産業医になるためには
産業医になるためのルート:産業医科大学卒業と講習受講の2つの方法
産業医として働くためには、医師免許だけでなく、産業医の資格が必要です。産業医の資格を取得するためのルートは主に2つ存在します。
産業医科大学を卒業するルート
講習を受講するルート
ここでは、それぞれのルートについて詳しく解説します。
1. 産業医科大学を卒業するルート
日本には、産業医の育成に特化した産業医科大学があります。1978年に開学したこの大学は、日本で唯一、産業医の養成を目的とした医学部です。産業医科大学では、一般的な医学部のカリキュラムに加えて、産業医学に関する専門教育が行われており、卒業時に自動的に産業医資格が付与されます。また、産業医学を専門とした講座(医局)が多数あり、専門医の取得、学位の取得など非常に多くのサポートが得られると共に、進路サポートも充実しており、就職先に困ることもほぼありません。産業医科大学を卒業するルートは、最も確実に産業医の資格を得る方法ですが、当然ながら高校卒業後に産業医科大学に入学する必要があるため、既に医師免許を持っている医師には難しいルートです。
2. 講習を受講するルート
既に医師免許を持っている場合は、産業医科大学や医師会等が主催する講習を受講するルートが一般的です。この方法では、厚生労働省が認定する産業医の講習を受けることで資格を取得します。この講習は、産業医学の基礎や実務に関する内容を学ぶ機会となります。
講習のポイント:
競争率が非常に高い:産業医講習は、医師たちの間で非常に人気が高く、受付開始から数分で満席になることが多いです。産業医資格を得るためには、早期の申し込みが不可欠です。
希少性の高い資格:この競争率の高さからも、産業医資格を持つ医師の数が限られていることが分かります。そのため、産業医の資格を持つことは非常に価値が高く、企業にとっても貴重な存在となります。(労働者50人以上の事業所では嘱託産業医、1000人以上の事業所では専属産業医の専任が法律で義務付けられています。一部有害業務等を行う職場等では人数は異なる場合があります。)
産業医の希少性
産業医として働く医師の数は、病院勤務医と比較して少ないため、その希少性が強調されます。特に、産業医の資格取得を目指す医師は増えていますが、資格を持つ医師の数は限られており、企業にとっては優秀な産業医を確保することが難しい状況です。このため、産業医は安定した地位と高待遇を得やすく、医師の中でも特別な存在として評価されています。
まとめ
産業医になるためのルートは大きく2つに分けられます。産業医科大学を卒業して産業医資格を自動的に取得するルートと、講習を受講して資格を取得するルートです。産業医科大学の卒業生は専門知識を深く学んだ上で即戦力として活動できますが、既に医師免許を持つ医師は講習を受けることで資格取得を目指します。特に、講習は競争率が非常に高く、その難しさが産業医の希少性を高めています。