着のみ着のままゲーム機
ここは深夜の交番。
お巡りさんが老人に話し掛けている。
「どこから来られたんですか?
この寒いのに着の身着のままじゃないですか」
「おお君、ご苦労さん!永田町から来たんだよ。
自慢するわけじゃないけどね、俺は子供のころから成績よくて、中学高校は名門進学校、有名大学から有名企業に入り、コネがあって議員秘書になり、
それで政治家、今は総理大臣になっちゃってさ。日本を動かしてるんだよ」
「はいはい、分かりました。ところで持っているのは人生ゲーム?」
「そうそう、このあみだくじをピッピとうまく辿っていくと出世する
ゲーム機なんだよ。何回もやってるから使うたびに出世街道まっしぐらさ」
「おじいちゃん!帰ろう!またお世話になっちゃって、お巡りさんすみません」
「娘さんがお迎えですよ」
「え?娘じゃなく秘書ですよ、え?国会が始まるのかい、よし、出かけよう!」
老人は幸せそうに迎えの車に乗り込んだ。
これは某国の首相が昨夜見た夢の話である。
おわり(410文字)
最後の一行、迷ったのですが、加えてしまいました。
夢の方が幸せかも、と。
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