巨樹の旅(NHK番組より)その2
「にっぽん巨樹の旅」という番組を見て、その第1弾を昨年2月にアップしましたが、その2弾です。
次々登場する、巨樹たちの堂々たるたたずまい、木たちの見てきた世界を思い、心が動かされました。一部を紹介したいと思います。
1. 山高神代桜
山梨県北杜市
大武川の南岸、実相寺の境内にあり、樹高は10.3m、根元・根回り11.8mあり、日本で最古・最大級です。樹齢は約2000年と推定され、いまなお、4月上旬には美しい花を咲かせ続けます。大正11年に国の天然記念物に指定され、平成2年には新日本名木百選に選定されました。
樹齢2千年はすごい!めばえたのは、西暦22年!弥生時代後期です!
(これは昨年紹介したもの、あまりにすごいのでアンコールです。)
2.縄文杉
鹿児島県熊毛郡屋久島町
縄文杉は合体木ではなく一本の杉。世界最古の植物とも言われ、日本に自生する杉の中で最大の幹周りを誇り、盛り上がる幹・こぶ、低くずんぐりした樹形。台風が常襲する屋久島の厳しい自然の中で生き続けた孤高の巨樹は神々しく、王者の風格さえ感じる。
「縄文杉」という名前の由来は、発見当時推定された樹齢が4,000年以上で縄文時代から生きていることから来たという説と、奔放にうねる幹の造形が縄文土器に似ているからという説がある。縄文杉は訪れる人の増加に伴って踏み固められ根が傷み、土砂の流出や周辺の植生に影響が出始めたため、1996年に展望デッキが設置され、15mほど手前からしか見ることが出来ない。
3.領家のもみじ
岐阜県
このモミジは、長良川鉄道徳永駅の北東4km、小高くなっている森氏(通称:領家)の墓の上にある単木。根元の幹周囲7.5m、目通り幹周囲5.3m、樹高14m枝張り東8.0m、西9.0m、南6.5m、北2.0mのイロハモミジの巨樹である。
このもみじは触った人が病になるなどの言い伝えがあり、縁起の悪い木として今も観光客はあまり訪れない。贋金を作っていたが、悪だくみがうまくいかず落ちぶれた人の墓の上に植えられた、のだそうだ。怖い木、としてだれも手を付けなかったから育った、とのこと。
4.たこ杉
高尾山
樹齢450年の巨大杉。ケーブルカー、リフトをおりて3分程、一号路の沿道にどっしり立つ大きな杉の木がある。その昔、参道を切り開く際に、道の邪魔になると切られそうになった根をたこの足のようにぐにゃりと曲げたという言い伝えがある。この逸話から、たこ杉は「道を開く=開運」ということで開運の杉として祀られるようになり、多くの人が御利益を求めて根を触るようになった。
4.川棚のくすの森
山口県下関市
枝は60m近く広がり、地域の守り神としてあがめられた。森のように見えるのでくすの森と言われるが、一本の木。
ところが、2017年から葉が落ち始め、一か月で枯れてしまった。
8年前近くの公園化のため埋め立てがあり、根が窒息状態になったのが原因らしい。
2019年調査団が調べると、なんと奇跡のように胴から直接芽吹きが!
木はこのように、いつも再生できるよう準備しているのだ。
生きるための凄まじい本能に感動した。
5.東根の大欅
山形県東根市
市立東根小学校の校庭にそびえる、大ケヤキの樹齢は、1500年以上。幹の太さ16m、直径5m、高さ28mの見事な巨木で国の特別天然記念物に指定されている。日本ケヤキ番付表では、東の横綱を張り、堂々の日本一。
秋には葉が散り落ちる。地面に届くまでに、3枚以上受け止めると願いがかなうと言われ、小学生たちが楽しそうに落ち葉と戯れる。
6.岩屋の大杉
福井県勝山市
岩屋の大杉は、観音堂の脇に立っていて、個性的な一本といえる。最初の印象は、その異様な姿、根元付近は、こぶや空洞が出来、複雑に入り混じり、幹は数本に分かれて、空に向かって伸びている。昔、この杉の根元には、白い竜が住んでいたと云う言い伝えがあるが、なるほどと思える、この杉には木の精霊が宿っているような気がする。
象の鼻のように伸びた枝が地につくと、あたりが海になる、という言い伝えもあった。下に伸びた枝が地に着き、根が生え、また上に向かって伸びている。
厳しい自然のなかの暮らし、人はより便利な暮らしを求めて離れて行ったが、巨樹は動けない。生きる方法を必死で探し、気の遠くなるような日々を生きている。
7.石徹白大杉
岐阜県郡上市
石徹白の大杉(いとしろのおおすぎ)は、岐阜県郡上市にある巨大なスギの古木である。
白山信仰の修験道(美濃禅定道)沿いにあり、道標の役割も果たしている。泰澄上人が白山を開山した際、使用していた杖がこの大杉になったという伝承がある。1957年(昭和32年)7月2日、国の特別天然記念物に指定される。
冬は豪雪で根は埋まり全身雪をかぶる。
幹は縦に裂けていて、半分は枯れ白骨のように白い。
裂けた断面の幅は5m、夜になると神がこの大杉に降りてくると言われている。満月の光の輪が木を囲む。神と自然が一体となった時間が過ぎてゆく。
巨樹は大雪も台風も避けることができない。
自然を甘受しながら生きる方法を探し、全力で生きている。
おわり