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告白水平線
英文科一の美人で親友の由美から、夏休みに一緒に九州旅行にいかないかと誘われた。叔父さんがホテルに勤めているからいい部屋がとれるし、と。
九州でも、由美はもてもてで、男の子たちがついて来たりで疲れたが、最終日、別府からの船でやっと二人になった。
デッキに出ると夕陽が美しく、水平線がオレンジ色に色づき水面に伸びる太陽の帯が「おいで」と誘っているようだった。
「ジョーンズ先生の英会話の授業一緒に出てくれない?先生が好きなの」
由美がさり気なく言った。
その授業は月曜日の一時限目でサボる学生が多く、私もその一員だった。
でもそう頼まれれば出るしかない。英会話だって身に着く、と、私は由美と授業を受けることにした。
そして由美は卒業の年の秋、ユミ・ジョーンズになった。
水平線を見るたび、あの日の由美を思い出す。夕陽を吞み込もうとしていた水平線のきらめきのように、彼女は輝いていた。そして、その彼女は水平線の向こうに行ってしまった。
おわり(415文字)
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