草食系男子に教えられたこと
学校新聞の編集にかかわっていた高校二年の時だった。理由は忘れたが
なにか思い詰めていたことがあり、退部したい、と部長に申し出ると、いともあっさりと「いいよ」と言われた。私なんかいなくてもよかったんだ、引き止めるどころか、訳さえ聞いてもらえなかったと、暗く落ち込んだ。
部長は鳥山さんといい、色白で知的な風貌と優しい目をした人だった。今でいう草食系男子、編集部員の女子のほとんどがあこがれていた。
卒業間近、ある雑誌に鳥山さんが長文を発表することになった。書き上げた原稿を私のところにもってきて、ワープロで打ってほしい、という。他の部員もいるのに、なぜとも聞けぬまま、引き受けた。
後に雑誌に掲載された彼のペンネームを見て本当に驚いた。「千鳥」となっていたのだ。私の千寿の千と、鳥山の鳥とを合わせて「千鳥」だ。
彼には同学年の彼女がいたのに、私という存在が心に引っ掛かっていたのかもしれない。十七歳の少女の心ときめく発見だった。
おわり(408文字)
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