキャラっていう感じでもないです。ちょっと眠そうで、ぼーっとして見えて、そのうえ天然ボケな感じがします彼。っていうか天然ボケなんだけどときどき養殖ボケも織り交ぜてくるので……。ひょうひょうとしてつかみづらいキャラです。
黒猫 食えないキャラだな。
村上 ですね。低体温とか、低空飛行とか、そういう言葉が似合うんだけど、あいつときどきめちゃくちゃおもしろいことをぽろっというからなあ……。背負っているものは重いけれど、ゆかいな子です。
黒猫 新規のキャラなのか? それとも、今まで書いたことがある?
村上 ああ、今回ボツになった作品たち(連載第3回参照)で書く前にも、何回か書いたことがあるよ。投稿者時代の話。そのころはお母さんじゃなくてお父さんがいない設定だったけれど。
黒猫 どっちにしても世知辛い話だな。
村上 そうだね。世知辛いけれど、そうめずらしい話ではないよ。
黒猫 ふむ。話を戻そうか。ちょっとおれは螢一のおやじさんにも興味が湧いてきたんだが。
村上 ああ、螢一の父ちゃんはあれです。あの、螢一とは真逆でテンションが成層圏を突き抜けている感じのキャラです。見ようによってはうっとうしい感じの父親ですね。変な父ちゃんです。
黒猫 変なんだ……。変でテンションの高いカリスマ美容師のおやじさん……。
村上 螢一の髪型がおしゃれなツーブロックなのも、父ちゃんが切ってるからですね。もっとも、螢一、寝ぐせのまま学校来るけど。
黒猫 じゃあ、次はもうひとりの登場人物、翔真(しょうま)の話を聞こうか。
村上 翔真こと、皆本翔真 がどんな子かっていうのは、実はこの場で語ることができません……。
黒猫 おい。
村上 存在自体がこの物語のネタバレにつながるので……。でも、ぼくはずっと翔真のようなキャラクターを書きたいと思ってたんだよね。世の中、彼が彼らしくあることができるような場所であるといいな、と思うし、そうした社会を作っていく責任がぼくらおとなにはあると思ってる。
黒猫 おまえの崇高な志はともかくさ、もうちょっとキャラクター自身についての話をしてくれよ。翔真はどんな子なんだ?
村上 強い子ですよ。自分の魂を曲げず、自分の個性をあきらめない、そしてそのために闘うことができる男の子です。テーマ的には、最近の児童文学でも語られてきたものを背負っているんですが、翔真みたいなタイプはめずらしいと思います。
黒猫 どうめずらしいんだ?
村上 翔真は自分を恥じない。そして世界に対して臆さない。自分がマイノリティであることを、マジョリティがどんな目で自分を見てくるかを、いやというほど知っていて、それでもなお。
黒猫 かっこいいじゃん……。
村上 だけど、彼にもひとつだけ、本当に恐ろしいと思うことが、それこそ死ぬほどこわいことがあるんだ。それが『キャンドル』の物語の核となるひとつのテーマかな。
黒猫 なるほどなあ……。いや、まあ、ここだけ聞いてもさっぱりわからないが、おまえの熱みたいなものは伝わってきた。
村上 じゃ、次はそのふたりがどんな冒険に巻きこまれていくかってことなんだけど……。
黒猫 前回、あらすじを引用して『記憶』が重要なカギとなるって話をしたよな。『螢一が知らない子の記憶におそわれて、その記憶の主を探す……』とか、なんとか。
村上 まあ、ほとんどそれで全部だよね。これ以上言うとネタバレになっちゃうし。だから、どこからそのアイデアというか、着想のもとが出てきたかってことについて、話しておこうかと……。『キャンドル』の着想は、少年チャンピオン・コミックス『ザ・クレーター』(秋田書店 1970年)より、『オクチンの奇怪な体験』という手塚治虫先生の短編から得ています。
黒猫 ずいぶん古い漫画だな。なんだ? 今回は70年代スペシャルなのか?
村上 手塚治虫先生にはものすごく影響を受けました……。
黒猫 手塚治虫先生に影響を受けてないクリエイターっているのか?
村上 まぜっかえすなよ。おまえだってぼくが小学生のころに『七色いんこ』(秋田書店 1981年)読んでなかったら存在してないかもしれないぞ。
黒猫 うそつけ、おれはどっちかっていうと『風神秘抄』(荻原規子/徳間書店 2005年)の鳥彦王とか『はじまりの樹の神話』(岡田淳「こそあどの森」シリーズ/理論社 2001年) のホタルギツネとか、それこそ『魔女の宅急便』(角野栄子/福音館書店 1985年)のジジとか、あのあたりがモデルだって聞いてるぞ。あと、魔法少女まどか☆マギカ(アニメーション制作/シャフト 脚本/虚淵玄 2011年毎日放送ほかにて放映)のキュゥべえとか……。
村上 最後のは違う。っていうか、そのあたりは次回で語るかもしれないから黙ってて。
黒猫 ともかく、『オクチンの奇怪な体験』っていうのは、どんな話なんだ?
