産業医という仕事の魅力
産業医として働くことには、多くのメリットがあり、特に臨床を一通り経験し資格等も取得した若手医師にとっては非常に魅力的な選択肢となります。ここでは、その代表的な魅力についてご紹介します。
1. 業務負荷が少ない
産業医の大きな魅力の一つは、緊急対応や当直業務がほとんどないことです。産業医の業務は面談、職場巡視、衛生委員会への出席、衛生教育など多岐にわたりますが、予定された業務であり、かつ、体力的には負荷が少ないものがほとんどです。(トラブル対応や難しいケースなど対応に苦慮する場合もありますが、それはどの職場、仕事でも同じだと思います。)これは非常に重要なポイントで、通常の病院勤務と比べると、疲労やストレスが非常に少なくなります。また、残業もほとんどないため、ワークライフバランスが非常に取りやすいのが特徴です。家族との時間を大切にしたい医師や、プライベートの時間を確保したい医師にとっては、大変魅力的な職場環境です。
2. 安定した地位と待遇
産業医、特に常勤の産業医を選任義務がある職場は労働者1000人以上の事業所(有害物質を扱うなど特定の事業所は500人以上)なので、産業医(特に常勤)として働く場合、多くのケースでは大企業での勤務が主となります。大企業では、産業医は労働衛生部門において重要な存在とされていることが多く、そのため、事業所の状況や本人の経験にもよりますが、部長待遇や役員待遇が与えられることもあり社内の地位も保証されています。また、企業によっては福利厚生が非常に充実しており、一般の社員同様に非常に多くのサポートが用意されています。
3. 休暇が取りやすい
病院勤務に比べ、産業医は有給休暇が取りやすい環境にあります。ゴールデンウィークや年末年始、お盆などの長期休暇も企業カレンダーに基づいて取得できることが多く、プライベートな時間をしっかりと確保することが可能です。また、産休や育休も取りやすく、結婚、出産、子育てを考えている若手医師にも働きやすい職場となっています。特に女性医師にとっては、長期的なキャリアを考える上で大きなメリットとなります。現に育休のため時短や出勤日数を減らして勤務したり、嘱託産業医(非常勤を掛け持ち週2〜3日勤務)をするなどライフステージに応じて様々な働き方が可能であることも魅力です。
4. 幅広い業務経験
産業医として勤務する職場は、事務〜工場に至るまで様々で、各々の職場が抱える問題や工場で扱う作業や物質なども様々で、企業ごとに異なるため一概には説明できませんが、労働者個人の健康管理から、職場全体の安全や快適な環境づくりに関わる業務まで多岐にわたります。このような経験は、病院勤務だけでは得られないものであり、医師としての視野を広げる貴重な機会です。特に、組織全体の健康や安全管理に関わる業務は、医療の枠を超えた知識やスキルを求められ、産業医としてのやりがいを感じる場面も多くあります。
まとめ
産業医として働くことは、若手医師にとって非常に魅力的なキャリアパスです。業務負荷が少なく、安定した地位や待遇が保証されている上に、休暇や育休も取りやすい点で、プライベートと仕事の両立を図りたい医師にとっては最適な選択肢と言えるでしょう。さらに、幅広い業務経験を通じて医師としての成長を続けることができる点も、産業医の魅力の一つです。