男から女へ
小学生の頃、プロフィール帳の好きな芸能人の欄に、私は決まってMJ と書き込んだ。松潤じゃないよ、マイケルジャクソン。
はじめての推しが彼だった。私の母は彼のファンで彼について色々と教えてくれたのがきっかけだった(ネバーランドでの性的虐待疑惑についてまでも)。すっかり彼に夢中になった私
夏休みの自由研究では彼を題材としようとした(途中で弟に馬鹿にされ恥ずかしくなって断念したが)し、誕生日にはdangerousのDVDを買い、ブラウン管のテレビに彼を何度も映した
今となってはpvなんてYouTubeで幾らでも再生できるのだが当時はまだネットに触れることすら皆無だったため、厚ぼったいそれにうつる世界がすべてだったのだ
イントロはそのジャケットが動き出す その緻密で重厚で甘めく夢のような
夢か現か
who is it は大人の香りのするpvで何度も戦慄した。散らばるカードの冷たさ、今みてもゾクゾクしてしまう remember the time はとてもお気に入りだった。美しいマイケルの舞、エジプトでのキス、覚えているかい?
In the Closet はすごくエッチなpvだと小学生なりに感じたため、朝四時に起きてこっそりみていた
9歳の私に字幕の意味はよくわからなかったが「男から女へ」という詞がすごく危険で官能的に思えた
怖いくらいに美しい異国の肌の女のひと、ナオミキャンベラにドキドキしたし、私も大人になったらこの人みたいにおっぱいおっきくなりたいなーとか思ってたっけ
マイケルは肌の病気で決して日光に当たってはいけなかった その危うさがさらに耽美さを増している
今はもうそんな午前4時のパンドラの箱を指先でいとも容易く開けてしまう でも
汗ばみ艶めくふたりの肌、揺蕩うフリルとセピアの渇いた色味にクラクラする 幾つになっても