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私も100日間絵を勉強して、イケメンを自在に描けるようになろうと思った(1~25日)
最近(執筆時5月上旬)どうも創作方面にやる気がなく、いっちょまえにスランプのような状態になった。とくに絵のほうはなにも描けないし、そもそもなにかを描きたいのかどうかもわからない。描けそうなものがまったく思い浮かばない。
対処についていろいろ考えてみたが、やる気がでないときこそ基本的な勉強をやったほうがよいのでは? ほら、「筋肉はすべてを解決する」みたいなもんで、基礎体力(この場合は画力)があがればやる気がでるに違いないと私は思った。
ちょうど、この記事を読んだこともあり:
よっしゃ、私も100日練習すっか、となった。100日絵を練習して、マッチョなイケメンを自在に描ければ、めっちゃ楽しいに違いない。きっと、描きたいものが無限にわいてくるだろう。
そうと決まれば教本を買おう。格好から入るのはあらゆる独学の基本である。海外生活中に目星をつけていたテキストが何冊かあったので、まとめて注文した。なお、とくにアフィリエイト的な設定はしていないので、安心してリンクを踏んでください。
「お絵描き/ポージングチュートリアル」は初心者・独学者向きで、人体を図形にとらえる方法など以前読んだサイト『人を描くって楽しいね!』に構成が似ていてわかりやすい。絵も好みなので、最初はこの二冊を中心に勉強した。解剖学の本は、勉強用というよりは参照用に。とくに男性を描くときなんかは、毎回ネットで画像検索しているので、資料集みたいな本があったほうが手間がはぶけるかなーと思った。
Day0 目標設定と下読み
一日目は四冊ぜんぶをぱらぱらとめくってみて、前書きや目次を読み、次のような学習計画を立てた:
『お絵描きチュートリアル』
既知の内容も多いが、一度やっておくと自信をもって描けそう。メイキングをのぞいた11章を毎日やっていく。
『色塗りチュートリアル』
14章ほどに分かれているが、Photoshopの機能説明などは省いてもよさそう。レイヤー機能の説明など、Clip studioの学習で既知の内容も多い。色塗りは好きなので、学習に組みこまなくても読みそう。ライティングについてはちょっと物足りない感があったので、別途勉強したい。
『ポージングチュートリアル』
原題がDynamic drawingというだけあって、解剖学をふくめた人体の動きの基礎が網羅されている。『美術解剖学』のほうと併読すると理解が深まりそうだ。また、興味のあるパートが多い本なので、『お絵描きチュートリアル』とあわせて同時並行しよう。
『ソッカの美術解剖学』
ほうぼうでおすすめされていたので買ったが、難易度が高く読み物的な記述も多いため、毎日やると(私は)飽きそう。上の三冊を学習しながら辞書的に使うのがよさそうだと思った。読み物としてはおもしろいので、学習プランにはいれずにまずは読むだけ読んでみてもいいな。
Day 1
『ソッカの美術解剖学』はⅠ部をさらっと読んだ。横着にまとめると、「人間が今のような姿をしているのは進化論的理由がある」というもの。「形態は機能に沿う」という視点があると、解剖学的理解がはかどるというふうに私は読んだ。『お絵描きチュートリアル』は顔の作画について。
ペンタブのほこりを払い、ひさしぶりに自キャラを描きました。描きやすい短髪男性キャラ。色も塗りたかったけど今日はタイムアウト。出来よりも、ひさびさに描けたことが嬉しかった~。
Day 2
頭部の描き方について各書を眺めていると、やはり一度は頭蓋骨を描いたほうがいいのではと思った。色塗りのときなども、立体としての説得力が増すのでは。で、頭蓋骨や顔の筋肉の模写をおこなう。ただ、教科書的な美術書の模写って(著作権的に)のっけていいのか微妙なので、モザイクかけておきますね。
顔の筋肉の勉強絵。右の、筋肉むきだし君の虹彩をうっかりハシバミにしてしまったため、フィル君と呼んで愛でる。(絵の勉強、こうして常軌を逸しがち)
ペンタブにようやく慣れてきたので、ひさびさにカットを一枚描いた。
Day 3
骨と筋肉がちょっとわかったので、表情のある頭部を一枚描いてみる。その際、顔の立体構造が3Dで確認できるといいなと思った。カクカクしたポリゴンみたいに分割された状態の頭部の資料があると、陰影がわかりやすいからだ。(「face topology」「low poly face」などで検索すると出てくる)
こういうのを見たりして、顔を区画にわけながら塗っていった。骨格と顔まわりの筋肉を意識して書いてみた習作。
ごつごつした顔の美男子のつもり。ひとを馬鹿にする顔のバリエーションが豊富なメインヒーロー。
この記事も、Facial Topologyについて触れてあって勉強になった。
Day4
さらに表情の勉強。骨や筋肉を意識しつつ。写真を見ながら、ちょっと漫画風にデフォルメした顔にしたい。