村上 とりあえず、手塚治虫先生の公式ページがあったのでリンクを。
黒猫 17歳の高校生の女の子を1か月預かれ? ライトノベルじゃん。
村上 日本のサブカルチャーの血脈を感じるよね。ともかく、『キャンドル』を読んだ後に『オクチンの奇怪な体験』を読んでみると、影響を受けているというか、カッコよく言えば『文化的な遺伝子を継いでいる』ことが理解できるはずです。
黒猫 ひとつふたつ着想を得たくらいで手塚先生の『文化的遺伝子を継いでいる』ってだいぶ偉そうだぞ。
村上 ぼくのようなクリエイター界の末端、駆け出しのひよっこ児童書作家でも手塚先生の影響からは逃れられないという、先生の偉大さを知らしめるようなエピソードですね。
黒猫 ああ言えばこう言う……でも、なんとなくわかったぞ。その記憶の持ち主は、女の子なんだろ?
村上 うん。
黒猫 軽いな! そこはじらせよ!
村上 いやいや、だって、前回話したじゃん。『あの子の秘密』の登場人物……というか裏主人公を登場させようと思っていたけれど、うまくいかなかったので新キャラに変えたって。性別は察しがつくでしょ、『あの子』ほとんど女子しか出てないもん。
黒猫 おまえさあ、その新キャラが『記憶の持ち主』だとはだれも言ってないし、だいたい新キャラに変えた時点で、性別も変わった可能性もあるだろ。
村上 ……そういう考え方もある。
黒猫 おまえ、わりと考えなしだよな。
村上 面目ない。
『キャンドル』発売に向けて! ひよっこ作者・村上雅郁からのメッセージ!
黒猫 そろそろ6000字なので、締めに入ろうと思うのだけれど、そうだな。村上。『キャンドル』発売に向けて、なにかお言葉を。
村上 お言葉って、そうですね……。ぼくはその物語で書きたいことは、テキスト(本文)の中に書き切るべきだと常々考えているので、解説とかそういうのはあくまで付録というかおまけだと思うんですよ。いいんだけどね、ここで『キャンドル』にこめた想い! とか、物語の真の主人公はこの子! とか、そういうことを語っても。でも、それって作品を楽しむうえでノイズになる場合もあるじゃないですか。
黒猫 このコラムの趣旨……。
村上 だから、多くは語りません。『キャンドル』、楽しく読んでくれたらうれしいです。そして願わくば、彼らの未来に幸あれ。
黒猫 彼らの未来?
村上 と、言うわけで、キャンドルスペシャル、終わりにしようと思います……あ!
黒猫 おい、どうした。
村上 ここまで書いて思い出したんだけど、これだ。
黒猫 なんだこの画像。
村上 担当編集Hさんが、『文字ばっかりで花がない』っていうので、『キャンドル』の舞台の写真を撮ってきました。ちょうど季節も11月半ば。螢一と翔真はここを通って学校に行くわけですね。どう思う?
黒猫 どう思うって、こんな最後に1枚写真を貼って、どうしろっていうんだよ。うん?
ちょっとまて、ここ、見覚えがあるな……っていうか、『あの子の秘密』でも登場した場所じゃんか。おれもここ通ったぞ!
村上 というわけで、『キャンドル』の舞台は『あの子の秘密』に引き続き甘縄小学校です!
黒猫 地元民しか喜ばねえ。え? じゃあ、新キャラに変えたって言ってたけど、ひょっとしたらほかに『あの子の秘密』の登場人物で引き続き出てくるやつ、ひとりかふたりくらいいるんじゃ……。
村上 はい! 来週は最終回。『あの子の秘密』の登場人物たちの裏設定を語る、『あの子たちの真実』をお送りします!
黒猫 さっきそういうのは付録だとかノイズだとかおまけだとか、さんざん言ってたぞ。舌の根もかわかぬうちに、って言葉、知ってるか?
村上 べつに付録やおまけがきらいだなんて、ぼくは一言も言ってない。
黒猫 へりくつ! へりくつ!
村上 へりくつでけっこう! 次回は3週間後! ようするに大晦日だ。2020年は『あの子の秘密』を語って年を越しますよ! それではお相手はひよっこ児童書作家の村上雅郁と!
黒猫 半野良イマジナリーキャット、黒猫だったぜ。シーユーインアナザードリーム、ハバナイスリアリティ!
♪エンディングテーマ 『キャンドル』 作詞作曲・立花沙羅
*この記事で紹介している書籍情報については村上雅郁氏の所蔵をもとに表記しています。
Masafumi Murakami
1991年生まれ。鎌倉市に育つ。2011年より本格的に児童文学の創作を始める。第2回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作『あの子の秘密』 (「ハロー・マイ・フレンド」改題)にてデビュー。2020年、同作で第49回児童文芸新人賞を受賞。