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【国の年金額】改定の仕組みをザックリ理解~物価上昇への心構え~

令和4年度の国の年金額は、前年度に比べ0.4%の減額になりました。モノの値段がだんだんと上がってきている中での減額。来年、再来年の改定も気になります。そこで、年金額改定のしくみを、ざっくり図解してみました。

国の年金の良いところは、モノの値段(物価)やお給料(賃金)が上がっていくと、年金額も追随していく仕組みが備わっているところ。ただ、その仕組みはちょっと複雑です。年金額は毎年改定になりますが、物価が上がっても、年金は期待していたほどには上がらない、ということもありそうです。

1.年金額改定のしくみ

年金額の改定は大きく分けて「2段階」。

まずは、賃金・物価の変動を反映(①本来の改定)。次に、現役者の人数の増減や寿命の延びによる調整(②「マクロ経済スライド」)。

②は2005年度から導入された仕組みで、年金額の上昇を抑えるマイナスの調整として機能しています。

「物価」と「賃金」変動の組み合わせで、起こりうるケースをパターン分けすると、次の6通り。

「物価」と「賃金」どちらも上昇した場合
「物価」と「賃金」どちらも下落した場合
一方が上昇、片方が下落した場合

そして、それぞれのパターンについて、①で適用する変動率と、②の調整の有無、などが法律で決められています。

以下の略図はその一覧。

パターンが多すぎてちょっと面喰います。が、ここで筆者が思う大事な点は次の2つ。

「物価」(緑)よりも「賃金」(青色)の変動率が適用となるパターンが多い

「賃金」や「物価」の影響がプラスでも、現役者の人数や寿命の伸びの影響でマイナスの調整が入る(*)

(*)物価や賃金の影響がマイナスになるときは翌年度以降に繰越し

このことは、「賃金」が上がらないと年金は上がりにくいこと、また、現役者の増減や平均余命の伸びの影響によって年金額が上がりにくくなっていること、を意味しています。

ちなみに、令和4年度の年金額が0.4%減少となったのは、令和3年度の賃金・物価の変動が、以下のように【パターン4】だったためでした。

賃金が上がらないと、年金額も上がらないという仕組みは、年金制度を維持していくうえで納得感はあります。

なぜなら国の年金の保険料は働く人のお給料(賃金)などから支払われ、それが今の年金の支払いに回っているから(賦課方式)。

賃金が上がらないのに年金額だけ上がっていくと、年金制度の収支のバランスも悪くなり、現役者と年金を受け取っている人との不公平感も出てきますよね。

2.物価上昇への心構え

エネルギー価格や穀物などの値上がりなど、今後、身近な食料品や身の回り品などが徐々に上がっていきそうな気配。

リタイア後のインフレに備えるための方策としては、

・年金の繰下げによる増額も視野に入れる
・インフレ下でも価値を維持できる金融資産を持っておく
副業・兼業を含めて長く働く

などが考えられます。

参照先:
令和4年1月21日厚生労働省「令和4年度の年金額改定についてお知らせします」
日本年金機構「Q年金額はどのようなルールで改定されるのですか。」


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