塩人(しおんちゅ)
わたしは塩人。塩と水、そのほかで、できています。まあ、薄い塩水と言ってもいいでしょう。あなたの体の中を流れています。ボスの指令を受けて細い管を通り、つるつるの白くて真ん中の黒い玉の横に到着。管のさきから、じんわり抜け出ます。
わたしの仲間には沢山の管を通り体の表面に出てくるものや、瓶のような器にたまり、一気に外に出るタイプもあります。
なんのことやらわからんって?
もう一度言います。
わたしは薄い塩水で、脳というボスの指令を受けて、涙腺という細い管から
瞳の上に涙としてじわり出てきます。
汗腺という管を通って皮膚の表面に出てくるのは、わたしの仲間の汗、といいます。
ど~んと瓶のような膀胱にたまり、一気に出てくる尿、という仲間もあります。
なんと言っても、塩人の中で、一番上品のものは、わたし、つまり涙です。嬉しいとき、悲しいとき、あなたの瞳を濡らし、あなたの魅力を引き出すのですから。
おわり(421文字)
「私たちが飲んだ水は、吸収されたのちに血液から細胞へと渡り、唾液や涙、汗、尿へと役割を変えて変化して、最後には体外へと出ていきます。」と安井教授(慶応大学医学部)は語っていられます。
この水には塩分が含まれていますが、塩人とは呼びません。無理やりそう呼んでいるのは疲れ気味のチズだけです。😂
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