この日はplanar referenceという用語を知り、えっなにこれ、陰影つけるのにめっちゃ便利な資料じゃん、と興奮する。planarは「平面」という意味で、荒いポリゴンみたいな立体の組み合わせで人体が表現されているので、造形やライティングがすごくわかりやすい。
Goushi Artsさんのポリへドロンマン。描く時に面の境界部(稜線)や面の方向が見えない方は、こういった面取り像で練習するのも解決方法の一つ。https://t.co/WQJGp7o4F0 pic.twitter.com/XUvblkizyI
— 伊豆の美術解剖学者 (@kato_anatomy) May 23, 2021
ね? こういう感じ。美術系のひとはこういうのをちゃんと勉強するんだろうなぁ。
Day5
表情のバリエーションをもうちょっと練習するつもりだったけど、立体感があるものを描きたくなり、トルソにしてみた。
線なら線だけをたくさん描くほうが練習になりそうなんだけど、色塗りが好きなので塗ってしまってペースがあがらないな。胴体の次は腕も。
男性の腕にはフェチがあるので、楽しみに取り組んだ。前にもやったので二回目。
途中で疲れて飽きてしまった。終わり。
Day6
上半身や腕をなんとなく練習しつつ、昔の絵を描きなおしてみた。
デジタルイラストを本格的にはじめたのは2019年なのだが、Clip studioを買ったのはもう少し前の2016年ごろで、当時は建物をちょこっと描いたくらいでほとんど人物画は描いていなかった。と思っていたがファイルをあさるとけっこうキャラ絵っぽいのもあって、人物を描きたい気持ちはあったんだなぁとほほえましくなった。(けっきょく、ぜんぜんうまく描けなくてすぐやめてしまったみたい)昔の絵はとても下手なので、並べて描くことで手軽に自己効力感があがり、良い方法かもしれない。
Day7-8
Pixabayなどのフリー写真サイトから、筋肉のよく見える写真を選んで模写し、筋肉のつき方を想像するなど。楽しいけどなにか練習になっているかというと……どうだろう?
Day9
アクションポーズに挑戦。今回のはほぼ、写真からの模写だけど……、じょじょにオリジナルのアクションも描いてみたいな。
Day10-11
10/100! あまり時間が取れないのだがちまちまと手を描いた。手、難しいなあ。
追加でこちらも購入。
解剖学の本が二冊になった。最初に買った『ソッカの……』のほうは生物学的な話もふんだんにあるので読み物として面白い。また骨格や筋肉については医学書レベルに詳しいので、リファレンスに役立つ。ただ個人的には、もっとおおまかに立体的にとらえる図がたくさん欲しかったので(上であげているplanar referenceみたいなやつ)、『スカルプターのための……』のほうが使いやすかったかな。私の絵はあんまり緻密さやリアルさを追求してないので。
Day12
時間があり、筋肉にもちょっと飽きたので、色塗り練習かねて女子を描いてみた。『色塗りチュートリアル』を見つつ、いつもと微妙に違う手順で。彩度が低い色が好きなんだけど、どうしてもそのせいで画面がくすみがちなので、たまにはぱきっと明るい配色にしてみたい。
Day13
そしてまた筋肉にもどる笑
Day14
『ポージング・チュートリアル』から模写。(顔だけ描きやすい自キャラで)模写のときはグリッド機能を使うと便利。
Day17-18
足と靴。足は『お絵描きチュートリアル』pp92の模写、靴は『ソッカの……』pp582-586の模写。スニーカー描くのって難しいですよね~。
『お絵描きチュートリアル』pp156-159の模写。そのままの一枚絵なのでモザイクかけました。
Day19-21
オリジナルの4コマ漫画を4本ほど描いてた。全身の姿勢とか、前よりもうまくアタリが取れるようになって、描きやすくなった感がある。(多少ね)
Day22-23
オリジナルの一枚絵を描いた。
手の表情とか、黒髪と金髪の髪質の違いとかに気をつけて描いてみた。筋肉はけっこうつかめるようになった感があるんだけど、服が苦手なんだよな~。脱いだ状態のほうが描きやすいです。
Day24
オリジナルキャラ絵。身体の描き方についてはこれまでの勉強を踏襲しつつ、色塗りもふだんと違う塗り方にしてみた。どうしてもふだん、彩度が低く低くなっていきがちなので、意識的に明るい色を取り入れていきたい。今回はふだんの塗り(おおむねアニメ塗り)だけど、影色を乗算ではなくリニアやオーバーレイでのせて発色をよくしたもの。
【振り返りと26~50日目の目標】
チャプターごとに進展するというより、そのときどきの興味で進めていく感じになってしまったが、『お絵描きチュートリアル』はいちおう一巡した。24日目の絵と塗りが気に入ったので、26日目以降もこういう感じで描いていきたい。もうすこしキャラの特徴が出せるようなデフォルメの効いたポーズを練習しつつ、50日目あたりには線画や配色に納得のいく一枚絵を描けるといいな。
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