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心お弁当

狼のウー太は、森の出口でフクロウ爺さんが店を出しているのに気づいた。看板をみると「心お弁当」とある。
しかも大きな卵がひとつだけ。

いきなり呑み込もうとして、ふと手を止めた。この卵を温めたら鶏が生まれ、肉が食える、それまで待とう。

三日後にやっと卵にピシリと割れ目ができ、現れたのは、とがった鼻先、
ぎょろりとした目、うろこ模様の頭!
なんとワニ!

しりもちをついたウー太に、ワニが言った。

「おかあさん」

え?おかあさん? なにか心がほんわりした。

「魚が食べたいの」

ウー太は、やっとの思いで魚を捕まえてワニに与え、ふたりは寄り添って暮らすようになった。
ある日一人出かけていたワニが帰って来て、大きな口をあけて迫って来た。
怯えたウー太の前に魚がポロリ落ちた。

「おかあさん、わたしからプレゼント。母の日だから」

ウー太の目に嬉し涙が浮かび、そして気づいた。
俺の心は変わってしまった。心お弁当ってこのことか・・・

       
        おわり(410文字)


たらはかにさんの企画に参加いたします。
たらはかにさん、お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
今週のお題は「こころお弁当」です。



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チズ
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