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インド占星術ソフト「Jyotish-ONE」について

2017年12月に、インド占星術のチャートなどを出力できるWebアプリ「Jyotish-ONE」(ジョーティシュ・ワン)をリリースしてから約7年が経過しました。

インド占星術の師である清水俊介先生のアドバイスと監修を受けながら、最初バージョンは数ヶ月集中して作成したのですが、とても楽しい経験となりました。

元はと言えば、2016年6月に清水先生の個人鑑定を受け、
同年8月から、清水先生のインド占星術の学習コースを受講し、すっかりインド占星術の面白さに魅せられて、「ソフトを自分でも作りたいなあ、、」と思うに至りました。

「惑星度数等計算部分も自分でプログラミングしよう」とか無謀なことを当初思っていましたが、その手の本を数冊買い込んでみて、「これ、自分でつくったら一生かかるわ。。。」と観念し、外部ソフトを組み込むこととしました。

インド占星術のソフトはいろいろありますが、手前味噌となりますが、Webでここまでいろいろな情報を出力するものは稀だと思います。

おかげさまでリリース後7年経ち、多くの方に日々お使いいただくようになりました。
以下、Jyotish-ONEの特徴やインド占星術の特徴についてなど、幾つか記載してゆきます。


当記事執筆開始時のJyotish-ONEチャート

インド占星術の特徴とJyotish-ONEの実装について

  1. インド占星術は、「出生日時」がとても重要で、特に「生まれ時間」が基軸となります。生まれ時間がお分かりにならない方には、なかなかはっきりしたことが言い難く、申し訳ない感じはあります。

  2. 出生時刻の方角は西洋では「アセンダント」と言いますが、インド式では「ラグナ」と呼ばれます。出生時刻のわかる方は、チャート作成ページでご自身の生年月日と時刻、出生地を入力・設定して、チャートを出力してみてください。「Asc」と書いてある場所が「ラグナ」で重要な基軸となる部分です。

  3. インド式では「ハウス」がとても重視されます。ハウスの起点は、ラグナが存在する星座で、そこが「1室」となります。そこから時計回りに12室まで連番でナンバリングされます。1〜12のハウスが、それぞれにとても大事な意味を持っています。また複数の象意があります。

  4. Jyotish-ONEでは「南インド式」というチャートで描画されており、他にも「北インド式」などがありますが、現状では南インド式のみの実装となっています。正方形で十二の星座が固定位置に表示されており、黄道十二宮を把握しやすくなっています。

  5. インド占星術は「サイデリアル式」という天球上の恒星位置を基準とした方式が採用されています。モダン西洋占星術は「トロピカル式」という、毎年の春分点を起点とした方式が採用されていますが、古典西洋占星術はインド式のようにサイデリアル式で、恒星が基準となっていました。インド式は数千年の伝統の中で、ずっとサイデリアル式が採用されています。

  6. サイデリアル式とトロピカル式の間に度数の差がありますが、それをインド占星術では「アヤナムシャ」と呼んでいます。地球の地軸の「歳差運動」によって、72年で約1度ずつズレが広がっています。

  7. このアヤナムシャの算出方法もいろいろあるのですが、私の師匠の師匠であるK.N.ラオ先生の研究では「ラヒリ」という方式が最善で、それ一択である、とされています。そのため、Jyotish-ONEでもラヒリのみが採用されています。

  8. D1」と書かれた「Rashi」チャートというものが、出生時刻の生誕地の天球上(黄道上)の星の配置を示します。「ラーシ」とは「星座」を意味します。D1チャートはシンプルに、実際の天体の配置状況です。

  9. 「D1」以外の似たような形のチャートは「分割図(Varga)」と呼ばれます。「D9」や「D3」「D4」と書かれているチャートがJyotish-ONEでは複数表示されており、それぞれに特定のテーマを見ることに使えます。分割図はインド式でとても特徴的なものであり、D1チャートから様々な計算方式で算出されます。「コンピューターもない時代に、よくこのように手間のかかる計算をして複数の分割図を作っていたものだ」と驚かされます。

  10. また、「ダシャー」という時期読みの手法がインド占星術には多数存在しています。その中でも特に主要な「ヴィムショッタリーダシャー」というものと「チャラダシャー」というものを初期実装いたしました。最近「ヨーギニーダシャー」というものも追加で実装しました。この時期読みの手法がインド占星術の非常に重要な要素の一つです。このダシャーも様々な計算方式があり、Jyotish-ONEでは一瞬で計算されますが、手計算するとものすごく時間がかかります。昔はよく全て手計算していたものだと驚かされます。。。

  11. インド占星術では「惑星(グラハ)」と呼ばれる、7つの曜日に表される「太陽」「月」「水星・金星・火星・木星・土星」があります。それに加えて「ラーフ」「ケートゥ」という二つのグラハが存在します。この二つは太陽の黄道と月の白道の天球上の2交点なのですが、インド式ではとても重視されています。それら9つを合わせて「ナヴァ(9)グラハ」と呼ばれ、それらがどこに配置され、どのように絡み合うかなどが、リーディングの基本要素となります。

  12. 他にも、360度を27等分した「ナクシャトラ」や、トランジットの状態を見るときなどに使われる「アシュタカヴァルガ」や、様々な手法があります。これからJyotish-ONEに実装予定の「ムフールタ」という時期読みの手法などもあります。


ざっと色々書きましたが、インド占星術はとても奥が深く、上記はほんの入り口の要素のみを記載した形です。
インド占星術を本当に習得するには7回の人生をかける必要があると言われ、気が遠くなれます👍

noteにこれから、ちょっとずつインド占星術とJyotish-ONEについても記事を書いていこうかと思いますので、興味ある方は気を長くしてお待ちください。


Jyotish-ONEの機能的特徴

Jyotish-ONEの機能的特徴もいくつか簡潔に記載します。

  1. URLでチャートを共有できます。例えば以下のように。便利です。
    https://jyotish-one.com/index.php?name=Test%20Now&year=2024&month=09&day=16&hour=16&min=43&sec=00&lat=35.689&lng=139.691&zone=9&birth_place=Tokyo&range=normal&hide_personal=0&aspects=0&indu=0&basics=0&noVargas=0

  2. 分割図やダシャーも簡単に確認できます。

  3. パソコンやスマホやタブレットなど、様々なデバイスで閲覧可能です。便利です。

  4. それらが一瞬のうちに描画されます。描画スピードにかなり拘っています。(電波の悪いところなどでは描画が遅いことがあります)

  5. ブラウザで閲覧する形式ですので、ブックマークで多数のチャートを保存整理が可能です。(有料版で、データベースで保存管理できる機能も準備中です)


その他色々と

少し前に、清水先生と対談させていただいたXスペースでの音源がありますので、よろしければお聞きください。今後の開発予定についてかなり語らせていただいています。

記事の下の方に、無料動画シリーズの紹介がありますので、そちらをご覧になるとものすごく勉強になります。


また「ゼロから始めるインド占星術」という講座があります。
26期がもう直ぐスタートです(注:スタートされ締め切られています)。
この講座で私も学び、ソフトを作るにまで至りました。
インド占星術に興味ある方には、とてもおすすめです。
一生学んで行ける、非常に奥深い、素晴らしい学問であり、清水先生のところには素晴らしい学友がたくさんおられます。
私にとってもかけがえのない場となっています。


おすすめの本

昨年、「インド占星術大全」という本が出版されました。
翻訳本として、非常に網羅的に情報がまとめられており、初学者からかなり学習してきた方まで有益な一冊です。
こちらもおすすめです。

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