バスとわたし
満員のバス
ゆっくりと左へ曲がる
重いけどがんばれ!
幼い声が
空気を変える
急カーブの先のバス停から
おしゃれな青年が乗ってくる
ほら今日もいるよ
遠心力が
私を窓に押しつける
バス停は私一人
乗らないバスが来たら
両手で✖サイン
うなずく運転手さん
通じ合う一瞬 風さわやか
バス最前席から
見通す信号
赤が一斉に青に変わる
深紅の椿散って
蒼い矢車草ぱっと咲く
行ってらっしゃいと運転手さん
行ってきますと私
昼下がりのバス
乗り合わせた人たちは
つかの間の家族
坂をのぼりつめたバスは
コトリ と
姿を消した
地球の裏側に
落ち込んだように
おわり
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