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創作のプロセスを可視化する:作業ログをつけてみよう

創作活動をしている人、その日最初の作業に何から手をつけるか迷うことはありませんか? 悩んでいるうちに手がとまってそのままSNSを見はじめてしまったりとか…… 作業の記録を残しておくと、その日の創作にスムーズに取りかかることができます。

行きづまったときにはいったん作業の手をとめて記録をすることで客観視できて解決方法を思いつくことも。また、創作過程でボツにしたアイデアも、ログに残しておけば、後で別の作品に役立てることができたりします。制作日誌は単なる記録ではなく、創作を効率的にすすめたり、うまくいかないときには励ましてくれる伴走者のようなツールです。

個人的なやり方ですが、どなたかの役に立つかもと思って記事にしてみます。

私の制作日誌実例

私の創作は絵と小説なんですが、絵のほうはOneNoteで、小説はMeryというテキストエディタで、それぞれ制作日誌という名前の作業ログをつけています。

絵のほうはこんな感じ:

OneNote記事(24年6月15日)

絵のラフや、仕上げの方向性、描きたいアイテムなど雑多に書いてあり、クリスタの素材キャプチャが貼ってあることも。画像とテキスト両方を扱いたいのでOneNoteにしています。

どういった内容をどのように書いているのか、もう少し詳しく書いていきます。

1.リアルタイムに書く

ふつうの日記は夜や朝などに時間を決めて書くことが多いですが、私の制作日誌は作業をしながら逐次的に記録していくのが特徴です。プログラミングをする人などがつける作業ログに似ています。

構図の確認(左)と実際のラフを見比べたり

まとめて書くと抜け落ちてしまうような細かなことのほうが大事です。たとえば、手が止まっている箇所や、書(描)いてみたものの気に入らない部分など、作業中に感じたことをその都度書き留めておきます。

構図の参考にする写真、カラーパレット、ラフなど
試行錯誤してます

いったん作業の手を止めてこのコピペ作業をすることで、作業中に気づかなかったミスに気づくことがあります。ここでいまやっている作業を確認したり、完成のイメージを言語化したりします。

作業に行きづまっている箇所を書いておくと、あとで見返したときに解決方法を思いつくことが多いです。創作プロセスを可視化するということのメリットだろうと思います。


2.雑多に書く

制作日誌は、他人に見せることを前提としていないため、自分が後から見て理解しやすいように自由に書いてOKです。内容は整理されていなくてもよく、いろいろな情報が雑多に混在していて構いません。

小説のほうの制作日誌はこんな感じ。こちらは画像を貼らずテキストだけなので、MeryというテキストエディタでMarkdown形式で書いています。

最近は小説書いてないので、これは2021年の日誌から

自分しか読まない日誌なのになぜか「おはよー」と語りかける口調だし、小説を関係ない片付けとかソシャゲの記録とかも書いてあります。お恥ずかしい…… でもリアルなやつのほうがいいかなと思ったので、作例じゃなくてちゃんと実際の自分の日誌です。このころ小説を一冊ずつ製本するということをやってたので、その作業も書いてありますね。

ほかにも読んだ本の引用や感想、動画のウォッチリスト、作り置きした料理のレシピ、時にはTwitterに書いたらお気持ち表明といわれそうな愚痴まで、さまざまな雑多な情報が書き記してあります。こういう情報は一見すると必要ないように思えるかもしれませんが、日誌にはこうした雑多な内容もいっしょに書くほうが続けやすいです。それに、体調不良の記録が後で通院時に役立つみたいなこともあります。(創作関係ないか……)

テキストエディタを使うとタイムスタンプが使えますし、文章の量が増えても簡単に検索できるので、特定の情報をすぐに見つけられるのも便利です。(Meryのおすすめ記事

3.学んだことを書く

創作活動のなかで学んだこと、新しい技法なども書いておきます。

プロの作品を分析したノート

またクリスタの新しいブラシを試したり、Twitterで見かけた絵のTipsを実践したらその都度記録に残しておきます。

これはクリスタの素材をまとめたページ

クリスタのブラシは大量にダウンロードするとどんなブラシを持ってるかすぐ把握できなくなるので、説明ページを使用感のメモなどといっしょに貼り付けておくと便利です。また、動画や記事のリンクも貼っておくことで、後で参照することができます。

学習の記録としてだけでなく、いわゆるトレパクとか剽窃を防止するためにも、気に入った表現やアイデアの出典を明確にしておくことが重要です。

小説の引用をまとめたMeryのページ

絵や小説でも、好きな作品を参考にして上達していく過程で、無意識に他者の表現を取り入れてしまうことがあります。そうした場合に備えて、後で確認できるようにしておくことが大切だと思っています。

4.作品を複数のタスクに分解する

漫画や小説など、長いプロジェクトに取り組む際には、作業を段階ごとに分けて記録することで進捗が見える形になります。

オリジナル漫画を書いていた時のノート

たとえば、プロット作成、キャラクターデザイン、背景といった作業をそれぞれ独立したタスクとして記録しておくことで、どこまで進んでいるのかが一目でわかります。

スケジューリング自体は手帳などアナログで管理したほうが私はやりやすかったですが、それ以外の作業はわりとデジタルで完結しています。

5.脇道にそれたアイデアを残す

創作のプロセスでは、ひとつの作品に集中しているつもりでも、ふと別のアイデアが浮かぶことがあります。そのアイデアが今の作品に必要でなくても、日誌に書き留めておくことで、後で別の作品に活かせる可能性があります。

ラフやモチーフ、構想の断片など、脇道にそれたアイデアもなるべく記録しておくと、思わぬときに役に立つかもです。

6.ふり返り、課題、改善点を書く


一日の作業のふり返り

1と重なる内容ですが、作業が一区切りついたら、その部分をノートに添付して、どこがよくできたか、どこがまだ手をつけていないかを具体的に書き出しておきます。作品を作っているときには次回の作業にすぐに取りかかれるし、新しい作品を作るときに前回の課題が役立つこともあります。構図に動きがなかったから次は動きのある構図にしようとか。

7.投稿サイトやSNSに投稿した際の反応を記録する

作品を発表した後の反応も記録に残すようにしています。読者からのコメントやページビュー数、SNSのインプレッション数など、反応を振り返ることで、モチベーションを維持する手助けになります。特に、うれしいコメントや評価は、創作意欲が低下しているときに読み返すと元気をもらえます。

インプレッションを見て元気を出す

ちょっと不健康な気もしますが……

番外編:自分が記録しないこと

他の人の作業日誌でよく見かけるものの、自分ではあまり記録しないものもあります。たとえば、小説を書くときの「文字数」がそうです。

あくまで私の場合ですが、文章を書くことよりも、プロットや構成を考えるほうが難しい作業だからというのが理由です。それに文字数の達成を目標にすると、必要なときに文章を削る作業がイヤになりそうだからです。

さいごに(実践のためのヒント)

どんな媒体を使うのか、何を記録するか何を記録しないかなど、自分に合った方法があるかと思います。リアルタイムで記録するのが大事なので、ふだんの自分の作業環境で気軽に記録できるような方法を選んでください。スマホのメモアプリでもOKです。

その日の作業をはじめるときに、ログのためのノート(アプリ)も同時に立ち上げてください。休憩とか作業がひと段落するタイミングで、今の作業を保存するのと同時にスクショを撮ってログをつけてみてください。

きれいに整理する必要はありません。ひとまず、スクショに一言メモを残すところからはじめてみてください。

続けていくと創作に効果を感じてもらえるかもしれません。

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