応用数学の楽しみ
はじめに
皆様は数学には大きく分けて純粋数学と応用数学があることをご存知だろうか?今回は応用数学に焦点を当ててそれの個人的に楽しい所を紹介していきたい。
ちなみに私は純粋数学畑の出身ながら実は応用数学の方が好きである。
純粋数学とは?
純粋数学とは言わば数学を独立した世界にあるものと捉えその世界で数学の解明を行うということに根差した数学の考え方のことである。つまり数学は数学の為にあり、数学の発展の為に数学をやるということと同じである。一応価値基準の中に、現実の中に近似的なものがあり、それを基に現実からの概念を数学世界に取り込みなさいと言う事があるので、ある意味全くの独立という訳ではないのだが、一旦取り込んだらそっからは数学の為の数学を基本的には行う。
数学の為の数学とは変に思うかもしれないが、数学が最も成功した科学の一つである理由はここにある。
応用数学とは?
まあ色々考え方はあるが、この記事では数学を使いながらも純粋数学の枠組みではないものという定義にしておこう。つまり、数学を通して現実世界へ何か応用していこうという取り組みと大体同じである。
数学科とみんなのギャップ
一般に数学科と呼ばれる人たちは数学的応用にあんまり関心がない人が多く、逆にこれから数学をやろうと思う人たちは、漠然と数学で現実を解析してやろうと思ってるものではないだろうか?
むしろ後者を念頭に数学科に入ったものの、やってることはずっと数学の為の数学であり、いつの間にか自分の考え方も純粋数学よりに変わってしまったという人が平均的な人なのかなと思ってる。
応用数学に対する誤解
純粋数学に毒された(?)人たちから見ると応用数学はテキトウな事をやってるんだと思いこみ、やりもせずに「俺たち精神的高尚性を持つ人間には関係ない事」だと(言葉にせずとも)思いがちなんだろうなと思う。
確かに選ぶ分野によるが幾分か適当さはあるし、それ故ひどく抽象的で難しい思考を無限に繰り返すようなことはあまりない。
しかし、はっきり言っておくが応用数学であれどどこも数学科の学部卒くらいの数学レベルは必要だ。という訳で純粋数学をちゃんと勉強したという経験は全く無駄にならない。むしろ最短で数学の厳密な思考を手に入れたのだから、ルートとして正規ルートとすら思える。(応用数学をやりながらその純粋数学レベルまで辿り着くのは結構大変なのかなと思う。ただモチベーションを保ちながら都度純粋数学を吸収していくという方が良いとも思うし、うーん・・・。)
良い所1(入門のしやすさ)
私はとっくに数学科を卒業しているが、そんな人間にとって応用数学の良いと思う所をあげる。これから上げる理由は応用数学の本質に基づいたものではなく、何のスペシャリストでもない私個人の楽しみ、肌感覚としての理由である。
まず一つ目、入門しやすい。これは応用数学と一口で言ってもめちゃくちゃ幅が広く(例えばAI数学、経済学、金融、統計、数値計算・・・無限に!)どれを選んでも自由である。そして先ほど数学科卒業レベルは必要と言ったものの、入口で激しい数学が必要となることはそんなに無い。
良い所2(続けやすさ)
激しい数学は学生の頃は良いかもしれないが、社会人になるとまず無理だ。周りが「トレンドなビジネス書を昨日読んだ」と言ってる中、「昨日は5時間数学やったけど1ページも進まなかった・・・orz」。と言ってられるだろうか?
超人的な高尚な精神の持ち主じゃないとまず無理だ。
それに比べ応用数学は激しくない所を選べば一日30分でもそれなりに成果が出るし遊べる。難しくなってきたら分野を変えてまた簡単な所からスタートすればいい。
良い所3(ニッチ性)
戦略の取り方の話になるが、分野がめちゃくちゃ多い分それぞれに参入してる人はあまり多くなく、身につけると周りでは自分しか知らない割とニッチな知識になることが多い。
そしてその組み合わせを考えるとそれが自分のアイデンティティになることが多い。
良い所4(現実への応用)
応用数学と言ってるのだからこれは外せない観点である。現実への応用が分かりやすくあると純粋に面白い。そして応用があると、人に語れる。
純粋数学の「積分記号と極限の交換条件の意味は〜・・・」を必死で理解してもそんなことには誰も関心が無いので労力の割にとてもコスパが悪いが、「実はこの暗号の仕組みはね〜・・・」と言うと人の興味を惹くのでコスパが良い。話す相手がいない人(私もそうだが・・・)は今度誰か知的好奇心が高い人に会った時のネタを書き溜めてる感じで、ウフフと思える。
まとめ
以上、応用数学の楽しみを紹介してみた。言いたいのは折角学生を卒業した(※まだ学生の人でも価値は変わらない)のだから、もう自分のペースで緩やかに数学を楽しんでみませんか?という誘いだ。(※勿論そんな甘くはないのだけど難しくなってきたら「やーめた!」と言って分野を変えれば良い!それだけのこと。)
読んでいただきありがとうございました。
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