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金色に・ヘルパーの詩

金色に光る指輪の手
手すりを掴むたび
ふるえて
カタカタと鳴る
Tさんの手に私の手を重ねる

ヘルパー?知りませんよ
勝手に家に入り込んで
訴えますよ!
元教師Mさんに叱られるたび
こわい でもなつかしい

きつく閉じたまぶたの裏に
満開の花を
見て欲しい
Nさんのおむつ替えのときは
いつも花の話題


もう立つことのない
Aさんの足を
そっとさする
優しい動物を
寝かしつけるように

♪伊豆の山々月淡く
足浴を始める前に
一節唄えば
Gさんの湯の中の足
ふやけて洗いごろ


人殺し帰れ!
老いの言わせた言葉
受けとめきれずに
夕焼け雲を
見あげて帰る日


身をねじって見上げるUさん
腰を折って顔を寄せるわたし
車いすごしに交わす笑顔は
同じ支柱に並んで咲いた
二輪の朝顔


     おわり

小牧さんの企画に参加させてください。
小牧さんお世話をおかけしますがよろしくお願いいたします

ヘルパーをしていた頃の実体験です。



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