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思い出をチン!

三軒茶屋の近くにある小さなレストランの2階を借り切って、詩の会の仲間の一人が作品展を開きました。数年前の春のことです。白い壁のモダンな部屋で、詩の書かれたパネルがソフトな照明に浮かび上がっていました。

一緒に行った5人の仲間の心をとらえた詩の一つは

思い出を
ラップに包んで
チン!したら
あのころが
おいしく戻るだろうか

まずその発想に心が脈打ちます。チンの得意な私であっても、「あの頃」を、しかも「おいしく」戻すことはできない。作者の切なさが迫ってきます。でも、そう願っている一瞬は「あの頃」に心が戻っているのです。バックの赤い照明に照らされた図書館の部屋は、そんな懐かしさとほのかなときめきにピッタリ・・・作者Yさんの心の絵でしょうか。

ランチは1階レストランの特製メニュー。野菜の味と色彩の生かされた料理は、まさに「今この時」の「おいしさ」。ここが会場として選ばれた理由がわかった気がしました。

ランチ中に、キリリスーツ姿の主役が登場して、ますます詩談義が盛り上がりました。                                      なんとYさんは、子供の頃、このあたりに住んでいたとか。一時間後、「じゃあ」と横断歩道を小走りに去っていく姿に、少年の頃のYさんが重なり、車の流れの止まった国道から、玉電の音が聞こえたように思ったのでした。


芽生えた木に
話の花が
満開に咲く
友との楽しい
心の旅

 
            おわり

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