電車に乗れば
座席に耳を当てていた
男の子
すいと身を起こすと
お母さんに報告
電車さんがんばってるよ!
右の高校生は数学
左の中学生は漢字
蛍光ペンの黄緑揺れて
東横線はもうすぐ
銀杏並木へ続く駅に着く
向かいの席の
中年男性
袋とじを丁寧にはがしている
両隣の女性
不穏
ぎゅうと詰められ柘榴の実
はじき出されて鳳仙花
満員電車もなんの園(その)
花も実もある
サラリーマン
電車の窓は意地悪鏡
皺くっきり
疲れた顔を写しだし
ほら見てごらん と
そらせた視線を引き戻す
夕日を浴びて走る電車は
それぞれの窓から
一直線に差し込む光に
串刺しにされ
身を震わせる
電車の窓から
走り去る家並みと
どこまでもついてくる月を見る
家並みは若い日
月は心に沈む悩みかと
----------------------------------------------------------
電車の短詩、集めてみました。あなたは、どれがお好きでしょう?
わたしは、「意地悪鏡」かな?きれいに映してくれる窓は、
まだ見つかりません。
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはアイデアの卵を産み育てる資金として大切に使わせていただきます。