私の日 #シロクマ文芸部
私の日、小さなリュックを背負い麦わら帽子を被って家を出る。
「おはようございます!」
エレベーターで、Tシャツに短パン、大きなリュックを背負った青年に会う。私を追い越して玄関を出ていく後ろ姿、日に焼けた肌、くりんと飛び出たふくらはぎの筋肉がリズムを刻む。
川沿いの遊歩道は、刈られたばかりの草の香りが満ちている。犬がいたころは、リードを離すと土手をウサギのように飛び跳ねた。伏せた耳、ふさふさの尻尾、急に寝転んで背中をすりつけて草だらけ。尻尾に絡んだ白いヒメジュオンの花、大事に持ち帰ったりした。
白い花で飾られていた桜の木は、緑の葉が茂り落ち着いた表情をみせる。
幹に巻かれた白いひもに赤い数字・・・もしや伐採予定?気にかかる。
鳩が数羽一心に地面をつつく。なにか虫がいるのだろうか。まだ地中の蝉はノックがやかましい、と思っているかも。
花が好きな管理人のいるマンション脇は、オリヅルラン、ゼラニウム、
アイビー、ベコニアが身を寄せ合って揺れている。
「おはよう、今朝はもう水もらったのね」
横断歩道は白い木琴。ド。レ。ミ。ファ。ソ。小さく歌う。
歩道脇に止められた自転車、篭にかけられたカバーの文字は
best holiday
そう、今日は日曜日、なんでもない普通の日、でもそれが
私の最高の休日!
おわり
小牧さんの企画に参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。
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