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穴の中の君に贈る

僕は夜いつも一人だ。かあちゃんはなんでもいいから買って食べな、と500円おいて仕事に出かけてしまう。

その日は放課後友達とサッカーをやって疲れ、何も買わず寝てしまった。
ふと目を開けると天井から下がった蛍光灯がうす~く青色にみえ、ドーナツのようだった。おなかペコペコ、ドーナツが食べたぁい!
そう思ったとたん身体がふわり、と浮いて僕はなんと蛍光灯の真ん中の穴に吸い込まれた!
次の瞬間、いつものコンビニにいた。レジには見たことのない、ちょっと不機嫌そうなおじさんが一人。こわごわ聞いてみた。

「あの、ドーナツありませんか?」
「あるよ」

おじさんは低い声で言うと、電気製品売り場から蛍光灯を持ってきた。

「え。それ?」

おじさんが、ポンと手を打つと蛍光灯はシューッと縮んでドーナツになった。
もう一回、ポン!僕はドーナツの穴に吸い込まれ、今度は僕の部屋にもどった。手にはドーナツ。

嘘だと思ったら蛍光灯をじっと見てみなよ。

         おわり(409文字)

たらはかにさんの企画に応募します。
今週のお題は「穴の中の君に贈る」です。

「あるよ」のおじさんと言えば、そう、あの方です!😊

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チズ
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